ドラクエ的な人生

経験知は一代限り。ノラ猫ですら人から逃げるのに、なんでツバメは人を恐れないの?

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道の駅ではたくさんのツバメを見かける。

車中泊で日本中を旅しています。

エンジンを切らない人がいるので、なるべく道の駅には泊まらないようにしています。

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しかし宿泊地に困った時には道の駅で仮眠することもよくあります。すると道の駅で、たくさんのツバメを見かけます。びっくりするほどたくさんのツバメをみることがあります。

ツバメたちは人間をまったくおそれません。これは実に不思議なことです。

彼らのことがとても気になったので、調査してみることにしました。

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人間の寄り付かないような場所に巣をつくるという繁殖戦略

うちの近所にシラサギが大繁殖している川の中州があります。孤島に真っ白なサギが大繁殖しています。最初は洪水で流れ着いたトイレットペーパーが樹木にへばりついてるのかと思ったのですが、よくみたら白鷺の大群でした。

川の中州は容易に人が行ける場所ではありません。だからそこにシラサギたちは巣をつくっているのでしょう。彼らの繁殖戦略は大成功です。大繁殖していました。

ほとんどの動物はこの白鷺と同じ繁殖戦略を取っていると思います。つまりなるべく人間の寄り付かないような場所に巣をつくるという戦略です。

コウノトリシュバシコウ)なんかも、この戦略を取っています。

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それにくらべるとツバメってやつは……なんでそんなに人のそばに巣をつくるのよ。

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人間を用心棒に使うという繁殖戦略

 

とくに道の駅ではトイレの入り口に巣をつくっていることが多いですね。どうしていちばん人通りの多い場所を選んで巣をつくっているのでしょうか。そんなとこに巣があったら落ちついて眠れないじゃないのよ?

ツバメそのものもほとんど人を恐れません。これは他の野鳥たちが近づくとすぐに逃げ去ることを思えば、とても珍しい現象と言わざるを得ません。

実は、ツバメは人と共存していると考えられています。ツバメはイナゴなどの田んぼの害虫を食ってくれるために、昔からずっと人間に大切にされてきました。いわゆる益鳥です。人間の農作物は食べないのに、農作物に害をなすムシを食べてくれるからです。

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ツバメの巣にはまだ飛び立てない弱弱しい雛がいるのですが、雛にとってはフクロウとか鷹とか蛇とかイタチなどが天敵です。

森の中にはこうした天敵がたくさんいます。

ところが市街地にはその天敵がいません。しかも人間はたいせつにしてくれる。

そういうことから、営巣の場所としては自然の中よりも市街地の方がツバメにとって有利なのです。

つまり人間を用心棒がわりに利用しているというわけです。人間もツバメを利用していますから共存共栄といったところでしょうか。

……と、ここまでが、よく言われていることなのですが、これだけの説明で納得できますでしょうか? わたしはちょっと説明が足りないと思います。

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経験知は一代限り。ノラ猫ですら人から逃げるのに、なんでツバメは逃げないの?

強い動物(人間)を用心棒に利用している、というのはわかりました。そういう動物は他にもいます。大型魚にくっついて自分が襲われるリスクを避けているコバンザメなんかも、その例です。

むかしから大切にされてきたから人間を恐れなくなった、というだけでははっきりいって説明不足です。だってツバメなんかよりもよっぽど人間に大切にされてきたネコでさえ、人が近づくと脱兎のごとく逃げるじゃないですか。猫のくせに。

でもツバメは人間を恐れません。これは本当に不思議なことだと思います。

野良猫の祖先は家ネコだったはずです。でも世代を経て、自分が人に可愛がられた経験がないと、ノラネコは祖先が人に愛されたことを忘れて、人になつきません。

つまり経験知は一代限りだということです。

ツバメも同じで、先祖が百姓に大切にされた、なんてことを記憶しているはずがありません。だって経験知は一代限りなんですから。

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ツバメはヒナ時代に見た風景のことをおぼえていて、それとよく似た場所に巣をつくるのではないか。

ツバメが人間と共存共栄していることはわかりました。

しかし、これまでの説明では、どうしたらその営巣地選択のテクニックが次世代に伝わるのか、それを説明したことにはなりません。

言葉をもたないツバメたちが「人間のそばなら天敵のヘビが来ないから安心」「人間は自分たちを大切にしてくれるから大丈夫」「これからは人間と共存共栄しよう」なんて論理的な思考をしているとは思えません。

営巣地を選ぶサバイバル技術が、どうして子や孫に伝わっているのでしょうか?

おそらくツバメはヒナ時代に見た風景のことをおぼえていて、それとよく似た場所に巣をつくっているのではないでしょうか?

そうと考えなければ、次世代もその次世代も、営巣場所が市街地、人間のそばということの説明がつきません。

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