外国語だと、わかりきった内容でも、おもしろおかしく聞くことができる
英語の勉強をしています。私が狙っているのは旅につかう実用的な英語。とくにヒアリングに重点を置いて学んでいます。とくに昨今はYouTubeのポットキャスト系のコンテンツが充実しているので、それを流して聞いています。
英語(外国語)のいいところのひとつに、子供向けの内容でも最後まで聞けるということがあります。たとえばコロンブスのアメリカ発見のようなエピソードは、日本語だと知っている内容なので、今さら最後まで動画を見ることはありません。
しかし英語だと、こっちは語学の勉強だと思っているので、最後まで動画の鑑賞ができます。母国語だとつまらない、わかりきった内容でも、外国語だと、おもしろがって最後まで聞きとおすことができるのです。
これはちょっとした発見でした。子供向けのコンテンツが面白いなんて! 外国語には、もう一度人生を生きなおすような面白さがあります。
ナイル川クルーズ。ファルーカ、無風で動かず

ところで、コロンブスの航海のストーリーを英語で聞いていて、あることを思い出してゾッとしました。
それはエジプトでのこと。わたしたちはファルーカという船に乗ってナイル川クルーズを楽しんでいました。このファルーカというのは、霞ケ浦の帆引き船みたいな帆船です。
最初は調子よく進んでいたのですが、途中でピタッと風が止まりました。するとファルーカはまったく進まなくなります。ナイルも流れがゆるやかで、本当に川面にポツンと浮いているだけという状態になりました。

私たちはしばらく風を待ちましたが、そよとも吹きません。
予定盛りだくさんのツアーでした。ナイル川クルーズのあとは食事の予定がありました。このまま動けないままだと、レストランでは、せっかく温めたであろう食事が冷えてしまうでしょう。

このままどうなるんだろう……?
そう思いながら、ファルーカが動くのを待っていました。
不安になり始めた頃、ツアーコンダクターが近くを通ったモーターボートに大声で「ヘルプ」と大声で叫びだしたのです。

マジかー。ヘルプかよ!
そういうことかと、ツアー仲間もみんな腑に落ちました。ここぞとばかり大声で「ヘルプ!」と叫びました。ヘルプの一斉射撃、大合唱でした。

遭難したのか、おれたちは?
時々あることなのでしょう。モーターボートは、あたりまえのように近づいてきてロープでファルーカをつなぎ、モーターエンジンで川辺のレストランまで引っ張ってくれました。
サンクス!
海上にポツンと一軒家。帆船は無風、無海流で動かなくなる。

コロンブスがヨーロッパからインドに向けて西回りに出発したのは、帆船です。蒸気機関のようなエンジンは積んでいませんでした。ファルーカと同じく、完全に風だのみの船です。
サンタ・マリア号も風や海流がなかったら、あのときのナイルのファルーカのようにただ海の上に漂っているだけという状況になったはずです。私が聞いた英会話の教材では、無風でポツンと海に漂った瞬間のコロンブスクルーたちの恐怖のことは何も語りませんでした。しかし聞いている私がナイル川でそれを体験しているので、そのときのことを思い出して、それを想像することができたのです。実際にコロンブスはそれを体験しているそうです。
まだ前に進んでいれば、近づく希望に勇気がわいたでしょう。しかし海の上に「ポツンと一軒家」状態は、恐怖に心が削られたことでしょう。大西洋上で、周囲に海しかないところで、ただ漂っているだけという状態が、どれほど恐ろしいものだったでしょうか。
ナイル川では、両岸の陸地が見えていましたし、行きかう船もありました。「あれ、動かなくなったな」とは思っても、このまま飢え死にするかも、とはつゆとも思いませんでした。しかし大西洋上のコロンブスは違います。死の幻影を見たでしょう。陸地も見えず、周囲に船なんかあるわけがありません。ただひたすら風が吹くことを祈るしかなかったはずです。その恐怖を想像して私はゾッとしたのでした。
たとえ、英会話用の簡単な表現で書かれた物語でも、視聴している側は経験豊富な大人ですから、本文に書かれていないことまで想像して、ゾッとしたり、感動したりすることができます。そしてそれが外国語を学ぶことのだいご味だったりします。イソップ物語みたいな、今さら母国語で聞いたりするようなことはない素朴で単純な物語でも、外国語だったらおもしろがって最後まで聞きとおすことができます。むしろ内容を知っていることで、知らない英単語の意味を想像でおぎなったりすることができるので、却ってメリットがあったりします。
それが私が自著『バックパッカースタイル』で説いた「強くてニューゲーム」 → 人生ゲームをもう一度はじめからプレイする方法、の要諦だったりします。
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本書の内容
・「ユーミン主義(遊民主義)」→ 限りある時間の人生を、遊びながら生きていく方法。
・「プアイズム(ビンボー主義)」→ お金を使わないからこそ、人生はより楽しくなる。
・「新狩猟採集民としての新しい生き方」→ モノを買うという行為で、どこででも生きていける。
・「お客さまという権力」→ 成功者にも有名にもならなくていい。ただお客様になればいい。
・「スマホが変えた海外放浪」→ なくてよし、あればまたよし、スマートフォン。
・「強くてニューゲーム」 → 人生ゲームをもう一度はじめからプレイする方法。
・「インバウンド規制緩和」→ 外国人の感受性が、日本を自由に開放してくれるのだ。
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