ツアー旅行者とバックパッカーの違いは、歩くことに価値を置くかどうか
3か月ぐらいの長期海外放浪に持参する「たったひとつの」アイテムを探している筆者です。
バックパッカーのたったひとつのメガネに、遠近両用メガネを選ぶべきかどうか
今回のテーマは靴です。
私はパッケージツアーとバックパッカーの最大の違いは、歩くことに価値を置くか置かないかだと思っています。パッケージツアーの中には歩行距離の目安を表示しているものまであります。もちろん多くのツアー旅行者は「歩かないツアー」を選択するのです。
私にとって海外旅行は「歩くアクティビティー」
私は歩くのが大好きです。歩かないパッケージツアーなんて、すこしも面白くありません。
ホテルの前からバスに乗って、観光地の入り口で降ろされ、出口でバスに乗って、ホテルの前で降ろされるツアーには本当にガッカリです。
私にとって海外旅行は「歩くアクティビティー」といっても過言ではありません。私のようなバックパッカーにとって靴は最高に重要なギアだといえるでしょう。
パッケージツアーにはヒールで旅行する女性がいますが、バックパッカーには考えられません。
海外放浪。サンダル一足のみが危険な理由
足はひとつ(一対)しかありませんので、旅先にそう幾つも靴を持ってはいけません。持っていけたとしてもサンダルと「それ」の二足が限界でしょう。
南国に行くならばサンダルのみという選択が可能ですが、熱帯地方以外に行く場合、サンダルのみは注意が必要です。私は韓国・釜山で滞在中ずっと雨に降られて、冬でもないのにサンダルの指先がかじかんだことがあります。
またバリ島でもサンダルのみだったのですが、足がふやけてやばいぐらいフニャフニャになりました。母指球に深い皺が刻まれてついに痛くなりました。母指球に皺が入ったことなんてあのとき以外一度もありません。
どちらもサンダルでなかったら避けられたことだったかもしれません。実は昔の私はサンダル一足主義だったのですが、多くの経験を経て、今では「サンダルのみ」は危険だと考えています。
ランナーは靴フェチ。
私は靴フェチです。シリアス市民ランナーなので、とりわけランニングシューズにはこだわって生きてきました。ランニングシューズに関しては専門家だといってもいいでしょう。
まずは靴のサイズですが、海外旅行に履いていくたったひとつのシューズを選ぶ際にも、ランニングシューズでの知見がベースになります。
私の本当の足のサイズは26.5cmぐらいなのですが、真冬の本番マラソン用シューズは28cmのものを履いていました。ぴったりのサイズだと爪が剥がれたりします。大きめのシューズを選ぶのが鉄則です。さらに決戦用シューズは足底サポート付マラソン靴下(厚め)を考慮に入れて28cmでした。
真夏の練習用シューズは27.5cmのものを使っています。これは夏は靴下を履かないためです。
ところで旅行用シューズは、ただ快適性だけが問題です。靴下を履いてもゆったり感があるように28.5cmの大きめのサイズに決めました。
最終決戦。ハイキングシューズ対トレイルランニングシューズ
さて、はやばやと靴のサイズだけは決められたのですが、問題は「どういうタイプの靴」を選ぶかです。
最終候補に残ったのは、
①ハイキングシューズ
②トレイルランニングシューズ
のどちらかでした。
海外では雨の日でも容赦なく観光に出かけるために、シューズの防水性にはこだわりました。スニーカーなどの一般シューズはこの防水という項目で最終選考から外れています。
この「たった一足」選考をしたことで、これまで視界に入ることすらなかった種類の靴が急にクローズアップされることになりました。それがハイキングシューズです。私は登山をやるので登山靴は持っているのですが、ハイキングシューズというのは考えたこともありませんでした。
とくにMERRELL(メレル)のハイキングシューズが、数か月の旅のたった一足の靴として、ものすごく魅力的に見えるようになったのです。
丈夫だし、悪路もいけるし、防水も完璧。靴底が厚いのですこし背が高くなったかのように視線が上がるのも魅力でした。
普通のバックパッカーだったら、海外旅行に履いていくたった一足のシューズには、ハイキングシューズを選んだらいいと思います。
トレイルランニングシューズの普段履き。丈夫で、防水性があって、走れる
しかし私はランナーです。これは私だけの特殊事情ですが、数か月にわたるバックパッカー旅行のあいだ、どうしても走りたくなるだろうと予想しました。
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雑誌『ランナーズ』のライターが語るマラソンの新メソッド。ランニングフォームをつくるための脳内イメージ・言葉によって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化して速く走れるようになる新理論。言葉による走法革命のやり方は、とくに走法が未熟な市民ランナーであればあるほど効果的です。あなたのランニングを進化させ、市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。
●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」「かかと落としを効果的に決める走法」「ハサミは両方に開かれる走法」
●腹圧をかける走法。呼吸の限界がスピードの限界。背の低い、太った人のように走る。
●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは?
