スティーブ・ジョブズはIT長者というよりも成功したヒッピーだ
生きているあいだにパソコンを、マウスを、USBを、ipodを、iPhoneを普及させて世界を変えたといわれるスティーブ・ジョブズ。彼のことをIT長者だと思っている人も多いと思います。
しかし私には「成功したヒッピー」にしか見えません。
参考文献はこちら。
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このブログの著者が執筆した「なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?」を追求した純文学小説です。
「きみが望むならあげるよ。海の底の珊瑚の白い花束を。ぼくのからだの一部だけど、きみが欲しいならあげる。」
「金色の波をすべるあなたは、まるで海に浮かぶ星のよう。夕日を背に浴び、きれいな軌跡をえがいて還ってくるの。夢みるように何度も何度も、波を泳いでわたしのもとへ。」
※本作は小説『ツバサ』の前編部分に相当するものです。
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ヒッピーの定義。エスタブリッシュメントのスクエアに対決する人
このページはアップルの創業者スティーブ・ジョブズをヒッピーに位置づけようとするページです。なので最初にヒッピーの定義を述べておきます。
ヒッピーとはキリスト教に対して仏教など東洋思想で対決する人。一神教に対してスピリチュアルで、物質主義に対してミニマリズムで、資本主義に対して社会主義で、標準的な生き方(スクエア)に対して、ドラッグ・自然・無政府主義で対決する人。家父長制に対してフェミニズム、フリーセックスで対決する人。体制に対して自由で、定住に対して放浪で対決する人
をここではヒッピーと定義しています。反対語はスクエアです。
エスタブリッシュメントのスクエアに対決する人のことをヒッピーと呼んでいます。
ヒッピージョブズのヘッドな言葉たち
●スティーブ・ジョブズはいいます。「他の誰かの人生を生きてはいけない。他人の期待にこたえようとしたり、周りの雑音に自分の内なる声をかき消されないでほしい。」
スクエアの決まりきった既定のルートではなく、ヒッピーは新しい価値観を創造しようとしました。ね、ヒッピーでしょ?
●スティーブ・ジョブズは望まれて生まれた子供ではありませんでした。自分の存在意義を求めたてインドを放浪しています。
インド放浪っていうのはヒッピーの通過儀礼みたいなものです。ね、ヒッピーでしょ?
●インドを放浪して直観力を養いました。放浪生活で世界観をつくりました。いつも長髪で、風呂にも入らず、サンダル履きか裸足で社内をうろついていた。
どこのヒッピーの話しだと思います? スティーブ・ジョブズの話しですよ。
●基盤の配列なんて誰も見ていませんよ。そういった社員に「神が見ている」とスティーブは言ったそうです。
ここでいう神というのはエホバではありません。スティーブ・ジョブズはキリシタンではありませんでした。むしろ仏教に傾倒し、禅や瞑想に凝っていました。
ザ・ダルマ・バムズ(禅ヒッピー)。生きる意味をもとめてさまよう
●スティーブは、裸足で歩き、玄米パンやオートミールの植物食をしています。菜食主義。リンゴの濃縮ジュースを飲んでいたからアップル? 野菜と果物。ハーブ療法、玄米食、濃縮リンゴジュース。日本食。
ベジタリアンというのもヒッピーのお家芸です。ね、ヒッピーでしょ?
●ジョブズは、美的デザインにこだわったアーティストだったが、ファッションセンスはあまり支持されていない。クロノタートルネック、ジーンズ、スニーカー。
背広というのはスクエアの着るものでした。
●キャンパスのような会社を作りたい。お金のために働くのではない。
スクエアの世界が上下関係だとすれば、ヒッピーの世界はラブ&ピースの平等関係でした。ね、ヒッピーでしょ?
●一生砂糖水を売るか。世界を変えるかだ。ペプシコーラの社長スカリーがジョブズの家を訪れた。ジョブズの部屋はシンプルで家具がほとんどなかった。ものがなくてびっくりした。
物質主義に対して精神主義・ミニマリズムで対決したのがヒッピーです。ね、ヒッピーでしょ?
海軍(スクエア)に入るくらいなら、海賊(ヒッピー)になったほうがいい
●ビートルズ、ボブディラン。フォークロックを愛好した。
スティーブ・ジョブズが愛したミュージシャンは、ヒッピーの導師みたいな人たちです。ね、ヒッピーでしょ?
