ドラクエ的な人生

映画『U・ボート』。太平洋戦争中。すでに潜水艦の新時代に移り変わったのに、日本軍はまったく気づかなかった。

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太平洋戦争中。すでに潜水艦の新時代に移り変わったのに、日本軍はまったく気づかなかった。

先日、山岡荘八『小説太平洋戦争』をネタに、太平洋戦争のあいだに戦艦時代から空母時代、そして潜水艦時代を迎えたのだ、という記事を書きました。

山岡荘八『小説太平洋戦争』。日本だけ特別だと思うのがすべての間違いの元

マレー沖海戦や真珠湾攻撃で、戦艦から航空母艦に時代は移り変わりました。いちはやくそれに気づいたのがアメリカで航空母艦を大量生産しています。

日本も大和型戦艦の三番艦、信濃を空母に改造するなど、必死に航空母艦時代についていこうとしました。ついていこうというか、日本が空母時代を築いた自負すらあったでしょう。

ここまでは多くの作家、著者が書いていることです。

しかしその空母信濃は潜水艦に沈められています。空母大鳳も、翔鶴も、すべて潜水艦の雷撃によって沈められているのです。実際には、太平洋戦争のさなかにすでに潜水艦の時代が来ていたのではないでしょうか。

「太平洋戦争の初頭に戦艦から航空母艦の時代になったが、さらに時代は進化して原子力爆弾と潜水艦の時代がやってきた」と書くべきなのです。

このことはほとんどの著者が見落としているところです。山岡荘八を含めて戦艦大和や空母赤城のことは詳しく書くけれど、潜水艦のことはほとんど書こうとしません。それは潜水艦時代のことを認識していないからでしょう。

日本は石油をもとめて開戦初期にインドネシアを占領しました。せっかく占領した蘭印の石油は役に立たなかったのでしょうか?

南方・南洋の石油は帝国海軍の役に立たなかったのか?

実はあまり役に立ちませんでした。日本に輸送しようにも油槽船がことごとく潜水艦によって沈められてしまったからです。

ドイツのU-boatの大戦果を見て潜水艦の時代が来ていたことをアメリカは気づいていました。しかし日本は真珠湾での戦果に勝ち誇り(空母時代を切り開いたのは日本だと勝ち誇り)、さらに潜水艦の新時代が来たことに気づきませんでした。

その証拠に日本の潜水艦はろくな名前がついていません。伊号潜水艦といって、伊〇号という名称しかついていないのです。これではただの識別番号です。愛情がありません。もし潜水艦が決戦兵器だと認識していたら武蔵瑞鶴といったような、強そうな愛称をつけたことでしょう。アメリカの「ノーチラス号」とはえらい違いです。

ジュール・ヴェルヌ『海底2万マイル』ネモ船長は何を求め、何に復讐しているのか?

大本営が潜水艦時代に気づかなかったように、太平洋戦争の軍記を執筆した作家たちもそのことにまったく気づいていません。多くの軍記を読みましたが、そのことを指摘している作品を読んだことがありません。

わたしの書いた記事はそういう意味で価値あるものだったと自負しています。他の人が指摘していないことを書いているからです。

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中国の航空母艦は対艦ミサイルで沈められる。発想が時代遅れ。

2022年現在、中国が複数の航空母艦を就役させようとしています。それに対して脅威をおぼえる日本人が多いのですが、空母なんて対艦ミサイルで一発で沈められるのではないでしょうか?

むかしの帝国海軍と同じように時代遅れの発想だと思います。

むしろ揃えるのなら潜水艦でしょう。だって第二次世界大戦の時点で空母から潜水艦の時代が来ていたのだから。今さら空母なんて時代錯誤の考え方ですよ。

その点、ロシア原子力潜水艦を建造し、そこから核ミサイルを発射するという戦略をとっています。原潜なら秘密裏にアメリカ大陸に近づけるので、無言のプレッシャーをあたえることができます。

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映画『U-boat』潜水艦の沈降、浮上のしくみ

ところでその潜水艦ですが、どうも浮上のしくみがわからないので調べてみました。

潜水艦の映画で有名なのは『U-boat』です。わたしも観ました。潜水艦内の兵士たちが前に後ろにと狭い通路を移動して潜水艦のバランスをとっているのが非常に印象的でした。潜水艦内では、乗組員も重量であり、バランサーとなるのです。

沈降のしくみは簡単です。潜水艦は空気タンクのようなものを備えていて、そこにたくわえている空気を抜けば、海水が入り込んできて、重さで沈むのです。理の当然ですね。

タンクの空気をほどほどに抜けば浮力と重力が釣り合って浮かびも沈みもしない均衡状態となります。ヘリウムガスで浮かぶ風船のようなイメージですね。

問題は浮上です。映画『U-boat』にもそんなシーンがありましたが、浮上するときにはバラストタンク内に空気を送り込んで、中の海水を排出します。すると浮き上がるわけです。

なるほど……と思ったのですが、アレ何かおかしくない?

タンク内に送り込む空気は圧縮されて潜水艦内の装置に閉じ込められているわけです。だがそれだって浮力にならないのでしょうか?

お風呂に風船をしずめたとき、ギューッと小さくしたら浮力が小さくて、大きくしたら浮力が大きいというのと同じことですよね? 質量保存の法則? みたいなものは作用しないのでしょうか?

調べたところ、潜水艦の密度の問題のようです。全体的に水よりちょっとだけ重いと沈みますが、同じ重さでも水よりちょっとだけ重たい中心部分を水よりちょっとだけ軽い物質で取り囲めばその場合は浮かぶということのようです。

なんかわかったような、わからないような……直感的にはアレな感じがするけど……文系なので……てへぺろ。

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映画『U-boat』を見ていると、電力不足でタンクに空気を送り込めず、ユーボートは沈降したまま浮上できなくなってしまいます。乗組員は酸欠で非常に苦しむのですが、バラストタンクを排水するための空気を吸うわけにはいかなかったのかね? 当時のドイツのU-boatはそういうシステムになっていなかったんだろうと思いますが、オレが潜水艦の設計技師なら、タンクに送り込む圧縮空気をすべて酸素にして、困ったときにはそれを使えるように設計するけどな。

……爆雷で爆発しちゃうだろうって? どのみち潜水艦は発見された時点で終わりです。

秘匿行動こそが命の兵器なのです。

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