コロナ禍で家ごもりの日々が続いています。
家ごもりによってペット需要が高まっているそうです。
しかし貧乏人に犬や猫は飼えません。最近のliving mop「生きているモップ」ワンコはコミコミ総額50万円(本体+ケージなど備品)ぐらいするのがあたりまえです。
ペットを飼うのは一部セレブだけに許された貴族趣味ですな。
仕方がないので貧乏人は「植物」を飼いましょう。植物なら手が届きます。数百円で飼えますよ。
(この稿では植物をペットになぞらえて擬人化・擬ペット化しています。それゆえ「飼う」「暮らす」という表現を使っています)
【この記事を書いている人】
瞑想ランニング(地球二周目)をしながら心に浮かんできたコラムをブログに書き綴っているランナー・ブロガーのサンダルマン・ハルトと申します。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。
ランニング雑誌『ランナーズ』の元執筆者。初マラソンのホノルル4時間12分から防府読売2時間58分(グロス)まで、知恵と工夫で1時間15分もタイム短縮した頭脳派のランナー。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。
また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。
そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。江戸川左岸の撃墜王(自称)。スピードが目的、スピードがすべてのスピード狂。ロードバイクって凄いぜ!!
山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。
その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。ソウル日本人学校出身の元帰国子女。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。
登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。
千葉県在住。夢の移住先はもう決まっています!!
植物と一緒に暮らす「家ごもり」
ほんとうは犬が飼いたいのですが金銭的に不可能なので、植物と一緒に暮らすことにしています。
これまで多くの植物と暮らしてきました。
この趣味の究極的には「野に咲く花を摘まんでくる」ことですね。これができたら無料で植物と一緒に暮らせます。
これは野良猫を飼う行為に相当します。
野に咲く「菜の花」を摘んできたら、すばらしくいい香りでした。しかし小さな黄色い花が飛び散って部屋を汚します。菜の花が花屋にないのは、室内鑑賞に向いていないからだとつくづく思いました。
これまで同居した植物の中でもっとも長生きしたのは「サボテン」です。水をやっていただけなのに、数年にわたって生きていました。別れた彼女にプレゼントされたサボテンが生き続けたのでちょっと不気味だったのですわ(笑)。
植物を飼う場合「生きている」ことが実感できないと面白くありません。サボテンは他の植物にくらべてなかなか「生きている」のを感じられないのが欠点です。
おすすめは花が咲くタイプのサボテンです。
そしてわたし的飼育史上、不死身だったサボテンにつづいて二番目に長生きしているのが苔です。こちらは現在進行形でございます。
コケボール(苔玉)を車中泊の途中、どこかの「道の駅」でなんと300円で買いました。すぐに枯れちゃうかと思っていた苔玉ですが、思いのほか長生きしているのでご報告させていただきます。
空中庭園。天空の城ラピュタ
コケボールというのはこういつやつです。コケがボール状に丸まっているためそう呼びます。日本語で苔玉と呼んだりします。
うちで飼っているこいつのポイントは、コケボールの上にちいさな山椒の枝が生えていることです。
そこが気に入っています。この山椒が死なないように飼育するのがポイントです。この山椒がなかったらあるいは飼育も退屈かもしれません。まるっきり球体じゃないところがいいですね。
コケボールは空中にふわふわ浮遊しています。ジブリ作品でいうところの「天空の城ラピュタ」みたいですね。中央に大きなユグドラシル(世界樹)があってその周囲に世界があって浮遊している空中庭園です。
天空の城よろしく大地との絆が切れた状態であるため、すぐに滅び去ってしまうものと思っていたのですが、どうしてどうしてなかなか長生きしています。
現在はお風呂場で飼育しています。この場所に落ち着くまでは試行錯誤の連続でした。その試行錯誤をレポートします。
場所を移動するやり方は面倒なので却下です。放置できる究極の生育場所を探しましょう。
吊るす場所がないので、皿の上で飼ってみた
いざコケボールを飼おうとしても、そもそも室内に吊るす場所がそんなにありません。カーテンレールに吊るすわけにもいきませんしね。
はじめは吊るすのをあきらめて、お皿の上に置いて飼うことにしました。
そもそも空中でブラブラしているのは、植物にとっていい環境でしょうか。
およそ植物にとって最良の生育環境は、本来その植物が生育している環境になるべく近いこと、であるはずです。
