人間は遅い。カラスに舐められているランナー

私はランニングを日課にしています。戸外をよく走っているのですが、人間というのは鳥にくらべると本当にスピードの出ない生き物なんだなあ、とつくづく感じます。
とくにカラス。あの黒い鳥はほんとうにランナーを舐め切っています。近づいてもぜんぜん避けようともしません。さすがにまともに戦えば負けることはわかっているので、ごくごく近くまで接近すると、ひょいっと軽くジャンプして人を避ける、といった逃げ方をします。ぐぬぬ、なめおって!
「鈍足のお前なんかに、おれたちが捕まるはずはないよ。なんら怖くない」というのが、カラスたちの態度にありありと現れています。
これはジョギングだからではなく、ウィンドスプリント(ダッシュ)している時も同様です。鳥さんたちは、人間のことを鈍足だと、なめてきっているのです。
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雑誌『ランナーズ』のライターが語るマラソンの新メソッド。ランニングフォームをつくるための脳内イメージ・言葉によって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。
(本文より)
【入力ワード】写真からランニングフォームを学ぼうとする人が多いので注意喚起したいと思います。写真からフォームを学ぶのはお勧めできません。写真というのは瞬間を切り取ったものなので、間違った解釈をする可能性があるからです。「振り上げた脚」(往路)なのか「戻ってきた脚」(復路)なのか、写真ではわかりません。大地を蹴ったように見えている脚が本当に大地を蹴っているのか、大地を蹴ったように見えているだけなのか、写真からはよくわからないからです。写真で振り上げた膝の高さを見て「ふむふむ、膝はここまで上げるのか」と思い込んでマネするのもよくありません。慣性の法則で結果として脚がそこまで上がっているだけで、実際のランナーの意識としてはそこまで上げようとしていないかもしれません。「結果としてのフォーム」と「ランナー本人の走るときのフォーム意識(入力ワード)」は、必ずしも同じではないのです。
【腹圧をかける走法】そもそも息をするのは、酸素を吸うためです。吐くことよりも、吸うことに意識をおくほうが自然な発想です。肺の中に残っている空気(残気量)は、どうせゼロにはできないのです。吐き切るという努力は、動かない壁を押すような無駄な努力です。そこに力を割くべきではありません。持ち上がらないバーベルを無理やり持ち上げようと喘ぐと、余計に息が苦しくなってしまいます。楽に息するのとは真逆のことです。それよりも思いっきり吸うことです。そのための走法が腹圧をかける走法です。肺を絞って痩せた人のように走るのではなく、腹はたるんたるんと力を抜いてだらしなく腹が太った人のように走ります。そもそも重力は下向きなのだから、横隔膜を下げることは理にかなったことです。それに対して、吐き切ることを意識すると、重力に逆らって横隔膜を持ち上げながら肺を絞らなければなりません。どちらが楽にできると思いますか?
【ストライド走法】ピッチ走法には大問題があります。実は、苦しくなった時、ピッチを維持する最も効果的な方法はストライドを狭めることです。高速ピッチを刻むというのは、時としてストライドを犠牲にして成立しているのです。
【踵落としを効果的に決める走法】私はカラテ素人ですが、サブスリーランナーとして、すくなくとも「踵落とし」を無力化する方法をすぐに思いつくことができます。答えはカンタン。攻撃側が踵を振り上げて止まったポイント(これを上死点といいます)に、自ら打撃ポイント(脳天など)を近づけていくことです。上死点では運動エネルギーがゼロになっているために、破壊力もゼロです。上死点から距離をとらないことで「踵落とし」というキックを無力化できます。
ストライドを稼ぎたいあまりに、未熟ランナーほど振り出した前足が最も伸びきったところで着地してしまうのです。つまり「膝が伸びきったまま」「踵から着地」してしまうのです。これは「踵落とし」の運動エネルギーがゼロになっている上死点で着地してしまっているのと同じことです。これでは速く走ることはできません。
言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化して速く走れるようになる新理論の書。言葉による走法革命。とくに走法が未熟な市民ランナーであればあるほど効果的です。本書はあなたのランニングを進化させ、市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。
●「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」「かかと落としを効果的に決める走法」「ハサミは両方に開かれる走法」「腹圧をかける走法」
●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」
●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」
●【肉体宣言】生きていることのよろこびは身体をつかうことにこそある。
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速すぎて鳥が横切れないほど豪速のロードバイク

私はロードバイクにも乗るのですが、いざこの競技用自転車に乗ると、景色が一変します。
河川敷を猛然と走ると、草むらの中にいた鳥たちがびっくりして飛び立ちます。そして私の前を横切って飛ぼうとするのですが、ロードバイクが早すぎて横切れないのです。体にふれたり、ぶつかったりしました。
同じ方向に飛んでいる場合も、ほとんどスピードの差がなくて、翼などの動きがよく見られました。飛ぶ鳥と並走している感覚を、ロードバイクではよくあじわいました。手を伸ばせば、鳥に手が届きそうです。撃墜できそうです。戦闘機の撃墜王はこんな感覚をあじわっていたのではないかと思いました。
これはランニングではありえないことです。ふだん、野生の生きている鳥にふれることなんてないでしょ?
しかしロードバイクで飛ばしていると、鳥の見通しが狂うほど早いので、やつらが前を横切ろうとして接触するようなことが何度もありました。ロードバイクっていうのはそれほど早いのです。ランニングとはまったく違います。
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ロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。
※本書の内容
●通勤バイク四重苦とは?
●ママチャリ・ダンシング最強伝説
●スピードこそロードバイクのレーゾンデートル。通勤レースのすすめ
●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。体重ライディング理論。体重ペダリングのやり方
●アマチュアのロードバイク乗りの最高速度ってどれくらい?
●ロードバイクは屋外で保管できるのか?
●ロードバイクに名前をつける。
●アパートでローラー台トレーニングすることは可能か?
●ロードバイククラブの入り方。嫌われない新入部員の作法
●サブスリーランナーはロードバイクに乗っても速いのか?
●スピードスケートの選手がロードバイクをトレーニングに取り入れる理由
●デブでうんち(運動音痴)だからロードバイク乗りなのか?
●インポテンツになるという噂と対策
●スティーブ・ジョブズ「知の自転車」。論文の嘘を暴け
●旅サイクリングのやりかた
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ロードバイクの天敵は原チャリ。機械に人力はまったくかなわない

それほど速いロードバイクですが、それでも原チャリにはまったくかないません。どんなにペダルを踏んでも奴らにはかないません。
原チャリが天敵なのは、道路の端っこを走るという生息域がロードバイクとかぶっていることもあります。
どれだけ漕いでも原チャリには勝てません。機械力って偉大です。鳥さえ撃墜できるロードバイクでも、この天敵にはまったくかなわないんですから。
人力では機械力にはまったくかなわないんだなあ、とつくづく実感しました。
こういうことはランニングよりも、ロードバイクに乗ると、よりわかることです。
力いっぱい挑戦したからこそ、実感としてよくわかったことです。

