兄弟の遺産の使い込み事件。実体験

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書籍『市民ランナーという走り方(マラソン・サブスリー。グランドスラム養成講座)』。『通勤自転車からはじめるロードバイク生活』。小説『ツバサ』。『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』『読書家が選ぶ死ぬまでに読むべき名作文学 私的世界十大小説』『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』。Amazonキンドル書籍にて発売中。

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父親の老衰、死去。サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)から看取り病院へ

子供のころは仲が良かった兄弟姉妹も、大人になってからもそうとは限りません。子供のころはべったりだった兄弟姉妹も、それぞれ家庭ができたりするとそちらに全力投球で、兄弟仲は疎遠になったりします。ウチもそうでした。私には家庭があり、常にそちらが優先だったので、弟とは疎遠でした。

実家ではすでに母はおらず、父と弟が同居だったため、老いて体の不調がでてきた父親の世話を弟がずっと面倒みてくれていました。ありがたいことだと感謝していました。やがて父は真夏でも暑いと訴えて灯油ストーブを炊こうとするようになりました。あきらかにどこかが異常でした。こんな調子では弟が仕事に行っているあいだ、火事が心配です。車の運転も頼み込んでやめてもらいました。どこかの上級国民のようにアクセルとブレーキを踏み間違えて誰かを轢き殺してから後悔しても遅いのです。運転をやめてしばらくして、父はやがてサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)に入居することになりました。それほど急激に老衰していったのです。

サ高住の手配も弟がみんなやってくれました。父は老齢年金もあり貯金もあるというので、お金の心配はいらないとのことでした。遠くに住んでいる私からすればありがたいことでした。父の世話はすべて同居の弟にまかせきりでした。私がすべきことは何もありませんでした。実によくできた弟だと思っていたものです。

やがて父はサ高住では面倒を見きれないということになり、病院へとうつりました。そして「看取り病院」で亡くなったのです。自分の父親(私の祖父)が亡くなったのと同じ看取り病院でした。これもなにかの運命でしょう。

病院で亡くなったのを確認して、そのまま遺体とともに葬儀社へ直行しました。そして亡き父への感謝を込めて立派な葬儀を手配しました。基本的に葬式はなくなった本人が自分のお金を自分のために使う最後の機会です。お金は惜しまずに葬儀の契約をすませました。

その後、実家で弟からおずおずと切り出されたときの衝撃は生涯忘れられません。弟はすべてを告白しました。父の遺産を引き出してほとんど全額を競馬につかってしまっていたのです。父の銀行の口座番号、暗証番号を知っているために、老いた父の面倒を見ていた弟にはそういうことができてしまったのです。私は唖然としました。父の面倒をすべて見てくれて、私には何もさせなかった弟でした……なにもさせなかった裏には父親の資産にはふれてほしくないという事情が隠されていたのです。

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遺産の使い込み実体験記。ネット競馬ですべてを熔かす

これは正式には「遺産の使い込み」という行為です。まだ生きている人の財産を許可なく勝手に使ってしまう一種の窃盗です。親子であるため窃盗罪は成立しないそうですが、実質的な窃盗行為です。

私は涙ながらに弟を問い詰めました。スマホで馬券を買っては負けてを繰り返し、とうとう父の残したお金を使い切ってしまったというのです。なんてばかな弟でしょう。弟は銀行や街金に借金があり、その金額は一千万円を超えていました。これはもうギャンブル中毒という一種の病気なのでしょう。開いた口がふさがりませんでした。

お金は使われてしまったら、もう戻ってきません。いくら「しまった」と思っても後の祭りです。父の面倒を見ていた弟が父の金銭管理をするのはしかたがないとしても、せめてお金のチェックぐらいはしておくべきでした。

父は株もやっていたのですが、株式はすべて売り払い現金化されていました。それどころか銀行口座も一本化されていました。分散しているとわかりにくかろうという、すべて遺族の遺産整理の便宜をはかってのことだと思います。しかし却ってそれが裏目に出ました。遺産の使い込み者にとってまとまった口座ほど利用しやすい遺産はなかったでしょう。

せめて株のままであったら、使い込みはなかったかもしれません。ネット証券ではなく、昔ながらの窓口経由の証券会社を利用していたので、そう簡単に名義変更などはできなかっただろうと思います。父の好意があだとなってしまいました。手をつけられずに残っていたのは土地だけでした。さすがに父名義の土地までは手が出せなかったようです。不動産の名義変更には法務局のチェックを通過しなければなりませんから、まだ存命中に名義変更するのは基本的に無理だったのでしょう。

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このように法務局や証券会社など人を介す必要があれば、弟も正気に戻って遺産の使い込みはなかったかもしれません。問題は銀行の現金、普通預金口座です。少額づつ引き出せば人を介する必要もないため誰のチェックも入らずに、使い込みし放題だったのです。一日引き出し限度額の20万円から日を改めて細かく引き出していたために、誰にも露見することはありませんでした。なんてやろうだ!

