ドラクエ的な人生

大平洋戦争。命よりも価値のあるものがある。自分だけが生きのびればいいというものではない。

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『永遠の0』格下の脚本家が、格上の小説家のストーリーを改変するのは、不届きなことだと思う。

岡田准一主演で映画にもなったのでストーリーを知っている人は多いと思う。

今回、紹介するのはその原作であるが、小説と映画でストーリーはほぼ変わらない。「よかった」と、ホッとしている。

よく映画になると脚本家がオリジナリティーを発揮して原作の面白さが台無しになってしまうということがある。

しかしこれはおかしなことではないか。

脚本家なんて小説家になれなかった人がなるワンランク下の職業なんだから(職業蔑視上等! 違うとでも?)、小説家のオリジナル・ストーリーを脚本家が変えるなんて、本来あってはならないことだと思う。

脚本家がオリジナリティを発揮したかったら、自分で小説を書くか、書下ろしの脚本を企画会議にもちこめばいいのだ。

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このブログの著者が執筆した「なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?」を追求した純文学小説です。

「きみが望むならあげるよ。海の底の珊瑚の白い花束を。ぼくのからだの一部だけど、きみが欲しいならあげる。」

「金色の波をすべるあなたは、まるで海に浮かぶ星のよう。夕日を背に浴び、きれいな軌跡をえがいて還ってくるの。夢みるように何度も何度も、波を泳いでわたしのもとへ。」

※本作は小説『ツバサ』の前編部分に相当するものです。

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映画は原作通りの展開

小説『永遠の0ゼロ』は、映画通りに展開していく。もちろん実際には逆で、映画が小説の展開どおりに進んでいくわけだ。

ライターの姉が戦争体験者の証言を集めた本を執筆することになった。その執筆のネタとして神風特攻隊として死んだ「自分の祖父」を追いかけることで、孫の「ぼく」が戦史を学びつつ、祖父の死を通して成長していくというビルディングスロマンである。

ここでのミソは戦史を学びつつ、というところである。

「若者よ、もっと戦史を知ってくれ」というのが作者・百田尚樹の強い執筆動機になっていたことは間違いない。

つらつら戦史を並べても、誰も読んでくれないから、感情に訴えかける小説にして、その中で太平洋戦争史を語っている。

さて太平洋戦争であるが、みなさん知っているだろうか?

私はそこそこ戦史通である。

もともとはソウル日本人学校の出身であるため、韓国が日本の植民地支配から解放された日本の敗戦とはどのようなものだったのか? という身近なところから興味を持っていろいろ勉強した。

ハワイのパールハーバーで戦艦ミズーリに乗って、日本が降伏調印した場所にも行っている。

重光葵が降伏文書にサインしたミズーリ艦上にはマーキングがされているのだが、そこでアメリカ人観光客に「ジャップがここでサレンダーした……」とチャラく語っていたので、「殺すぞ」ぐらいの気迫でガンつけてやったら「ジャパニーズが……」と言い直したぐらい愛国者である。

大平洋戦争関係の本はたくさん読んだが、もっとも面白く読んだのは、『連合艦隊の栄光』伊藤正徳・著である。

この本は非常に面白いのでおすすめしたい。不謹慎かもしれないが、太平洋上の艦隊決戦をウォーゲームのように見ることができる。酸素魚雷とかアウトレンジ戦法とか近接信管とか非常に面白い本である。

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大平洋戦争通史を空軍の視点から見ているのが面白い

大平洋戦争を眺めるときに、視点を固定すると理解しやすい。
たとえば海軍の視点から戦史を眺める、というように。
もちろん陸軍の視点から戦史を眺めてもいい。政治家の視点から眺めるということもあるだろう。
石油のようなエネルギーの視点から太平洋戦争を眺めるという視点もある。
https://arikura.com/brunei/
いずれにしても複雑怪奇に絡み合った大戦争をいきなり総体的に理解するのは難しい。
いちばんおすすめなのは、やはり海軍の視点から眺めることだろう。
大平洋戦争はアメリカとの島獲り合戦だから、海軍抜きではそもそも戦争にならないのだ。
だから海軍(連合艦隊)目線で眺めると、太平洋戦争通史を通観できるのである。
ところが本書『永遠の0ゼロ』はゼロ戦乗りのパイロットの視点から太平洋戦争を描いている。
いわば空軍の視点から太平洋戦争を描いているわけだ。
第二次世界大戦当時はまだ航空戦力の黎明期で「空軍」というものはまだなかったのだが、パイロット目線の戦史ということは、そういうことだ。
人類史上前例のない航空母艦どうしの対決など、太平洋戦争はウォーゲームとして見ると非常にエキサイティングである。
空母機動部隊の決戦であったマリアナ沖海戦などは、小沢治三郎(連合艦隊司令長官)目線で見れば艦隊決戦であるが、パイロット目線で見れば航空決戦である。
孫が祖父について聞かされている設定になっているため、ゼロ戦パイロットに共感しつつ、読書によって先の大戦争を追体験することができるのだ。
そんな中で現在でも通じる教訓を学び取ることができる。
どうして負けたのか? → ケンカを売る相手を間違えた。そもそも勝てる相手ではない。
日本人の欠点とは何か? → 精神主義に傾きすぎる。十字砲火に銃剣突撃するのは長篠の戦いの武田家や西南戦争の西郷軍と同じだ。
日本の組織の悪しき点はなんだったのか? → 年功序列や階級差別
その悪弊は今でも残っていないか? → たとえば官僚などは今でも「兵学校出身」の越えられない壁が残っている。
敗戦から学ぶところはたくさんある。むしろ勝利よりも敗北から学ぶことの方が多い。
それはあたかも失敗や苦悩からこそ、自分の本当の望みや人間のあるべき姿を知ることができるように。
人生は関門突破ゲーム。壁は人生をおもしろくするためにある
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人として生きるということ。自分だけ生きのびればいいというものではない

