パリからヴェルサイユへ電車で行く人は気をつけて
ここではパリからベルサイユに個人旅行で観光する人に「あるある」な話をします。
地図とセーヌ川の位置をいちいち確かめつつ進めば間違いない!?
そうとも言えないのがヴェルサイユのおそろしいところです。
フランスのパリから、ベルサイユ宮殿に行こうとしたときのことです。バスも出ているのでしょうが、私たちは電車を選びました。
当時はスマホもなく、ガイドブックだけが頼りでした。そうしてガイドブックに載っている通りの電車に乗ってベルサイユに向かったのですが……どうにも奇妙なことが起こりました。
どうやら電車が逆方向に進んでいるようなのです。どうしてそれがわかったかというと、私は地図を見て現在位置を確認していたのですが、ベルサイユへと向かうルートとは逆に進んでいるのです。駅名はフランス語なのでよく読めなかったのですが、たとえばエッフェル塔のような一目瞭然の建築物が、想像しているのと逆側に出てくるからです。
言っている意味、わかりますよね? たとえば大阪から上京してくるのに、富士山が右側に見えたらおかしいじゃないですか。それは反対方向に進む下りの新幹線に乗っているということでしょう。
ガイドブックを信じるか、自分の目を信じるか? それが問題だ
私が想定している電車ルートならば、セーヌ川は進行方向の右側に出てこなければならないはずなのに、セーヌが左側にあるのです。これはおかしい。私は傷口が大きくなる前に即座に電車を降りました。そして反対の方向に向かう電車に乗ったのです。ところが……やはりどうガイドブックを読み込んでも、さっきの電車が正しいと書いてあります。ガイドブックを信じていいのか、自分の直感を信じていいのか、私は迷いました。そして自分の直感を信じて、自分が地図で確認したルートを突き進んだのでした。
ガイドブックの記述に逆らうのはとても不安でしたが、地図でひと駅ひと駅確認しながら、反対方向へと進んでいきました。そして電車はちゃんと私が地図を目で追ったとおりにベルサイユに着いたのです。

ほら見ろ。やっぱりガイドブックが間違っていたんだな。自分の直感を信じてよかった。
ベルサイユ・ミステリーの全容。ベルサイユへは着き進め!
駅からベルサイユ宮殿へはすこし歩きました。念願のベルサイユ観光を堪能して、帰る時間となりました。入口とは違った場所から出たので、念のために現地フランス人に駅へのルートを確認して、その通りに歩いたのですが、着いたのは行きとは違う駅でした。
そこで私はようやく自分の身に起こったミステリーの全容がわかりました。
私の乗った電車のレールは、あたかも環状線のようにぐるりと輪を描くように敷設されていて、その始点と終点にヴェルサイユ駅があったのです。なんてことだ!
ガイドブックが推奨していたのは、その終点のヴェルサイユ駅、私が地図を目で追いかけていたのは始点のヴェルサイユ駅でした。だから真逆の進行方向になったのです。ガイドブックが終点のヴェルサイユ駅をおすすめしていたのは、パリからの時間がすこしだけ短く、宮殿への距離がすこしだけ近いためでしょう。
これはあたかも山手線で上野から目黒へと行くようなものです。内回りでも外回りでもどっちに乗ってもたいして時間は変わりません。
電車でパリからベルサイユへ行こうという方は、私のようなパニックにならないようにお気をつけください。どっちからでもベルサイユ宮殿に行けます。ベルサイユは突き進め! です。ガイドブックを信じるか、自分の目を信じるか、その答えは、どちらも正しいというものでした。