ドラクエ的な人生

登山・山小屋の常識。ザックの数を数えれば人数がわかる

このページでは、穂高山荘の山小屋で起こった笑い話「ザックの数を数えれば人数がわかる」について語っています。記事をマレーシア・キナバル山の写真で飾っていますが、本文とは関係ありません。

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ザックの数を数えれば人数がわかる

穂高の山小屋でのことです。

わたしたちの部屋に、後から一組の男女が入ってきました。わたしたちは先に布団を敷いて寝ていました。

「わたしたちが最後かな? 何人、いるんだろう。この部屋?」

新たに入ってきた女が男に問いかけました。

「いいこと教えてあげるよ。そういうときはザックの数を数えればいいんだ」

とくいげに男がいいます。

「あ、なるほど。そうか。頭いいねえ!」

女は感心しています。もっともなことだと納得したのでしょう。男は部屋の中のザックの数を数え始めました。

「いち、にい、さん……あれ、数が合わないな」

休憩室で本を読んだりしている人もいるので、全員が部屋に揃っているわけではありません。しかし部屋のスペースを確保するために、布団だけは敷いてありました。

しかし、ひいてある布団の数と、ザックの数が合いません。

「布団の数がひとつ多いよ」

「手ぶらで来る人なんかいるはずないし……おかしいな……そんなはずないんだけどな」

その会話を聞いて、わたしたちは布団から顔を上げられませんでした。実は、手ぶらで来た人がここにいます。うちの妻です。男性の知恵を狂わせた犯人はわたしたちなのです。

市民ランナーのグランドスラムを達成しているわたしと、普段からとくに運動していないうちの妻では体力に差がありすぎます。

また、彼女に登山を好きになってもらいたいというわたしの下心もありました。

そこで彼女には手ぶらで登ってもらうことにしたのです。

山の途中でバテてリタイアされても、わたしが困ります。自分を助ける意味でも最善の判断でした。

彼女の着替えや飲食物など、すべてをわたしが背負って登りました。自分の分とあわせて二人分の荷物です。これだけハンデがあると、ふたりの登攀速度が同じぐらいになります。

軽いからだでサクサクと登っている彼女の後姿を見て「山にハマれ~。山好きになれ~」と後ろからわたしは念をおくっていたのです。

その甲斐もあって、今での彼女は山行に誘っても嫌がりません。

そうこうして穂高山荘にたどり着くことができました。そして布団の中でぐっすり休憩していたというわけです。

後から来た男性よ。ザックを数えれば人数がわかる、というあなたの知恵は基本的には間違ってはいない。

ただし、ときには男性が二人分の荷物を背負い、女性が空身で登るというパターンの人たちがいます。

そう。わたしたちのように。

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