●ジョブズのipodにはボブ・ディランの海賊版が入っていたそうです。ジョブズは「海軍に入るくらいなら、海賊になったほうがいい」という言葉も残しています。
海賊というのは対決するアウトローですが、ヒッピーもまた対決するアウトローです。
仕事。既存の会社ではなく、革新的な会社をつくる
●会社をつくろう。失敗したっていいじゃないか。協調性のない性格で周囲からは嫌われた。
周囲というのはスクエアのことでしょう。周囲のスクエアに嫌われて撃ち殺されちゃったキャプテンアメリカを知っていますか?
●ゲーマー。過去の経営者はどうしてゲームが嫌いだったんだ? 今の経営者はみんなゲームが好きさ。
フロッピーをなくしてUSBを採用した。パソコンの色を果物の色にする。
●ビルゲイツのライバル「ガレージから新しいものを作り出すやつらさ」
●CEOのアメリオを追い出す。自分の持っている株をすべて売却して株価暴落。株の落下の責任を追及されてアメリオは退陣。
いやいやいや。株価下落がジョブズの売却のせいだってことは調べればすぐわかるでしょ?
株価下落の責任はジョブズにあるんじゃないの? それでCEOが退陣っておかしくない?
お金のために働くんじゃない。死の前ではお金の価値はゼロに等しい
●「死の前ではお金の価値はゼロに等しい」
●アップルに復帰した時の年収は1ドルでした。お金のために働くんじゃない。
お金のために働くのはスクエアです。ヒッピーではありません。
●膵臓にがんが見つかるが手術はしなかった。食餌療法、有機農業。ベジタリアン。
手術というのは西洋医術です。それに対して医食同源というのが東洋医術です。ヒッピーというのは西洋に対して東洋で対決した人たちです。ね、ヒッピーでしょ?
●痛み止めにモルヒネを注射した。狂気が増してきた。
モルヒネというのは一種のドラッグです。ヒッピーと言えばドラッグですね。
ドラッグ。幻想。幻覚。幻聴。宇宙観。神秘体験。神のビジョン。
●スティーブ・ジョブズはビジョンを追求しました。マーケティングをしませんでした。ぼくはみんながほしいものを知っているんだ。ユーザーは、どんなものがほしいか実物をみるまでわからない。今やっていることが将来どんな役に立つか、そんなことは誰にもわからない。
ジョブズはビジョンという言葉を多用しました。ヒッピーといえばドラッグがつきものです。ドラッグでトリップするわけですが、神とか宇宙観とかサイケデリックな世界へトリップするわけです。そのときに見る幻想・幻覚・幻視・ビジュアルエフェクトをビジョンと言ったりします。
●宇宙と繋がることに価値を見出した。
ヒッピーたちがマインド系ドラッグの先に観ようとしたものがこの「ビジョン」なのです。宇宙を感じる、一体感を感じるのを神秘体験といいます。そういうのをドラッグに求めたわけです。ね、ヒッピーでしょ?
今を生きる。
ベトナム戦争のさなか、いつ徴兵されて死ぬかわからないという不安の中で生まれてきたのがヒッピーたちでした。今を生きる、というのもヒッピーの重要なテーマです。
●「夜寝る時に、今日もすばらしいことを成し遂げたと思えればいい」
●「今日が地球最後の日だったら、仕事の打ち合わせをするだろうか。この人と過ごすだろうか」
●「今日どんなすばらしいことをしたかが重要だ」
●「死はみんなが持っている終着点。死は生がつくった最高の発明品だ。新しいものがやってくるから、古いものは消えていく」
●「ぼくらはやがて一掃される日が来る。だからこそ限りある人生を悔いなく生きてほしい」
●「自分の人生なんだ。他人の言葉にとらわれるな」
●「時間は限られている。世間のしがらみは他人の価値観、他人の考えに従って生きているのと同じ」
●「成功したり、失敗したりは結果論でしかない。好きなことを好きなだけやるのが生きているあかしなのだ」
ジョン・レノンの言葉? ディランの言葉? いいえ。すべてスティーブ・ジョブズの言葉です。いかにもヒッピーが言いそうな言葉ばかりです。ね、ヒッピーでしょ?
知れば知るほどIT長者というよりは、成功したヒッピーにしか見えないのです。
スティーブジョブズは世界を変えた偉大な人物でした。
こうして私がパソコンで執筆できるのも、ジョブズのおかげです。ありがとうございました。ご冥福を。
追記。
私がこの記事を書いたのは2022年3月22日です。その後、2023年5月6日に長野県を旅していたら、私のこの記事と同じようなことを書いた展示と出会いました。
同じことを感じる人がいるんだなあ、と思った次第です。