アメリカの関税政策、関税戦争について、のんびりと考える
タリフマンのアメリカ合衆国トランプ大統領が、世界中にケンカ(関税戦争)を吹っかけています。この関税政策についてはアメリカの世論を二分するほど賛否両論です。しかしアメリカ以外の国は、基本的には反対しています。
アメリカ株に全賭けしている投資家の私が、トランプの関税政策について考えていること、感じていることをここでは書いています。
軍事力をメイドインアメリカだけで維持したいのが本音
政府のトップなら別として、市井のいち投資家としては、トランプの政策の行く末については、もうすこし冷静に見てみたらいいのではないか、と感じています。わたしは直感的に「関税政策は、世界経済は冷え込むが、アメリカ経済は盛り上がるだろう」と予想しました。なぜって、アメリカというのは、食料自給率も100%以上だし、エネルギーも十分の国です。世界最大の産油国ってアメリカなんですよ。だから最悪、全世界からシカトされてもやっていけます。孤立しても構わないというスタンスなのです。この他国のことなんて関係ねえというスタンスはアメリカの伝統芸で、昔からありました。
トランプ大統領は、軍事装備を自国でつくれなくなっている現状を何とかしたいのでしょう。他国の部品に頼らなければ最新・最強の軍隊が維持できないとしたら、アメリカにとっては問題です。その部品供給国とは戦争できません。それが中国だったらどうでしょうか。
月面着陸が、かつてアメリカ単独でできたものが、今はもうできなくなっています。そのように、いまや中国の造船業がアメリカよりも上だとしたら、航空母艦の優位性はなんで保てていると言えるでしょうか?
製造業を自国に取り戻したい、の本音は、軍事力をメイドインアメリカだけで維持したい、だと思います。
赤字だって、カネなんて刷ればいい。基軸通貨を守っているのは軍隊
それで他国に安く働かせて、自分たちは繁栄を謳歌していました。でもそれで製造業が弱くなってしまいました。アメリカの人件費は高すぎます。だから製品を安く作るために、たとえば、工場が海外移転しました。iPhoneは中国で作っています。
工場がなくなると、最新鋭の武器がつくれなくなります。軍備が弱くなることはアメリカにとって致命的です。基軸通貨を守っているのは軍隊だからです。
日本が対抗関税をかけるのは不可能。ペコペコ外交しかない
トランプは口ではドル安(円高)にせよ、と言っています。アメリカの製品を輸出するのに有利なためです。そして製造したものを、弱い国に売りつけるというジャイアン的な政策なのでしょう。攻撃的な関税をかけられるのは世界最強のアメリカだけだとトランプは思っています。事実そのとおりです。多くの国はアメリカにケンカを売れません。アメリカ相手に対抗措置の関税をかけるのは気骨のある国だけでしょう。中国やEUなどがただちに対抗関税をとると発表しました。大国は違いますね。さすがです。
しかし、たとえばアヒンサー(非暴力)の国インドなどは対抗関税という手段を取らないと思います。安全保障というキンタマを握られている日本も、まず対抗関税なんてやれないでしょう。むしろこっちも関税下げますからそちらもお願いしますというペコペコ外交になるだろうな。
頑張れ中国! アジアを代表してたたかってくれ
腰砕け日本に対抗関税は無理ですが、中華は一歩も引かない構えで対抗関税を打ち出しています。たのむぜ! 中国!
トランプが暴挙に気づいてくれるためには、自国の利益を犠牲にしても、対抗してたたかってくれる国がどうしても必要です。みんながひれ伏してしまったら、ますます図に乗るだけでしょう。
第二次世界大戦のときは、アジアを代表してたたかったのは日本でした。中国は自国の利益のために戦うばかりで、すこしも「植民地にされている弱いアジア」の代弁者ではありませんでした。
でも今度こそアジアを代表してたたかってくれることを期待しています。中華よ、君なれやれる!
本当はWW2のときに、アジアの盟主として戦ってほしかったけどね。
基軸通貨を握っている世界最強国。アメリカ経済は強く立ち直るだろうと予想する。
さて、トランプ関税によって、日本など対米貿易黒字で潤ってきた国は、経済が傾くでしょう。輸出品が売れなくなりますから。
アメリカの経済は……一部の輸出に対抗関税がかけられてしまい、混乱するでしょう。しかし基本的には強く立ち直っていくと思います。その根拠は、アメリカが基軸通貨を握っている世界最強国だからです。
私はアメリカ株のリターンで食っている対米投資家なので、アメリカの経済さえ立ち直ってくれれば、日本経済なんて落ちても構いません。っていうか、トランプがいなくたって日本経済は落ちていくに決まっています。
トランプ関税政策の勝利宣言と、神の見えざる手による修正圧力
ですが、私はけっきょくこのトランプ関税政策は失敗するのではないかと考えています。強気の喧嘩をふっかけますが、対米投資の大幅増や、製造業がある程度戻ってきた時点で「勝利宣言」をするのと違いますか?
なにも別に「比較優位」とか「機会費用」とか経済理論を駆使してそう考えるのではありません。他国ならそうするかもしれませんが、アメリカにはそうした斟酌はまったく無用です。そういうことではなくて、単純に世界は、国境をなくす方向に進んでいるはずだからです。ひとつにまとまる方向に世界は向かっています。トランプの政策はその大きな流れに逆行しています。そういうのはいつか「神の見えざる手」に正されると思うんだよなあ。それがトランプ関税が失敗するだろうと予測する私の根拠です。私は世界連邦、世界市民派なので、国籍にこだわる政策や意見には基本的に反対しています。
アメリカファーストとか、くだらない低次元のところで争っていないで、人体のロボトミー化とか、永遠の命の探求とか、鉄腕アトムの作成とか、宇宙旅行とか、もっと人類の夢をかなえる方向にじゃんじゃんお金を使ってほしいものだと思いませんか?
なんで爺さんたちはいつまでも国境なんてものにこだわるんでしょうか? そんなものなくしてしまう方がいいに決まってるじゃん。
パスポートなんか持たなくて世界中を旅することができる日が来ることを夢に見ています。
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旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。
【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●日本海も東海もダメ。あたりさわりのない海の名前を提案すればいいじゃないか
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●もしも韓国に妹がいるならオッパと呼んでほしい
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●「トウガラシ実存主義」国籍にとらわれず、人間の歌を歌え
韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。
「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。
帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。
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