ペットではなく花を飼う
「ペットを飼いたいけど、事情があって飼えない。。。」
というわけではない。
アパート暮らしである。しかし最近のアパートなのでイヌ、ネコを飼うことができる。
実際、我が家の下の部屋ではチワワ犬を飼っている。
しかし別の理由でウチでは無理だ。イヌは金と手間がかかりすぎる。
感染症で「家ごもりの日々」なので、植物の人気が高まっていると聞く。
花ならば臭いも、糞尿や体毛に由来するアレルギーもない。
多肉植物「エケベリア」
近くの家から、株わけで多肉植物をもらってきた。
花は散る。
来ては去っていく草花たちの中で、いちばんずっとそばにいるのがこの多肉植物である。
多肉植物というのは、乾燥不毛地帯に適応するために、水分を葉などに蓄えることができるように進化した植物のことである。
葉が水を蓄えてぷっくりしているので多肉とよばれている。
アロエやサボテンなども多肉植物の一種だ。
生命力が強い植物が多い反面、パッと咲いてパッと散るというダイナミックな変化を見せてくれることがない。
普段は生きているのか、死んでいるのか、よくわからないやつである。
あまり水をやらなくてもすむために手間がかからないのがメリット。
愛嬌のない子があまりかわいくないように、変化がないため主役の座をはるのはむずかしいやつだと思っていた。
ところが私の呟き(悪口)が聞こえたのか、この多肉植物が花茎をのばして、なんと花を咲かせやがったのだ。
見事なものではないか。
ちゃんと花言葉まであるらしい。
「優美」「たくましさ」「穏やか」「風雅」などの意味がつけられているそうだ。
菜の花にはとうてい及ばないが、生きているのか死んでいるのかわからないやつなんて言って悪かった。
多肉植物は生きている。
菜の花は来て、去った。
鮮やかな色、かぐわしい香りをまき散らして、しぼんで散った。
今はどこにもいない。
しかしエケベリアは生きている。
ずっとそばに寄り添う子がかわいいように、多肉植物は今では我が家の第一のパートナーとして花を咲かせている。