壬申の乱。天智天皇、天武天皇、持統天皇
日本の歴史の本を読んでいたら、おかしなことにぶち当たった。
大化の改新を行った中大兄皇子は長じて天智天皇という天皇になりました。
ところがこの天智天皇の次の世代は、帝の座をめぐって争いがありました。
壬申の乱といいます。天智天皇の弟の天武と、息子の大友皇子がたたかって、勝ったのは天武。第40代天武天皇です。天武天皇というのは日本の歴史書「古事記」「日本書紀」の編纂を命じた天皇です。その妻が第41第天皇持統天皇。この夫婦を「天武・持統朝」といい、皇室の歴史のなかでも特別視されています。
天武・持統朝。白鳳文化。飛鳥京。記紀の編纂。火葬
「天武・持統朝」は白鳳文化の時代であり、飛鳥浄御原宮(飛鳥京)の主です。天武天皇は「天皇」「日本」をはじめて名乗った天皇、持統天皇は自らの意志ではじめて火葬された天皇だとされています。
歴代天皇の中でも、とくに大きな業績を残した二人なのですが、天武天皇というのは皇室の簒奪者であり、実は天智天皇の弟なんかじゃないんじゃないかという説があります。要するに「作り話」だというのです。天智天皇の弟だという根拠は天武本人が編纂した記紀であり、いくらでも自分の正当性を主張(改ざん)できるというわけです。
天智系天皇と天武系天皇がいる。
日本の歴史の中には、天武の系統の天皇のことを天武系天皇と呼んで、天智系天皇と区別していることがあります。
天武系は8代。そのあとで皇室はまた天智系に戻ります。
王室の血脈が変わったことに謎はありません。戦争をして勝った方が権力を握ったというだけの話しです。
他国の場合、ふつうはここで王朝が交代ということになります。血統的にこれまでとはまったく違う王朝が建国されるわけです。中国なんかはそのわかりやすい例で、元や清は漢民族の王朝ではありません。
ところが日本の場合は、もとの天智系に戻るんですな。珍しいことだと思います。
ところでこの天智系、天武系を調べていくと、朝鮮王朝に行きつきます。天智系も天武系も、どっちにしても百済王族(朝鮮の王朝)だという説があるのです。昔は中国と地続きだった朝鮮半島の方が倭国よりもずっと文明が進んでいたのですが、朝鮮半島で権力争いに負けた人たちが日本に逃げてきたというわけです。それが皇室の元だというのです。
日韓併合は、天皇は朝鮮にルーツをもつんだから、せいぜい王朝が交代したぐらいのことだと思ってもらえないかしら
血をただせば朝鮮人。ありえることだと思います。藤原氏なんかも朝鮮氏族だといわれています。
中国の元の皇帝、清の皇帝を、中国人(漢民族)扱いしないで、しょせんは中国人の王朝じゃないというのならば、日本の皇族も同じことがいえないでしょうか。
韓国がいつまでたっても「日韓併合を許さない」とか「土下座して謝れ」といいつづけるのならば、いっそのこと日韓併合は天皇の名で行われたことで、天皇は朝鮮にルーツをもつんだから、せいぜい王朝が交代したぐらいのことだと思ってもらえないでしょうかねえ。そんなにプライドが傷つかなくてもいいのではないかと思います。
誇り高き朝鮮民族が劣った他民族(倭人)に支配されたということで怒っているんでしょうから、いや実は天皇は朝鮮ルーツだからしょせんは同族支配だったんだよ。王朝が変わったくらいのことなんだ、といえば、怒りもとけるのではないかと思います。
それよりも日本人だとか韓国人だとか、ロシア系民族だとかウクライナ人だとか、そういうことにこだわるのはやめた方がいいと思います。こだわりつづけるかぎりいつまでも戦争はなくなりません。
こういうことは誰も言いませんが、なぜなんでしょうか? もしかして韓国帰りの帰国子女の私だからこそ言えることかと思いここに記す次第です。
× × × × × ×
旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。
【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●日本海も東海もダメ。あたりさわりのない海の名前を提案すればいいじゃないか
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●もしも韓国に妹がいるならオッパと呼んでほしい
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●「トウガラシ実存主義」国籍にとらわれず、人間の歌を歌え
韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。
「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。
帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。
× × × × × ×