なんで内科、外科っていうの? 内と外の意味を探る。
病院ぎらいのアリクラハルトです。
【医者ぎらい】「風邪かどうかは、これから診察しておれが決めるんだ」と怒る先生
花粉症の処方箋は耳鼻科だけでなく内科でも出してくれることがわかりましたが、さすがに外科では出してくれません。
ところでどうして内科、外科っていうんでしょうか。からだの外側(皮膚系)と内側(内臓系)を担当しているわけでもなさそうです。
内科の内は内服薬の内じゃない?
じゃあ外科の外は?
外から手を突っ込んだりするから外科?
オイオイ。それをいうなら内部に手をつっこむんだから
内科じゃないの?
私には、外科というのはメスをふるう担当で、内科というのは切った貼ったなしというイメージがあります。
内と外というのは対の概念ですが、それほど対極の仕事をしているわけでもなさそうです。
それなのに、どうして内科、外科というのか、疑問に思ったので調べました。
内と外は対の概念。英語では対の言葉を使用していない。
内科、外科の内と外というのは対の概念ですが、それほど内科と外科は対極の仕事をしているわけでもなさそうです。それなのに、どうして内科、外科というのか、疑問に思ったので調べているわけです。
内科、外科というのは日本語です。英語ではphysician、surgeonというそうです。英語では別に対の概念ではないのです。日本語だけが対の概念になっているわけです。
そのことを確認した上で、内科と外科がどうして対の概念になっているのか、調べてみました。
内科の定義。内科の内は内臓の内
開腹切開手術は麻酔(華岡青洲1804年)なしには難しいので、歴史的に見ると医学といえば内科のことでした。ヒポクラテスの時代から内科こそが医術の王道だったわけです。
ちなみに内科は15歳以上の人が対象だそうです。それ以下の人は小児科が担当です。子どもというのは大人にくらべて薬効成分が少量だったりしますので、担当が分かれているのです。
外科の定義。外科の外は本流の外の外
これに対して外科の定義は、手術によって治癒を目指す分野ということですね。内臓に限らず、切れた腱をつなぐのも、凍傷の指を切断するのも、粉瘤の除去をするのも外科です。
外科の外というのは、本流(医術の王道であった内科)の外という意味です。
元々は差別用語。
仏教では悟りを得るための道程である内道(ないどう)に対して、外道(げどう)という言葉があります。一般的なルートを外れたルート、人のことを外道というわけです。
医術の内科、外科もこれと似ています。もともと内科があって、そこに後から外科ができました。伝統的な医術を学んでいた者からすれば、後発の無気味な異端の術だったに違いありません。だから伝統的な仏教者が外道と呼んだように、伝統的な内科が外科と呼んだもののようです。
元々は差別的につかわれていた言葉なのでしょう。しかしそれがそのまま言葉として定着してしまいました。
でも外科医はそんなこといちいち気にすることはありません。たとえば内海(ないかい)と外海(がいかい)という言葉があります。これも内と外ですが、別に内海の方が外界よりもすぐれているってわけじゃありません。むしろ外海には内海にはいない巨大なクジラが泳いでいたりします。
言葉なんてただの発音だから、気にすることないのです。