スキー場で肩から転倒して、救急スノーモービルで医療機関に運ばれた
スキー場で、雪山に地べた座りしているスノーボーダーのボードにスキーを引っかけられて転倒した私は、起き上がれなくなり、救急スノーモービルで医務室へと運ばれたのでした。
まさか自分がスキー場の救急スノーモービルで運ばれる日が来るとは思ってもいませんでした。しかもそれが今日とは。
もうスキーどころではありません。イロハは病人の私を家に連れて帰らなければなりません。
しかしロッジに荷物を置いたままのため、帰るといってもとりあえず荷物を回収しないと帰れません。
荷物を取りに帰ったイロハを待つ間、とにかく私は寒さに震えていました。
体温発生装置がぶっ壊れてしまったように寒い
もちろん雪山ですからもともと寒いのですが、そういう寒さではなく、もう体温を発生させる体の機能がぶっ壊れているという感じです。
みっともないけれど、震えが止まりません。
私があまりにも震えているので、
「イロハさんは後でご案内しますから、先に行きましょう」
医務室のスタッフに勧められて、先に病院に行くことに同意しました。
くれぐれもイロハに行き先を伝えてくれるように頼みます。彼女だけがたよりです。
救急車で町の病院へと運ばれます。
病院ではレントゲンを撮られて、いろいろと調べられました。
「右肩脱臼骨折」
それが正式な診断名でした。
脱臼骨折。骨が関節包を破って折れた!
肩というのは、丸い骨が、包み込むような骨の中にカポッとはまっているような構造をしています。だから肩を回転させることができるのです。
その関節は、関節包という袋に包まれています。
関節包の中は潤滑油のような体液が満たされて、きしまないようになっています。
人体のベアリング構造です。
その関節包が衝撃で破れて、骨が外に出てしまったのです。それが脱臼です。
ついでに骨も折れていました。
ドクターはとにかくまずは腕をはめましょうといいます。
このまま腕が関節から外れたまま固まってしまっては、将来、腕が動かなくなってしまいます。
治療はまずとにかく腕をはめてからなのです。
ドクターは脱臼骨折した右腕を引っ張ります。引っ張って、関節にカポッとはめようとしているのです。
しかし私が痛がって力をいれるので、肩の筋肉が張って、ドクターの力では腕を引っ張り切れません。
「力を抜いて」
ドクターに言われますが、痛みに身構えてしまいます。力が抜けません。
ナースとドクターの二人で腕を引っ張りますが、脱力したら腕ごと持っていかれそうです。痛みへの恐怖で腕の力は抜けません。
怪我人との腕の引っ張り合いに負けたドクターは、とうとう全身麻酔を使うことを決断しました。
私の意識を奪ってしまえば、痛みに身構えることもなく、腕をはめることができるのです。
私は意識を失い、気が付いた時には、腕がはまっていました。
全身麻酔を使う頃、荷物を回収したイロハが駆けつけて、病室の外で待機してくれていました。
痛みや恐怖でわめき散らしていたそうですが、まったく覚えていません。