ドラクエ的な人生

聖地巡礼エルサレム

エルサレムに行こうと思う。思い切って。

私の旅は物見遊山ではなく西天取経である。

何かを探して旅をしている。何かを求めて旅をしている。

それはドラクエ的な冒険かもしれない。命の燃焼かもしれない。楽園探求かもしれない。

この世界には聖地と呼ばれる場所がある。そのような場所にこれまでも行ってきた。

ここでいう聖地とはギャンブラーの聖地ラスベガスとか、ヒッピーの聖地ネパールのカトマンズとかいうような意味ではない。

宗教的な聖地である。日本でいえば伊勢神宮とか出雲大社のような場所だ。

インドのバラナシ。バチカンのサンピエトロ。フランスのモンサンミッシェル。

しかし何かが足りない。この一回きりの人生において決定的な場所に行ってみたいとすればキリストが十字架にかかって死んだ聖地エルサレムをおいてほかにないと思う。

もしあと一回しか旅ができないとすれば、死ぬ前に一か所だけ行くことが許されるとすれば、私はエルサレムに行ってみたい。

エルサレムで聖書を読んでみたい。それは人類の歴史とつながるということだ。

調べてみたが、直行便はないようだ。パリや香港やモスクワやワルシャワでトランジットができるようである。いつもならパリでトランジットしてルーブル美術館でも…と思うところであるが、相手が嘆きの壁や岩のドームやキリストの墓(ゴルゴダの丘)だとそんな気にならない。

ルーブルの宗教画は、すべて聖書やエルサレムからインスピレーションを得て描かれたものなのである。これからエルサレムに行くものが、どうして絵など見る必要があろうか。

本人に会いに行くのに、わざわざ似顔絵なんか見る必要はない。

そこにイエスの墓があるのに、どうして十字架にかかった絵を見る必要があろう。

それが聖地エルサレムである。次はおれはエルサレムに行くぞ。

ちょっと調べてみただけでも、ヴィア・ドロローサというイエスが十字架を背負ってゴルゴダの丘に向かった道がそのまま巡礼道路になっているようだ。映画『ベン・ハー』で主人公がイエスに水をあげようとしてローマ兵に蹴り飛ばされたあの道である。約1km。簡単に歩ける。道のおわりには十字架上で昇天した場所に精墳墓協会が建っている。世界一の宗教キリスト教の聖地中の聖地だ。

しかしその世界最大のキリスト教徒もイスラエルでは2%ほどしかいない。最大派閥はユダヤ教75%。次はモスリムで18%ほどらしい。キリスト教徒のような格好で訪問する国ではない、ということだ。キリストばかり大きく目に映るが、ユダヤ教、イスラム教の見どころの方がむしろたくさんあるといってもいいのかもしれない。

しかし、そうはいっても旅に持っていく本は『聖書』で決まりだろう。特に旧約聖書はユダヤ教、イスラム教においても聖典であり、他の書は考えられない。

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最も大切なものは「勇気」

さて、エルサレムに行くことは決めた。なんでわざわざこんなことを書いたかというと自分を勇気づけるためである。

物事において大切なことは沢山あるが、一番大切なことは「勇気」ではないだろうか。勇気がなければ何もできない。

挑戦する勇気、一歩を踏み出す勇気に比べたら、英語が喋れること、旅慣れていることなどは、とるに足らないことだ。能力やスキルなんて重要ではない。勇気にくらべたら。

まずはエルサレムに行くという勇気、それがはじまりで、それがすべてだ。

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「勇気」の次に大切なものは「準備」

勇気の次に大切なものは「準備」ではないだろうか。たとえばいくら勇気があったって入国ビザがなければ入れない国もある。アライバルビザという到着したハブ空港でその場でお金を払って取得できるビザならば勇気と現金だけで対応可能であるが、そうでない場合もある。やはり準備は必要だ。

