旅先では想像もしないものと出会う。脳みそが活性化される
六月の上旬です。車中泊の旅をしてきました。あやめやカキツバタ、あじさいなど梅雨のシーズンに満開の花が花弁を濡らして美しく咲いていました。
旅先ではいろんなものと出会いますね。家にいると想定範囲内のものとしか出会いませんが、旅先だと想像もしなかったものと出会います。脳ミソが刺激されて活性化します。
その旅の途中で「ミニバス育成」駐車場というのがありました。
「なんだろ、これ?」
見かけた「ミニバス研修会」について妻と話していて、話しがぜんぜん噛み合いません。妻は何の話しをしているんだろう?
「ははん。さては……」とピンときました。他人と意思疎通がうまくいかない場合、たいてい「頭に描いている主語」が違っていることが多いのです。
ねえ。今、頭の中に何を描いているの? ミニバスって何を想像してる?
えっ、ミニバスって「小さな蓮」のことじゃないの?
いや、ミニバスって「小さなバス」のことでしょ?
妻はミニバスを「小さなハス」のことだと思っていました。六月初旬です。季節的にももっともな連想でした。これまでの旅の途中でたくさんの睡蓮を見てきたからサブリミナル効果で「なるほどもっともな連想」だったと思います。
夫はミニバスを「小さなバス」のことだと思っていました。旅の中で「あやめ祭り」「あじさい祭り」などを鑑賞してきました。会場にはたくさんのバスが停まっていて大勢の団体客と鉢合わせでした。サブリミナル効果で「なるほどもっともな連想」だったと思います。
主語が違えば、話しは噛み合わないのが当然
なるほど。どうりで話しが噛み合わないと思いました。主語が違えば、話しが噛み合うわけがありません。二人して別の話しをしているわけですから。
会話が噛み合わない理由がわかったので、話しはここで中断です。
ところで、ミニバスって、ここでは何のことなんだろう
わかんないけど、小さなバス(ブラックバス)のことだったりして
ははは。特定外来生物のバスを育成してどうすんだ
車中泊の旅をしてきた水郷地帯では、たくさんの釣り人を見ました。サブリミナル効果で釣り人からバスを連想をしても無理はない状況でした。それもまた「なるほどもっともな連想」だったと思います。
ところであまりにも気になったので、育成会場の中身を確認したところ、ミニバスの正解は「ミニ・バスケット」のことでした。
ミニバスケットってミニバスって訳すのかよ! 知らんかったわ。
主語が違えば、話しが噛み合うわけがない。
お互いが頭の中で連想している話題の主体語。その主体語(主語)が違っていたら、話しが噛み合うわけがありません。それぞれ別の話しをしているわけですから。
日本語は、英語など外国語にくらべて「同音異義語」が多い言語だと言われています。
そのせいで主語が違うことはありがちなことです。
私たち夫婦のあいだでも会話が成立しているように見えて、実は互いに違う主語の話しをしていたということがよくあります。会話してしばらくして「あれ?」と気づくのです。
「××」といって人それぞれで連想するものが違うからです。「××」から「想像するものが違う」「思い浮かべる主体が違う」などによって会話が成り立たないんですね。
いずれにしても話しが噛み合わない場合、頭に描いている主体語が違っていることが多いので、まずはそこを検証するところから他者との会話ははじまります。
会話は、まずは「頭に描いている主体語」のすりあわせから始めなければなりません。