ドラクエ的な人生

ケイリン競輪ファンは競馬も好きか? 『みどりのマキバオー』カスケードの魅力

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「黒い旋風」カスケードの魅力

わたしはロードバイク乗りです。ロードバイク乗りにおすすめの何かご紹介できる作品はないかな……と考えていたらひとつのアニメが思い浮かびました。

それは『みどりのマキバオー』です。『弱虫ペダル』よりも先に思い浮かんでしまいました。

『みどりのマキバオー』は、競馬(競走馬)の話しであり、ロードバイクとは何の関係もありません。しかしスピード勝負のレースの話しであり、スピリットには同じものを感じます。

ロードバイクでは「自分が頑張る」ところを、競馬では「馬が頑張る」のですが、『みどりのマキバオー』の場合は馬が擬人化されていて、心の叫びが人間と同じように表現されているので、完全に感情移入することができるのです。

とくに「白い奇跡」マキバオーのライバルである「黒い旋風」カスケードについて、ここでは語っています。

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競馬好きは、競輪も好きなはず?

この新発明がこの世界に出始めた頃、オートバイは「鋼鉄の馬」と呼ばれていました。

もともと人類の歴史においてオートバイよりも以前に馬があり、自動車よりも以前に馬車があったのです。

オートバイというのは馬の代わりだったわけです。用途は全く同じです。「自分の足をつかわずに、走るよりも速く楽に目的地に到達することができる」という用途です。

オートバイ=馬だとすれば、もう何が言いたいか、おわかりですね? ロードバイク乗りが乗馬に興味をもつのは簡単だということです。だってご先祖様みたいなものなんだから。

だってオートバイは原動機付自転車というくらいで、ほとんど自転車(バイシクル)ですもの。馬とバイクが同じならば、馬と自転車もさほど変わりません。

人間が趣味に染まるルートはいろいろありますが、乗馬とロードバイクはまったく無関係な趣味だとはいえないようです。乗りすぎるとオマタが痛くなるところが共通点ですね。

ロードバイク乗りが競輪ケイリンに興味をもつのは不思議なことではありません。ケイリンというのはピストバイクというギアなしブレーキなしのロードバイクみたいな自転車に乗った「賭けレース」ですから。むしろ王道ルートだといえるでしょう。

競輪ファンが競馬に興味を持つのも、王道ルートではないかと思います。

正直にいえば競輪マニアは競馬も両方やっている人が多いのではないかと思います。「賭けごと」っていうのはすごい脳内モルヒネが出るといわれています。いわゆるギャンブル中毒ですね。こうなると対象が馬でも自転車でもルーレットでもクラップスでも大小でも何だっていいっていう状態です。

しかしこの理論だけならば競馬ファン人口と競輪ファン人口はまったく同じはずです。しかしそうはなっていません。明らかに競輪ファンよりも競馬ファンの方が多いはずです。動くお金は競馬の方が圧倒的に大きいというデータがあります。

これは同じギャンブルでも競馬の方が競輪より「奥が深い」ことが理由のひとつではないかと思います。機材が同じで判断材料が少ない競輪よりも、機材そのものが血統や調教によって違う競馬の方が奥が深くてあたりまえです。遺伝子学や動物飼育の知識などひろがる余地が競馬の方が大きいからではないでしょうか。

……話しがそれてしまいましたが、なんでロードバイク乗りに『みどりのマキバオー』をオススメするかというと、ロードバイクを競走馬に見立てて視聴することができるからです。

ロードバイクでは「自分が頑張る」ところを、競馬では「馬が頑張る」のですが、『みどりのマキバオー』の場合は馬が擬人化されていて、心の叫びが人間と同じように表現されているので、完全に感情移入することができるのです。

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黒い旋風。漆黒の帝王カスケードの命名の由来をさぐる

『みどりのマキバオー』を堂々と他人におすすめするには、マキバオーがうんこたれだったり(笑)、競馬場の群衆がなぜかみんな全裸で同じ顔をしていたり(笑)、何かと誤解されるところの多い作品なのですが、臆面もなくご紹介させていただきます。

わたしが『みどりのマキバオー』に興味をもったのは一頭の黒い馬がきっかけでした。「白い奇跡」と呼ばれる主人公マキバオーのライバル競走馬が「黒い旋風」「漆黒の帝王」と呼ばれる真っ黒な馬で、こいつがライバル馬たちを追い抜く姿が、とてつもなくカッコよかったからです。この「漆黒の帝王」の名前はカスケード。このカスケードという名前が気になりました。