そもそも弟の競馬狂いはこれがはじめてのことではありません。若い頃に一度ギャンブルで借金まみれになっていたのです。悪癖はもうおさまったのかと思っていたのですが、あまかったです。そういう人間に父の遺産をまかせたことは、結果として「見る目がなかった」と認めるしかありません。よくできた弟だと思っていたのですから。

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自分が父の面倒を見ていない負い目から、細かいことに口を出すことがはばかられていました。口を出せば、手伝いもしなければならないわけですから。しかし……ボーナスのたびに父に渡していたお金がすべて弟の競馬に使われてしまったと思うと怒りが抑えきれません。

誰か一人が金銭管理をするのは仕方がないとしても、その一人はもっとも「お金に関してしっかりとしている」「信頼できる人間」を選ぶべきでしょう。長男だからとか、同居しているからといって、選ぶべきではありません。自分が遺族になってはじめてわかったことですが、遺産管財人がお金をごまかすことはきわめて簡単です。たとえば現金を引き出した後に、そのぶんをカウントせずに、遺産分割協議書をつくってしまうことなんて、とても簡単です。

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だからこそ、管財人は「お金に関してしっかりとしている」「信頼できる人間」を選ぶべきです。たとえば公務員のような「訴えられたら社会的地位を失う」ような人が向いています。個人経営の社長のような人が向いているかどうかは……その人次第だと言えるでしょう。会社の赤字の補填に使われてしまうかもしれません。管財人の使い込みは、被相続人の生前からはじまります。老父、老母が死んでからチェックしたのでは遅すぎます。

むしろ老いた父母が自分で財産管理できなかった時点で、いったんすべての財産を相続人全員のあいだでオープンにして、その上で、ときどきチェックが必要でしょう。使い込まれてからでは遅いからです。クレジットカードの不正使用のように「身に覚えのない支払いだからキャンセルしてくれ」と言うことはできません。現金ほど戻ってこないものはありません。

正直にいうと、弟が家を継ぐのは当然だと思っていました。ずっと実家に住み続けていましたし、逆に私は実家に戻るつもりはありませんでした。実家から一度も出たことのない弟に家を継いでもらい不動産の所有権は弟に譲って、私は不動産相当額の半分を現金でもらうというのが、二人で話し合ったことはありませんでしたが、当然の落としどころのように思えていました。ところが弟の遺産の使い込み事件によって、それができなくなったのです。

そもそも弟の遺産使い込みによってこのような難局となったのだから、このまま彼が実家に住み続けることは許せません。彼には家を出て行ってもらい、実家を売り払い、そのすべてを私が相続することで、いちおうの話し合い決着しました。通帳の記帳から、使い込みがなかった場合の本来の遺産相続額を計算し、それをベースに話し合いました。不動産をすべてもらったとしても、本来の兄弟折半には足りなかったのですが、妥協するしかありません。ないものはないのですから。それが使いこまれたという現実です。

遺産の分割に関して、現金ほど分割しやすいものはありません。一円単位まで分割できます。それに対して不動産ほど分割しにくいものはありません。たくさん現金があれば不動産があっても分割協議できますが、遺産の使い込みなどによって現金がない場合には苦労することになります。本来欲しくもない実家を、こうして不本意ながら相続することになってしまいました。

繰り返しますが、父母の遺産管理は、老いた父母が自分で財産管理できなかった時点で、いったんすべての財産を相続人全員のあいだでオープンにして、その上で、ときどきチェックが必要でしょう。使い込まれてからでは遅いのです。

銀行等に一千万円以上の借金があり、現金貯金は二十万円ほどしか持っていない弟に父の葬儀が出せるはずがありません。私は本来相続すべきものももらえなかった上に、父の葬儀もすべて負担することとなったです。

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兄弟の遺産使い込み実体験の本当の顛末

弟の遺産使い込みが発覚してすぐに父の弟(叔父さん)が亡くなりました。叔父さんには子供がなく、妻も両親も兄弟もすべてすでに死亡しています。下にも上にも血縁者はなく、なんと叔父さんの遺産は甥姪にあたる兄弟の子らが相続することになったのでした。つまり私たちです。

どんなに善良な顔をしていても、父の遺産を使い込みした前科者である弟に、叔父の遺産相続の事務をまかせるわけにはいきません。叔父の遺産は、伯父がたの姪(私の従妹)とも分割しなければならなかったので、これを借金の返済などで使いこまれてしまったら、それこそ親族関係がそこなわれてしまいます。

叔父の甥、姪あわせて四人いたので、遺産はきっかりと四等分することにしました。そしてその相続事務を私が行うことにしたのです。叔父の遺産相続は、有料級にたいへんな作業でしたが、使い込まれて何もなかった父の遺産相続にくらべたら、はるかにやりがいのある仕事でした。

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じっさい、叔父はお金持ちでした。叔父の遺産を四等分して、弟に渡すべき金額から、本来私が父から受け取るはずだったはずの遺産使い込み相当額を移動させてもらいました。当然の権利です。これによって「欲しくない実家を不本意ながら相続する」状態から脱することができたのみならず、弟の遺産使い込みという大事件を吸収して、なにごともなかったことにできたのでした。これが我が家の場合の、兄弟の遺産使い込み実体験の本当の顛末です。誰もがこんな僥倖にめぐりあうわけではありません。いやむしろ奇跡のように救われたというべきかもしれません。

