卵生と胎生の違いとは?
わたしは水族館が大好きです。ある日、某水族館を見て楽しんでいたら、このような看板を見つけました。
は? 意味が分からないんですけど!?
人間のような哺乳類が、おなかの中に子供(胎児)がいるというのならわかるんですけどね。でもサメってサカナじゃん。サカナって卵を産んで子孫をつなぐ生き物のはずでしょ?
それがどうしてジンベイザメのおなかから300匹以上の子ザメが見つかるのよ!?
言ってること、おかしくない?
たしか、サカナやトリのようにタマゴを生む生き物を卵生、人間のようにお腹で育てて子供を産む生き物を胎生というんじゃなかったかな?
そういう認識の私はひじょうにびっくりしました。卵生のはずのジンベエザメから子供が出てくるってどういう意味よ? 水族館は学術・教育機関でもあるんだから、そこんところを解説しなきゃいけないんじゃないの?
不思議に思って調べてみたら、世の中には卵胎生というハイブリッドな繁殖をする生き物がいるそうです。ああ、おどろいた。
卵胎生とは?
哺乳類のような胎生には、子供が成長した状態で生まれてくるので、最弱の赤ん坊時代に外敵に食われるなどの被害から逃れる可能性が高まります。そこがメリットです。その反面、母体の負担が大きいというデメリットがあります。
その逆に、サカナなどの卵生は卵を産み落としてしまうので、母体の負担が小さいメリットがあります。だから数を増やすことができるのです。マンボウなどは3億個の卵を産み落とすそうです。その反面、逃げることもできない卵時代に外敵に食われるなどの被害には遭いやすくなります。
そのハイブリッドが卵胎生だそうです。基本的には卵の状態で繁殖するのですが、その卵は外界に産み落とされるのではなく、母親の胎内で孵化します。そしてそこで育って、赤ちゃんのかたちで生まれてくるというのです。つまり見た目は胎生のように見えるわけですね。生まれた子供は移動力があるので、胎生のメリットを享受できます。
また卵生のメリットである「多産」も享受できるようです。上のジンベイザメは300匹の子ザメをはらんでいたといいます。胎生の哺乳類で同時に300匹も妊娠できる種はいないでしょう。
お見事!! まるでエンジンとモーターのハイブリッドカーのようなものです。サメってすごいね。
ところで、この卵胎生って常識ですか? 私は知らなかったんですが。
水族館の設立目的には、そこがどこの水族館であれ、かならず設立趣意書には教育目的を謳っているはずです。だったら「こどもが300匹いました」という結果だけを報告するのではなくて、そもそもなんでサメがタマゴも産み落とさずに、腹の中にそんなに子供がいるのか、きちんと説明して教えてほしかったと思います。そうすれば水族館の評価がもっと上がったのに。
何の説明もなく、サメが子供をはらんでいると書いてあったので、すっげえ、びっくりしました。