焼きが回ったお札はババ抜きのババ
先日、いざというときのお金がいざというときに使えなかった話のことを書いた。シークレットマネーベルトに隠し持っていたドル札が、折ったまま10年以上もベルト内に秘蔵しておいたらいつの間にか折れ目が裂けて穴が開いてしまったためであった。ドル札は日本円ほど丈夫な紙幣ではない。
こういう焼きが回ったお札はババ抜きのババのようなものだ。なるべく弱者に押し付けるといい。旅人にとって弱者とは現金収入が必要な商売人である。バーでビールでも飲んで100ドル札を渡せば、まずこの金じゃだめだとは言わない。彼らはその現金が欲しいわけだから。
こうすればボロボロになった質の良くないお札を手元から無くしてしまうことができる。しかし今日書きたいのはそのことではない。海外でお金を支払うときの注意点のことだ。
相手がフェアーなら問題ないが、そうでない場合もある
相手がフェアーなら何も考えずに100ドル札を出せばいい。ちゃんと計算してお釣りをくれるはずだ。相手が善人ならば、ほとんど何も考えなくたっていい。映画などでは財布を渡してこの中から持っていけ、というシーンがあるが、相手が善意なら何ら問題ない。
問題はそうでない場合もあるってことだ。悪い奴が世のなかにはいるのである。そんな奴を信用して財布を渡したらたいへんなことになる。お釣りひとつとっても、そのお釣りをちょろまかそうとする奴がいる。ドルやユーロで払ってドルで戻ってくる場合は酔っぱらっていてもだいたい計算できるが、ベトナムドンのように1,000,000ドン単位で支払う場合は頭の中が軽いカルチャーショックで計算できなくなるので注意が必要である。100万ドンはらっておつりが35万ドンとか意味がわからない(笑)。
長財布紙幣強奪事件
エジプトのギザの三大ピラミッドでのこと。同じツアー内の司法試験に合格したばかりの男子(司法君と命名)がラクダに乗って記念写真を撮った後、支払おうと長財布をラクダ使いの目の前で開いたら、財布の中に手を突っ込まれて紙幣をガバッと持っていかれるという事件があった。司法君は当然抗議をしたが、得意の法律もアラブの商人相手には通用しない。まだ大学出たての若者は海千山千の強そうなアラブの商人を前に泣き濡れるしかなかったのである。おれだったら逆に財布を奪って走って逃げてやる。追いつけるものなら追いついてみろ!
こういう時は語学力よりも、正義よりも、法律知識よりも、相手を見極めるカンの方が重要なのである。人を見る目が大事なのだ。相手が信用できる相手か、ニオイで感じることが重要なのである。
カジノチップが誤魔化された事件
アメリカのラスベガスでのこと。クラップスのプレイ中、イロハが100ドル札を出してチップに交換を求めたところ、ディーラーは50ドル分のチップしか渡してくれなかったという事件があった。
気の弱いイロハは抗議することもできず、次のクラップスが始まってしまった。こうなってはもう後の祭りである。抗議するタイミングを逸してしまったのだ。
こういう時はクラップス台のサイコロを奪ってゲームを止めるぐらいの気迫で抗議しなければならない。どうせ監視カメラですべてを見ているのだから100ドル札を渡したことは簡単に証明できるはずだ。このカジノのディーラーはミスったのではなく、日本人女性が抗議できないと見越して、わざと間違えたのであろう。小さい野郎だぜ。ここではっきりと書いてやるが、カジノチップをごまかしたのはエクスカリバーホテルのカジノである。みなさん、エクスカリバーのような質の悪いホテルに泊まるのはやめて、ベラッジオやMGMに泊まるのがよろしいでしょう。
イロハがかわいそうになった私は、必殺の「倍掛け法」で買ったお金でシルク・ドゥ・ソレイユを奢るなどして慰めてやった。不正によってイロハが奪われたお金の数倍の額をカジノ必勝法でエクスカリバーから奪いかえしているのだから、実際それほど憤慨しているわけではないが、抗議できなさそうな弱い日本人女性を狙って不正をするその性根が気に食わないので、ここにはっきりと書いてやる次第である。