この世界のいろんな場所に苔は生えていますが、空中でブラブラしていることはあまりないのではないかと思います。人間でいえば船酔い状態に、植物だってなるかもしれません。
そう思って皿の上に固定して飼ったのですが、皿で飼うやり方は失敗でした。
どうやら苔は直射日光に弱いようです。明るい室内で飼っていたのですが、しだいに茶色く枯れてきました。
苔が茶色になってきたら、生育に黄色信号が点っていると判断しましょう。
とくに山椒の枝は元気のパラメーターです。元気がないと下を向き、元気だと上を向きます。毒気を察知するカナリアみたいなものですね。
このように直射日光を浴びすぎることで葉の色が変わってしまうことを「葉やけ」というそうです。
直射日光で葉焼けした反面、お皿に接している下面はまったく日光を浴びることができません。
コケボールの底面が死にかけてしまいました。
S字フックをつかって吊り下げた
コケボールの底面を救うために、吊り下げることにしました。もはや船酔いだのはいっていられません。
100円ショップで売っているS字フックが家にあったので、それをつかって吊るすことにしました。
吊るす場所を探したのですが、たまたま玄関にフックがあって使用していなかったので、そこを使って吊るすことにしました。おそらくそこは鏡を吊るしてお出かけ前のチェックをする場所だと思いますが、そこなら毎朝、苔玉の状態を確認して出かけることができます。
しかもウチの場合、玄関だと直射日光があたりません。それも好都合のように思えました。
このときは霧吹きをベースにときどき「水没水やり」をしていました。
しかし霧吹きは玄関吊るしだと、どうしても一面にしか吹き付けられません。
玄関の開閉のたびにコケボールの側面が玄関に当たってザンバラだったコケの側面が真っ平らになってやがて変色してきました。
どうやらこの作戦も失敗のようです。
湿気抜群。お風呂場で飼うことに
お風呂場はコケボールの飼育になかなかいい環境のようです。
とくに冬場は風呂場の暖かい湿気が苔にちょうどいいようです。冬の寒さでも、入浴時間は部屋が暖かくなっていますので、具合がいいようです。苔だって光合成で生きているはずです。
しかも湿度100%。コケ本来の生育場所である森の下では湿気がたくさんのはずです。森は雨を蓄える効果で知られています。
水の中に全部沈める「水没水やり」のやりかたは購入したショップで紹介されました。お風呂場なのでときどき気が向いたら「水没水やり」もやっています。しかしお風呂場の湿気とシャワーのこぼれ水だけでも生育には十分な気がします。
土は不要? コケボールの長寿の秘密
これまでたくさんの同居植物を枯らしてきました。そもそも短命な植物はどんなにケアしても生きのびることはできません。典型的なのは「花」です。花は散って枯れるのがさだめです。
他にもいろいろ飼ってきましたが、あまり長生きさせられないのはやはり「大地」と切り離された「限られたスペース」の中で飼ってきたからだと思っていました。花瓶の中では植物はそうは生きられません。生育に必要な窒素、リン、カリウムが花瓶の中では限られています。
ところがこの典型的な「限られたスペース」であるコケボールが長生きなので驚きました。
コケの生育に土は不要なのでしょうか?
京都などの古刹の苔は、灯篭などの石に貼りついています。コケの生育場所は土の上だけとは限りません。
コケは土があまりなくても生きられるのかな。
調べてみたら、どうやら苔は空気中の水分を吸収しているそうです。だから湿度が大事なのですね。根に頼っていない分、ほかの植物ほど土を必要としていないそうです。
問題は上の山椒です。山椒が枯れたら今ほど愛せる自信がありません。
透明な環形動物の正体はミミズの子ども。土はミミズの糞
ある日、コケボールをお風呂の残り湯にジャブとひたして、しばらく観察していたら、コケボールの上に2cmほどの透明な環形動物がのたうっているではありませんか!!
「ぎもぢわるい!」
ティッシュでひろって殺そうかと思ったのですが……すんでのところで思いとどまりました。
「この透明な環形動物は何だ?」
透明なので、内臓の内容物が見えます。
これは……そうです。この透明な環形動物の正体はヒメミミズです。
わたしは狂喜しました。
「これで生態系は完璧だ」
いい土はミミズがつくる、といいます。腐った根などをミミズが食べて、その糞が、植物の栄養となるからです。
コケボールという「閉じられた世界」にミミズがいることで、有機物が供給されていることがわかりました。
これまでなかなか植物を長生きさせることができなかったわたしですが、今度は当分のあいだ、コケ山椒と一緒に暮らしていけそうな気がします。
植物と一緒に暮らすのは、静かな日々
コケボール、お勧めしますよ。
生存力が高いので、あまり手をかけなくても、ずっと一緒に生きてくれるようです。
エサ代もかからず、犬のように付きまとわれることもなく、猫のように爪とぎもしません。
コロナ禍の家ごもりで貧乏人はこうして過ごすのです。
植物と一緒に暮らすのは、静かな日々です。このペットはエサを要求しませんし、放置しても文句も言いません。
コケが我が家のペットです。今ではお風呂を一緒に入浴しています。
シャワーを浴びながら、同居人の苔と山椒の状態をチェックするのが、家ごもりのひそかな楽しみだったりするのです。