エルサレムに行く場合、3か月以内の観光ならビザは不要である。

問題は出入国審査である。イスラエルの出入国審査は世界で一番キビシイと言われている。それだけテロリストが多いということですね。

イギリスの二枚舌外交に騙されてイスラエルを追われたパレスチナ人は軍事力ではイスラエル軍に全くかなわないためテロによって対抗するしかなかった。そのため爆弾テロが横行し、イスラエルはセキュリティチェックが世界一キビシイ国になってしまったのだ。

そのためイスラエルは観光大国であるにも関わらず、いやらしいほど入念な入国審査があるという。普通、観光大国はウェルカムな雰囲気を入国審査でも出すものなんだけどな。観光大国イタリアなんか超ウェルカムで、入国審査なんて完全スルー状態だった。

イスラエルの入念な入国審査というのは、パスポートコントロールの係員の質問のほかに、場合によっては別室に行かされてそこでも質問があるらしい。両方の回答に矛盾がないかチェックしていると聞く。

公明正大ただの観光だし、悪いことは何もしないのだから、英語がペラペラなら時間こそかかっても問題はないが、私のような英語に不自由な人はひとつ想定問答集(もちろん英語版)をつくっていけばいいだろう。相手の聞きたいことなんてたかが知れている。悪いことはしていない、するつもりもないことがわかってもらえればそれでいいのだ。英語なんて流ちょうに話せなくたって問題ない。そういう人はいっぱいいるはずだ。むしろ誠実な人柄を前面に押し出そう。

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パスポートコントロールで「ノースタンプ!」を連呼する必要はなくなった

昔の話であるが、イスラエルの入国スタンプがあると、その後、アラブの特定の国に入国できなくなってしまうという旅行者の間で有名な話があった。16,000円もする10年パスポートを無駄にしたくないため、入国審査官の心証を損ねても旅行者は「ノースタンプ!」万が一にも入国スタンプを押されないように「NO STAMP!」と連呼する必要があったのだが、現在は全員、入国スタンプの代わりに小さな「滞在許可証」が発行されるようだ。これで「ノースタンプ!」連呼の必要はなくなった。ホッ。

疑問なのは入国審査よりも出国審査の方が厳しいとガイドブックに書いてあることだ。爆弾テロを警戒しているのならば入国チェックの方が厳しいはずだと思うが、謎である。

だいたいどこの国でも出国よりも入国審査の方が厳しいのが普通だ。あたりまえである。爆弾テロにせよ、麻薬持ち込みにせよ、国への害を未然に防止するのが入国審査の仕事だからだ。逆に出ていくときは審査はゆるいことが多い。もうその国に害を及ぼすことがないからである。ハイジャックテロを心配しない限りは(泣)。

謎のキビシイ出国審査のために、帰りは3時間前には空港に着いたほうがいいようである。

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出入国審査がキビシイならば躊躇なくインターネット宿泊予約を利用しよう

それからもうひとつ準備が必要である。このように出入国審査が厳しい国では、事前に宿泊場所をインターネット予約しておいた方がいいだろう。

「どこに泊まるのか」はイミグレーションで必ず聞かれる定番の質問である。今夜の宿泊は未定、現地で探すバックパッカーにも「どこに泊まるのか」は必ず聞かれる。私はいつもヒルトンホテルに泊まると嘘をつく。「バンコク・ヒルトン」「メキシコ・ヒルトン」「ニューヨーク・ヒルトン」とテキトーに答えている。ヒルトンならば入国審査官も「そんなホテル知らないぞ。どこだ?」とは聞き返してこないと思うからだ。時にはヒルトンホテルがない都市に降り立ってしまうことがあるが、その場合は「あ、間違えた。シェラトンホテルだ」とうそをつく(笑)。たいていのハブ空港都市にはヒルトンかシェラトンのどちらかはあるからこれで誤魔化せる。

しかし世界一出入国審査が厳しいと言われるイスラエルで嘘は禁物である。ホテルの予約確認書を見せろと言われかねない。

もともと昨今では安宿を自分の足で歩いて探すよりも、インターネットのホテル予約サイトを使った方が安くていい場所にあるホテルを探せることも多い。

イスラエルに行く場合には、インターネット予約したホテルバウチャーを持っているべきだろう。

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