小説だから情感に訴える。その部分がなければただの戦記物である。
『永遠の0』では、祖父・宮部久蔵が「妻子のために死にたくない男」であるところが、物語のキーとなっている。
妻子というのは主人公「ぼく」から見れば、祖母と母のことなのだ。
「死にたくない男」設定は、戦争批判にもなる。読者が宮部に同情すればするほど戦争に対して嫌悪感が湧いてくる仕掛けだ。
そして「死にたくない男」が最後は特攻で死んでしまうことを読者は最初から知っている。撃墜されたのならば「死にたくない」のに死んでしまったかもしれないが、「特攻は志願」という前提だから、心境の変化があったということだ。
その心境の変化を読者は追体験したい。
「刑事コロンボ」「古畑任三郎」では最初から犯人がわかっている。最後は逮捕されてしまうこともわかっている。しかし犯行に自信満々の犯人が徐々に自信を失って完膚なきまで叩きのめされるところが見たいわけだ。
『永遠の0』では、「死にたくない男」が、なぜ「死を選んだのか」が描かれている。
それは、自分の命が何でできているのかを、死を見つめる中でつきつめた男の決断だった。
自分だけが生きのびればいいというものではない。そう考えざるを得なかったということだろう。人として生きるということは。

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このブログの著者が執筆した純文学小説です。

「かけがえがないなんてことが、どうして言えるだろう。むしろ、こういうべきだった。その人がどんな生き方をしたかで、まわりの人間の人生が変わる、だから人は替えがきかない、と」

「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」

本作は小説『ツバサ』の後半部分にあたるものです。アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。

Amazon.co.jp

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物語のあらすじを述べることについての私の考えはこちらをご覧ください。

物語のあらすじを紹介することについて
あらすじを読んで面白そうと思ったら、実際に照会している作品を手に取って読んでみてください。ガイドブックを読むだけでなく、実際の、本当の旅をしてください。そのためのイントロダクション・ガイダンスが、私の書評にできたらいいな、と思っています。

私は反あらすじ派です。作品のあらすじ、主題はあんがい単純なものです。要約すればたった数行で作者の言いたかった趣旨は尽きてしまいます。世の中にはたくさんの物語がありますが、主役のキャラクター、ストーリーは違っても、要約した趣旨は同じようなものだったりします。

たいていの物語は、主人公が何かを追いかけるか、何かから逃げる話しですよね? 生まれ、よろこび、苦しみ、死んでいく話のはずです。あらすじは短くすればするほど、どの物語も同じものになってしまいます。だったら何のためにたくさんの物語があるのでしょうか。

あらすじや要約した主題からは何も生まれません。観念的な言葉で語らず、血の通った物語にしたことで、作品は生命を得て、主題以上のものになるのです。

作品のあらすじを知って、それで読んだ気にならないでください。作品の命はそこにはないのです。

人間描写のおもしろさ、つまり小説力があれば、どんなあらすじだって面白く書けるし、それがなければ、どんなあらすじだってつまらない作品にしかなりません。

しかしあらすじ(全体地図)を知った上で、自分がどのあたりにいるのか(現在位置)を確認しつつ読書することを私はオススメしています。

作品のあらすじや主題の紹介は、そのように活用してください。

偉そうに? どうして無名の一般市民が世界史に残る文豪・偉人を上から目線で批評・批判できるのか?
認識とか、発想とかで、人生はそう変わりません。だから相手が世界的文豪でも、しょせんは年下の小僧の書いた認識に対して、おまえはわかってないなあ、と言えてしまうのです。それが年上だということです。涅槃(死。悟りの境地)に近いということなのです。

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