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ネット競馬の多重債務者。ギャンブル中毒者を救う二重のセーフティーネット

お金持ちだった叔父の遺産は、甥、姪で四等分してもなお、弟の借金を完済できるほどの額がありました。しかし私は熟慮の末、弟にはお金を渡さないことに決めました。事情を説明して、弟にもそれを了承させました。

ここで棚ぼた的に転がり込んできた叔父の遺産でなんの苦労もなく借金返済してしまったら、弟はいっさいの反省がなく、またお金を借りてギャンブルに当てこむに違いありません。それがギャンブル中毒という病気なのです。

かわいそうなので街金の借金ぶんだけ遺産を渡して返済させ、銀行の借金は何年もかけて自分で払わせることにしました。借金返済のかつかつの生活をしていればネット競馬に手を出したとしても使える金額はたかが知れています。なぜならもうすでに銀行から信用の限度額まで借金していましたから、これ以上の借金はできないからです。

そのうえで、街金にお金を借りることがどれほど恐ろしいことか、アインシュタインの言葉を引き合いに複利の破壊力をこんこんと説いて、二度と街金から借金はするなと弟に誓わせました。もちろん競馬を止めることも同時に誓わせたのですが、そんな口だけの約束を心底信じているわけではありません。それほどかんたんに止められるのなら病気扱いされないはずでしょう。

弟が、このまま競馬をやめて、こつこつと給与から銀行に借金返済してくれればいいのですが……。自己破産して借金をチャラにしてもらえるかと検討したのですが、ギャンブルの借金の場合、自己破産でチャラにすることはできないということでした。

もしも弟がギャンブル中毒がやめられなかった場合、あと二回だけ弟を救う手段が残されています。ひとつは相続した実家の土地を売ってお金に替えることです。そしてふたつめは私が預かっている叔父の遺産を借金返済に充てることです。ネット競馬の多重債務者であることが判明した弟ですが、このギャンブル中毒者には父親と叔父さんが残してくれた二重のセーフティーネットがあるのでした。

こうして、本来、弟のところに行くはずだった叔父の遺産はすべて、借用書を書いて、すべて私が預かっています。そのお金は銀行の定期預金に入れて、本来の持ち主に返却される日を待っています。弟がすべての借金を返済し、ギャンブル中毒から立ち直ったと私が確信できたときに、利子をつけて返してやろうと思っています。

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サハラ砂漠で大ジャンプする著者
【この記事を書いている人】

アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。

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アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。
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書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』
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小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
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×   ×   ×   ×   ×   ×  (本文より)知りたかった文学の正体がわかった! かつてわたしは文学というものに過度な期待をしていました。世界一の小説、史上最高の文学には、人生観を変えるような力があるものと思いこんでいました。ふつうの人が知り得ないような深淵の知恵が描かれていると信じていました。文学の正体、それが私は知りたかったのです。読書という心の旅をしながら、私は書物のどこかに「隠されている人生の真理」があるのではないかと探してきました。たとえば聖書やお経の中に。玄奘が大乗のお経の中に人を救うための真実が隠されていると信じていたように。 しかし聖書にもお経にも世界的文学の中にも、そんなものはありませんでした。 世界的傑作とされるトルストイ『戦争と平和』を読み終わった後に、「ああ、これだったのか! 知りたかった文学の正体がわかった!」と私は感じたことがありました。最後にそのエピソードをお話ししましょう。 すべての物語を終えた後、最後に作品のテーマについて、トルストイ本人の自作解題がついていました。長大な物語は何だったのか。どうしてトルストイは『戦争と平和』を書いたのか、何が描きたかったのか、すべてがそこで明らかにされています。それは、ナポレオンの戦争という歴史的な事件に巻き込まれていく人々を描いているように見えて、実は人々がナポレオンの戦争を引き起こしたのだ、という逆説でした。 『戦争と平和』のメインテーマは、はっきりいってたいした知恵ではありません。通いなれた道から追い出されると万事休すと考えがちですが、実はその時はじめて新しい善いものがはじまるのです。命ある限り、幸福はあります——これが『戦争と平和』のメインテーマであり、戦争はナポレオンの意志が起こしたものではなく、時代のひとりひとりの決断の結果起こったのだ、というのが、戦争に関する考察でした。最高峰の文学といっても、たかがその程度なのです。それをえんえんと人間の物語を語り継いだ上で語っているだけなのでした。 その時ようやく文学の正体がわかりました。この世の深淵の知恵を見せてくれる魔術のような書なんて、そんなものはないのです。ストーリーをえんえんと物語った上で、さらりと述べるあたりまえの結論、それが文学というものの正体なのでした。
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◎このブログの著者の随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』
随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

Amazon.co.jp: 帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル (民明書房) eBook : アリクラハルト: 本
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随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

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●◎このブログ著者の書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』◎●
書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
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