どうもハルトです。みなさん今日も楽しい旅を続けていますか?
消防団とは
知り合いに消防団に所属しているやつがいる。
消防団とは、消防組織法に基づいた消防組織で、普段はそれぞれの職業に専念(消防署員ではない)しているが、いざ火事の時には、消火活動・救助活動を行う、非常勤特別職の地方公務員なのだそうだ。若干の報酬もあるのだという。
幕末に江戸に攻め寄せてくる新政府軍の西郷隆盛と停戦交渉に当たった幕府側の勝海舟が、和議交渉が決裂し、万一新政府軍が江戸攻撃を強行した際は焦土作戦を行うことまで覚悟したと伝えられている。
焦土作戦というのは防衛側が退却する際に、拠点のすべてを灰にしてしまう捨て身の作戦である。進撃する道路は瓦礫の山で進みづらいことこの上ない。食料もなく、水もなく、休憩する建物もなく、煙に大気は汚染され、そもそも価値ある拠点だから攻め落とそうとしたのに、その「価値」そのものがなくなってしまっては、進撃する意味さえなくしてしまう。江戸が欲しいのであって廃墟が欲しいわけではない。
覚悟の焦土作戦への協力を勝海舟が依頼したというのが、本来は防災活動のための組織「町火消し」だったという。もし本当に焦土作戦を実施しようとすれば、もっとも効果的に江戸を火の海にして新政府軍を立ち往生させることができたのはやはり「町火消し」だっただろう。ビルを最も効果的に解体できる方法を知るのは建築家だろう。その気になれば人間をもっとも効果的に殺せるのは医者に違いない。「優秀な探偵=優秀な泥棒」の構図である。
その「町火消し」の現代版が消防団である。
火事があった
その知り合いの消防団が出動した。火事があったのだ。仕事中であっても消防団の仕事は優先される。放っておけば町中が火の海になってしまうかもしれないのだ。相手は火事だ。そういう社会のコンセンサスのもとに、消防団は成り立っている。常勤する仕事よりも重要な仕事なのだ。
一軒家が消失してしまった。アイロンのつけっぱなしが原因だったそうだ。近くで働いていた家の20代の娘が戻ってきた。やがて家族も。家族全員が、家の前で号泣していた。
家が燃えてしまったからではない。そのファミリーでは犬が一匹と猫が二匹、室内飼いされていた。その子たちが火事に巻き込まれて死んだから。
金銭に換算すれば、家が消失した損失の方が莫大なはずだ。ペットの犬や猫なんて100匹買えるくらいの金額だろうに。
しかし家族が泣くのはただペットの犬のこと、猫のこと。そのことばかりを悔いて泣く。
愛情というものは、ときに損得勘定を超える。
犬と猫一匹の死骸は見つかった。
だが、もう一匹の猫の死骸は見つかっていない。無事だろうか。どこに行ったのだろうか。
その猫がその家族のもとに、ある日ひょっこりと現れるといいなと僕は思った。