●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」の本当の意味は?
●【肉体宣言】生きていることのよろこびは身体をつかうことにこそある。
(本文より)
・マラソンクイズ「二本の脚は円を描くコンパスのようなものです。腰を落とした方が歩幅はひろがります。腰の位置を高く保つと、必然的に歩幅は狭まります。しかし従来のマラソン本では腰高のランニングフォームをすすめています。どうして陸上コーチたちは歩幅が広くなる腰低フォームではなく、歩幅が狭くなる腰高フォームを推奨するのでしょうか?」このクイズに即答できないなら、あなたのランニングフォームには大きく改善する余地があります。
・ピッチ走法には大問題があります。実は、苦しくなった時、ピッチを維持する最も効果的な方法はストライドを狭めることです。高速ピッチを刻むというのは、時としてストライドを犠牲にして成立しているのです。
・鳥が大空を舞うように、クジラが大海を泳ぐように、神からさずかった肉体でこの世界を駆けめぐることが生きがいです。神は、犬や猫にもこの世界を楽しむすべをあたえてくださいました。人間だって同じです。
・あなたはもっとも自分がインスピレーションを感じた「イメージを伝える言葉」を自分の胸に抱いて練習すればいいのです。最高の表現は「あなた」自身が見つけることです。あなたの経験に裏打ちされた、あなたの表現ほど、あなたにとってふさわしい言葉は他にありません。
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海外放浪中は、日常から歩き回っているため、基本的にはランニングすることはありません。一日の運動量は多すぎるぐらいです。走らないのならば、ハイキングシューズで十分だと思いました。
しかし私はどうしても走ることを捨てられませんでした。実はサンダル一足だった時代も、走れるサンダルを履いていました。一週間ぐらいの旅行ならば走らなくても大丈夫なのですが、数か月の旅行となると、いつか必ず走りたくなるに決まっています。
私は海外旅行中に便秘になることが多いのですが、その原因は旅先で水分摂取量が減ることと、走らないことではないかと睨んでいます。
ハイキングシューズを試し履きしてみたのですが……これで走るのは無理です。ソールが固すぎます。足首が固定されすぎています。
そこでトレイルランニングシューズを選ぶことにしました。私は数々のトレイルランニングレースに参加していて、いくつものトレランシューズを履いてきました。なかなか履いたことのある人じゃないと、こういう発想にはなりにくいのではないかと思います。
トレイルランニングシューズ、いいですよ。バックパッカーにもお勧めします。丈夫ですし、防水性もいいです。なによりも走れます。
フラットソールか、ロッカーソールか、それが問題だ
靴フェチとして、実はもうひとつ悩んだスペックがあります。それはソールの形状です。
ソールには、真っ平なフラットソールと、先端が反り返ったロッカーソール、の二種類があります。
バックパッカーのような、たくさん歩くし、立ちっぱなしでショーを見るなど、ずっと靴を履いている人種は、フラットソールと、ロッカーソールのどちらを選ぶべきなのでしょうか?
たとえばルーブル美術館の鑑賞とか、ディズニーランドのアトラクションを数時間立って待つような場合は、フラットソールの方が向いています。ロッカーソールは前に動き出すことを前提につくられているからです。
ウォーキングに向いているのはロッカーソールです。ランニングシューズはまず100%ロッカーソールですね。
フラットソールか、ロッカーソールか。どちらかを選べば、どちらかを捨てなければなりません。結局、私が選んだのはロッカーソールです。立ちっぱなしの場面よりも、歩く場面の方が多いだろうと判断したからです。
ただし、前につんのめっているような厚底シューズを選ぶのではなく、ゼロドロップといわれるタイプのフラットなロッカーソールのものを選びました。
私が選んだのはアシックスのGEL-CONTEND7WPというシューズです。靴の耐久性(ハイキングシューズ)よりも、走れる形状(トレランシューズ)を採用した。厳密にトレランシューズではありませんが、防水性のあるランニングシューズという感じです。そのまま高級ホテルに入って行けるような見た目も気に入っています。真っ黒なので汚れも気になりません。しめつけず楽であることを重視して4Eのワイドサイズにしました。真冬の厚い靴下を想定して、いつもより0.5センチ大きめのものにしました。28.5cmです。
この靴をバックパッカーが履く「たった一足」のシューズにして、別にサンダルは持とうと思います。
なによりもサンダルがあるとホテルの中が快適になります。飛行機の中で履き替えるのも快適ですよね。

