イロハ「ハルトはいつも語るよね『神々の山嶺』。大好きなんでしょ?」
ハルト「言ってしまえば、ただの山の『あしたのジョー』なんだけどね」
イロハ「どんなところが?」
ハルト「あなたにもらってほしいんですって遺品(手記、グローブ)を渡すところ。足をくじけば膝で這い、指をくじけば肘で這いと、燃え尽きるまで命を燃やすところ」
イロハ「ツンデレか!! いきなりディスってない?(笑)」
ハルト「ついでにいうと山のアルベール・カミュの『シーシュポスの神話』これは初めから山がテーマで、そのまんまか」
イロハ「どんなところが?」
ハルト「何の意味もないのが人生で、何かの途上であっても、命を燃やすことこそが人生という哲学が」
イロハ「ツンデレか!」
ハルト「おれたちがカトマンドゥに行ったのも、エベレストを見たのも、ダクシンカーリの血の儀式を見に行ったのも、すべてこの作品があったからなんだよ」
イロハ「やっと素直になったか。それほど影響されてるんだ」
ハルト「小説読んで泣きそうになったのは久しぶりだったから」
イロハ「山ヤの端くれだもんね、ハルトも(笑)」
思え。
ありったけのこころでおもえ。
想え――