わたしはカスケードという言葉を知っていました。きわめて印象深い場所でその名前を聞いたのです。

なんで作者は、帝王の馬の名前をカスケードと名付けたのだろう。

わたしが「カスケード」という言葉をはじめて聞いた場所は、ニュージーランドでした。世界自然遺産ミルフォードサウンドで、氷河が削った入江を船に乗りながら観光していたときのことです。海にそそり立つ断崖絶壁から滝が流れているのですが、この滝のことを「カスケード」というのです。

カスケードというのは「雨の後にだけ現れる」マボロシの滝のことです。晴天が続くとなくなってしまう滝です。

日本にもそういう滝があることはあります。晴れていると「ない」けれど、雨後には滝が流れているという場所ってたくさんありますよね。たぶん滝の名前は「ない」と思います。そういう滝のことをマボロシの滝カスケードというのです。

フィヨルドを巡ったのですが、いちばん印象に残ったのはカスケードでした。すごい雨量、すごい落差、すごい存在感でした。マボロシの滝といいますが、ありふれた日本の滝よりもずっと立派ですごいものです。

那智の滝』でさえ、水量の少ないときはチョロチョロです。わたしは那智の滝が風に流されて霧状になって滝つぼまで届かないのを見たことがあります。「エンジェルフォールかよ!」って那智滝に向かって思いっきりツッコミを入れました。

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『みどりのマキバオー』の見どころ

マボロシの滝(カスケード)は常に牧場の王マキバオーの前に巨大な壁でありつづけました。

カスケードは最後、病気になってしまいます。これ以上、もう走れなくなってしまうのです。

世界へと続く日本競馬の未来をマキバオーに託して、最後の力を振り絞って最終戦を戦うのですが、もはやマキバオーにはかないません。

マキバオーは病気のカスケードを振り切ってトップを独走するのですが、まだ本当の意味でカスケードに勝ったとは考えていません。もはや全盛期ではない病気のカスケードに勝ったところでそれが何でしょうか。

もっとも強かった頃のカスケードに勝たなければ意味がないと考えて、マキバオーは走ります。するとマキバオーには全盛期のカスケードのマボロシが見えるのです。

そのマボロシに勝ってこそ本当の勝利です。まぼろしのカスケードとマキバオーは一騎打ちを繰り広げます。

そうしてとうとうマキバオーは(マボロシの)カスケードに勝ち、ライバル対決に決着をつけたのでした。

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カスケードは幻の滝。幻のライバルだからカスケード

ああ、ここまで見てきてよかったな。とわたしは思いました。

競馬のアニメなんですが、競争中の駆け引き、「思い」は自転車レースそのものです。ぜひ見てみてください。ロードバイク乗りなら絶対にハマりますから。

競走馬たちが思惑をかかえたままスピードを競って走っている姿は、ロードバイクで仲間たちと競争している時の自分たちの姿にそっくりでした。

後半になるにしたがって、ギャグマンガにふさわしからぬ熱血アニメと化していきます。

カスケードの最終戦を見て、わたしはどうして最強のライバルにカスケードなんていう命名をしたのか、わかった気がしました。なるほどマボロシか。だからカスケードなんだ。ラストシーンにぴったりの命名だったな。

作者はどうして「牧場の王」のライバルの名前を「雨後にしか現れない幻の滝」「カスケード」にしたのか、そのわけがわかった気がしたのです。

黒い旋風のラストラン。あの時、あの場所でしか見られなかったマボロシの帝王の幻影。それは雨が降った後にしか見られないマボロシの滝のようなものです。

なるほどマボロシだ。だからカスケードなのか。いい命名だったな。

全盛期のライバルの幻影、マボロシの英雄を追いかけて、それに走り勝つというマキバオーもカッコよかったです。「男の勝負は勝てばいいってものじゃない」ことを教えてくれました。

カスケードが違う名前だったら『みどりのマキバオー』を視聴しつづけることはなかったかもしれません。

そして視聴し続けてよかったと思えた幻想の滝=カスケードのラストランだったのです。

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このブログの著者が執筆した純文学小説です。

「かけがえがないなんてことが、どうして言えるだろう。むしろ、こういうべきだった。その人がどんな生き方をしたかで、まわりの人間の人生が変わる、だから人は替えがきかない、と」

「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」

本作は小説『ツバサ』の後半部分にあたるものです。アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。

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