原材料が植物繊維のトイレットペーパーが、石油不足で買い占められるというのは論理的ではない
かつてオイルショックという時代がありました。そのとき、日本の庶民は買い込みに走り、トイレットペーパーが店舗から消えたとよくテレビなどで放映されています。
しかしよく考えてみると、どうしてトイレットペーパーが買い占められたのでしょうか。
原材料が植物繊維のトイレットペーパーが、石油不足で買い占められるというのは論理的ではありません。灯油やガソリンが買い占められたのならわかりますが。
オイルショックとは何か?
1973年に中東の石油産出国が原油価格を70%も値上げしたことで起こった物価高騰のことです。背景には中東とイスラエルの紛争があったそうです。
石油が値上がりすれば、いろんなものが値上がりするのはわかります。車のガソリンや、燃料の灯油を心配するなら、なにも不思議はありません。ビニールやプラスチックなど直接的に石油からつくられる製品が買い占められるならわかりますが、トイレットペーパーを買い占める人の心情がわかりません。よく考えてみればおかしなことではないでしょうか。
トレぺは植物の繊維からできています。基本的には石油製品ではないはず。それなのにどうしてオイルショックでトレぺが買い占められたのか?
影響を聞かれた政治家が「紙の節約」を呼びかけたことが買い占めのきっかけ
いっけん無関係なトイレットペーパーが消えた原因ですが、オイルショックの影響を聞かれた当時の政治家が「紙の節約」を呼びかけたことが買い占めのきっかけになったそうです。
そりゃあたしかにトレぺがないと困るけどさ。
そして誰かがトレぺを買い占めたのをテレビが報道したことから、群集心理がはたらいて、トイレットペーパー買い占め騒ぎとなったようです。
ではなんで当時の政治家はガソリンの節約ではなく「紙の節約」を呼びかけたのでしょうか?
アホなの?
国民一丸となって買い占めたために、トレぺは店頭から消えてしまった
無理やり関連をつけるならば、こういうことになります。トイレットペーパーは工場で大量生産していますが、その工場を動かすために石油が必要です。だから。
でもそんなこといったら、工場でつくられるものは全部同じことではありませんか。
理性的、冷静な判断が通用しない群集心理のおそろしさ。
ある冷静な知識人がいたとします。
石油の価格があがったからといって、原材料じゃないんだからトレぺがなくなるわけがないと知識人にはわかっています。論理的に考えればわかることです。
しかしそれでも、みんなが殺到して買い占めたらトレぺはなくなってしまうのです。実際に買えなくなりました。そうなれば知識人も買い占めに走らざるを得ないでしょう。理性的、冷静な知識人の判断ももはや役に立ちません。
群集心理というのはこれほどまでに恐ろしいものなのです。