マッサージ店で大休止するという必殺技
旅行先でいつも直面するのが、疲労の問題です。たいていの人は、旅先で疲れますね。そして何もしたくなくなる(笑)。これではいったい何のために旅に出たのかわかりません。
タイなどマッサージの価格が安くて技術の高い国だと、マッサージ店で大休止するという作戦があります。
しかし上質なマッサージを提供してくれる国ばかりではありません。そんなとき、どうすればいいでしょうか? わたしたちの方法をご紹介します。
旅先で疲れたらどうするか問題。カフェ大休止作戦はいつでもどこでも有効
そういうときにはWi-Fiの使えるカフェを探して、そこで大休止するのです。椅子にどてっと座りこんで根が生えたように動きません。2時間ほども座っていれば体力が回復します。そうしたらまた歩きはじめるのです。
私の家の近所に、いつも庭でキャンプ椅子に座っている老人がいます。カフェで大休止していると、その人をいつも思い出します。あの人、なにが楽しいんだろう?
しかし観光地では行きかう人々が「日本だったら有名人レベル」の人たちばかりなので、マンウォッチングをしているだけで退屈しません。顔面に入れ墨のブレイキングダウンの出場者みたいな人。ドラえもんみたいな体型のおデブさん。拒食症レベルの細い足。なかやまきんに君レベルのマッチョは一分間に100人ぐらい目の前を通り過ぎます。腕が太いのは筋トレの結果というよりは体質的なものでしょう。日本にはありえない人たちがたくさん目の前を行きかいます。ずっと椅子に座って通りを行き交う人たちを眺めているだけでも退屈しません。
マンウォッチングの楽しみ方
わたしがよくやるプレイに「国籍あてゲーム」があります。西欧人はほんとうに何国人か分かりません。あなたにロシア人だか、ギリシア人だか、オランダ人だか、区別つきますか? 確実に英語じゃない何語かを喋っているのですが、それが何語なんだか、わたしにはまったくわかりません。でもそれを想像するのが楽しいのです。
とくに歓楽街ではリゾート感にあふれた遊び人風の人たちばかりがつどいますので、彼らの生きてきた背景を想像することは、とても楽しく、時間がたつのを忘れてしまうほどです。
中国人に対する誤解と偏見。中韓人にはガタイのいい人が多い
私は日本人の平均ジャストぐらいの身長です。国内で自分をチビだと感じることはあまりありません。しかし諸国の観光客が行き交うウォーキングストリートでは小さい部類だと感じました。ドイツ・スイス系が大きいのは当たり前ですが、中韓人も大きな人が多いですね。これは意外でした。日本人と同じぐらいのサイズ感というイメージじゃありませんでしたか?
とくに中国人は、歴史の中で権力者に虫けらのように虐殺されてきているので、中華の民衆は無気力な虫けらのイメージでしたが、実際に接すると大きな人が多くて驚きます。けっして無力な羊ではありません。この人たちがなんで大量虐殺にあまんじてしまうのか、ぜんぜんわかりません。負けたら何をされても仕方がないという思想のゆえでしょうか。一致団結すれば負けないでしょうにねえ。
韓国人にも背の大きな人が多いです。植民地化していたので軍レベルでは日本人のほうが圧倒的に強いイメージでしたが、個々の兵隊レベルでは負けるのではないでしょうか。それほどガタイのいい人が多いです。
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旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。
【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●日本海も東海もダメ。あたりさわりのない海の名前を提案すればいいじゃないか
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●もしも韓国に妹がいるならオッパと呼んでほしい
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●「トウガラシ実存主義」国籍にとらわれず、人間の歌を歌え
韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。
「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。
帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。
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甘いもの食べすぎ問題
このように椅子を見つけて大休止しながら旅を続けるのが長旅のコツです。
タイでは喫茶店で休もうとするたびに、日本じゃほとんど食べることのないドリアンはもちろん、マンゴーをたくさん食べつくしてきました。
今回はショートの旅行だったし、今しか食べられないものを食べようということで、たくさん甘いものを注文しましたが、これがロングステイだったら、甘いものを採りすぎではないかと思います。
日本ではほとんど砂糖をとらないのに、外国だと甘ったるい飲み物、デザートを頼んでしまうのは、今しか食べられない精神のほかに、やはり歩き疲れて血糖値が下がっているからではないか、と感じます。
日本では日課のランニングをやらなかったのは、洗濯物に困る問題のほかに、やはりたくさん歩くことがわかっているから、それに備えてのことだろうと思います。