無職で、お金持ちでないと答えたら、別室に連れて行かれそうになった
かつて私は入国審査・イミグレーションで止められたことがあります。
アメリカに入国しようとしたときのことです。アメリカの入国カードは「あなたは拳銃を所持していますか?」「あなたは麻薬をやっていますか?」みたいな、まじめに答えるのがアホらしいことを、ド真面目に聞いてきます。アホらし。やってられんわ……と思いながら、入国カードを書き入れていました。
その時、私は入国カードの職業欄に無職と書きました。面倒くさかったので適当に選んだのです。まともに書いたら「ライター」ということになったでしょうか。
ところが、それがイミグレの係員に引っかかってしまったのです。Why?
世の中に無職の人はたくさんいると思います。とくに高齢の方はほぼ無職でしょう。だから別に無職でも問題ないと思って書き込んだのです。慣れたことに対応するのは慣れているはず。相手がライターよりも、無職のほうが圧倒的に数は多いはずでしょう。
が、イミグレ係官はそこが気になるようでした。「あなたはお金持ちなのですか?」と、意外なことを聞いてきました。
「お金持ちか?」と聞かれて「金持ちだ」と答える日本人はあまりいないでしょう。謙遜の美徳というものを日本人はもっています。
「そんなことないです。金持ちじゃありませんよ」と控えめに答えると、「おかしいでしょう?」と厳しめのツッコミをもらいました。
まあ、確かによく考えてみれば、お金持ちでもない無職がどうしてアメリカ国内を旅できるのか? おかしいといえば、おかしいですな。
私がover60のリタイヤ人に見えれば問題なくスルーできたかもしれませんが、どちらかといえば私は年齢よりは若く見られます。他の人であれば、なんらかの仕事についているような年齢であり、金持ちじゃないのに無職というのはおかしいといえばおかしい。すくなくとも大多数の人と同じではありません。そこまで計算していませんでした。
アメリカでは入国した外国人の不法労働が白人の仕事を奪って問題となっていますので、私のことをそのような人たちと同じと見たのでしょうか。この矛盾が解消するまでは通さない、という意思をイミグレ係員は見せてきました。
やばいな、と私は感じました。よくアメリカのイミグレでは別室に連れ込まれて長時間イジメられると聞くので、あわてて私は、
「無職といえば無職だが、インターネットを通じて、アメリカのストックマーケットから幾ばくかのインタレストを得ている」と、フル英語で言いました。こちらが流暢な英語を使えるとは思っていなかったイミグレさんは、驚いた顔で私を見て、納得したようにそれ以上は何も言わずイミグレを通してくれました。

それ以降、私は入国カードの職業欄には「投資家」と書くことにしています。物書き、と書くよりも国境の関門突破にはいいと思うのです。
独裁国家や政情不安定な国は物書きだとジャーナリスト扱いされて入国が危うくなるかもしれません。国外に知られたくないことを多く抱える国は、ルポルタージュなど書かれてしまうかもしれない、ライターやマスコミ関係者を歓迎しないでしょう。

「あなたは拳銃を所持していますか?」みたいなクソくだらないことを聞いてくるくせに、職業欄とかちゃんと見てるのね……びっくりしました。
