近親者の葬儀がありました。
何点か気づいたことがあるので、これからの人たちのために注意喚起しておきたいと思います。
葬儀社はボッタクリの温床
私は放浪スタイルで海外個人旅行をやるのですが、いちばんボッタくられるのは到着した直後です。外国に到着した直後はその国の相場がわかっていないために、ボッタくられても「そんなものか」と払ってしまうのです。とくに到着直後の空港から市内へのタクシーはボッタクリの温床です。注意しましょう。
ところで人間そうそう近親者の死に立ちあうものではありません。葬儀に参加することも滅多にないのに、ましてや遺族側に立って葬儀を執り行うことなんてめったにあることではありません。これはまるではじめての異国を訪れた時のようなものです。
看取り病院で近親者がなくなると、病院側は遺体を清めるなどしてくれますが、数時間以内に遺体を病院から搬出することを求められます。遺体の搬出を自家用車でやるのはハードルが高く、ふつうは遺体搬送車が必要です。つまり即座に葬儀社を選ばなければなりません。葬儀の相場がよくわかっていない状態で、業務委託を締結しなければならないのです。
この勝負に勝てますか? 往々にしてこういう場面で人はカモられます。ボッタくられてしまうのです。
一日葬、家族葬が増えてきたが、詐欺師が跳梁跋扈
最近ではコロナ禍の影響もあり、一日葬、家族葬が増えてきました。
一日葬というのは、従来の葬儀のように通夜をやらずに、一日で読経、焼香、初七日、花入れ、出棺、火葬までを行うものです。
家族葬というのは、葬儀参列者が誰が来るかわからない状態ではなく、基本的に呼んだ人だけが来るというスタイルの葬儀です。呼んだ人が家族(親戚)だけのことが多いので家族葬というのです。
うちも一日葬、家族葬で葬儀を行いました。近所の葬儀社に葬儀一式をお願いしたのですが……かかった総費用は230万円でした。
葬儀代は亡くなった人が残したお金から払うことが多いと思います。うちもそうでした。だから「高いな」と思っても「故人が自分のお金を自分のために使う最後の機会だから」と思ってサインしてしまうのです。わたしもそうでした。
決断までの時間もありません。他社と比較検討する時間があたえられていないのです。「一度契約書にサインしたら取り消しできません」と念を押されました。これって詐欺師がよくやるやつだよなあ、と感じました。葬儀社と契約した後、家に帰ってインターネットで一日葬の費用の相場を調べたら50万円ぐらいだと書いてあるじゃありませんか……
Σ( ̄ロ ̄lll) ……無言。
お金がない人は、家族葬でなく一般葬の方が向いているかもしれません
結婚式でも葬式でも、大勢の人が来れば、ご祝儀、香典がたくさんいただけるので、ペイできるのです。しかし家族葬の場合、来るのは呼んだ人だけです。うちの場合、親戚しか来ませんでした。一般葬の場合とは香典の総額が違います。わかりますよね?
それにもかかわらず「故人が恥ずかしくないように」と一般葬と同等規模の立派な葬儀をやると大赤字になります。支出は一般葬と変わらないのに、収入は全然すくないわけですから。家族葬、一日葬の場合、葬儀規模を縮小しなければ、大赤字になります。従来の一般葬の規模・見ばえで家族葬というのは赤字の選択です。
うちの場合も葬儀は誰に見せても恥ずかしくないような盛大なものでした。一般葬と同じレベルの葬儀でしたから。たくさんの胡蝶蘭でほとけさまを埋め尽くして最後のお別れをしました。230万円の大半は花代と葬儀場所代だったんじゃないかな。葬儀費用の詳細は一式提示なので細かいところまではよくわからないのです。ただ金額相応に盛大なものでした。その立派な葬式を見たのは家族、親戚だけでしたけれど。
これから葬儀をやる人は、とくに「小さな祭壇なんて恥ずかしい」と感じる人は、いっそ家族葬はやめて一般葬にすることも検討していいと思います。たくさん人が来れば、香典が増えてペイできるからです。葬儀社の儲けは同じなので、一般葬よりも仕事が楽な家族葬をすすめてくるはずだと思いますが、あなたは一般葬を選択してもいいと思いますよ。とくにお金がない人は。
逆に家族、親戚しか呼ばないのなら、いっそのこと葬儀規模を大胆に縮小してしまうことも検討してみてください。そもそも家族葬、一日葬というのは、葬儀規模の縮小を前提としているはずです。それなのに葬儀の見ばえを、脳裏にあるかつて見た一般葬の見ばえと同等のものにしようとするから、必然的に葬儀は大赤字となってしまうのです。そして葬儀社はボッタクリ稼業だという不信感が生まれてしまうのです。だって私が依頼した葬儀社、家族葬は最安9.5万円からって広告に書いてあるんですよ。でも実際にかかった費用は230万円です。違い過ぎませんか?
わたしは230万円の葬儀を経験してしまったので、50万円の葬儀がどんなものか想像もつきません。たぶん霊柩車と軽トラックぐらい違うんだろうと思います。
自分の父や母を霊柩車、ベンツじゃなくて、軽トラック、軽自動車で最後に送ってもいいと思えるかどうか。微妙なところですよね。
そういう微妙な人の心のひだのところで葬儀社というのは儲けているのでしょう。別に葬儀は事業じゃないし、故人のお金で故人のためにやる最後の出費だから赤字だって別に構わないんですが……。
この呟きがこれから葬儀をやる人の参考になれば幸いです。