移住先を探す車中泊の旅をしていると、ときどき考えることがあります。
それは老後の趣味ということです。
私は生涯の大半を海のない場所で過ごしたため、将来は、海辺に住みたいと考えています。
すると「それならサーフィンをはじめたら」「それなら釣りをはじめたら」と言われるのですが、知らなかったのならともなく、知っていたのに今日までやらなかった趣味を、老後に突然始めるなんてことがありえるのでしょうか?
私は懐疑的です。
年老いてから新たな趣味なんて開拓できるのか
将来、釣りやサーフィンを趣味にすることを期待して、海辺に住むつもりはありません。
せっかく海辺に住んでいるのなら、だったら釣りを趣味にすればいいじゃないか、と思うかもしれません。
しかし今日まで「やろうと思わなかった」趣味を、老後に急に始められるものでしょうか。
これまで触れてこなかった趣味なら別ですが、釣りを知らないわけでも、釣りしている人たちを見なかったわけでもありません。
それでもなお「釣りをやらない」選択をして、今日まで来ているわけです。
そういう人間が、急に釣りを趣味にしてハマることができるでしょうか?
知らないわけじゃなかった趣味を今日までやらなかったということは、たぶん直感的に「おもしろくなさそう」と判断して、その世界に突入しなかったのではありませんか?
生涯の趣味となるようなものは、もうとっくに始めているはずです。やりたいと思ったら、今すぐにやり始めているものこそが、本当にハマる生涯の趣味なのだろうと私は思っています。それが相性というものなのです。
老後にやればいいやととっておけるようなものは、本当の意味で生涯を賭けてハマる趣味とはなりえないと思います。
サーフィンも同じです。知らなかった場合は別ですが、知っているのに、やらない選択をして今日まで来ているのですから……将来もきっとやらないと思います。
そのような考え方をしているため、釣りにハマることを期待して、漁師の町に住むということは、私にはありえない選択なのです。
自給自足の農業暮らしに私があまり期待していないのも、同じ理由からです。今日までやらなかったことを将来急に始めるなんてことがあるでしょうか。楽しそうだと思ったらもうとっくにはじめているはずではありませんか?
そう思わなかったから今日までやっていないのであって、それを将来やるだろうと期待することは無理があると私は思うのです。