ドラクエ的な人生

現代人が、石器時代にタイムスリップしたら、生き残れるだろうか?

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現代の科学ロビンソン・クルーソー

「現代人が、石器時代にタイムスリップしたら、生き残れるだろうか?」

アウトドア愛好家のひとりとして、頭の片隅にはそういう空想がずっとありました。

キャンプ愛好家縄文時代とか石器時代のようなローテク時代が大好きです。

そんな中、『Dr.STONEドクターストーンというアニメーション作品と出会いました。

この物語は科学マニアの高校生が石器時代に放り込まれたらどうなるか? というストーリーです。

衝撃的に面白かったので、まだ見ていない方のためにご紹介します。

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このブログの著者が執筆した「なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?」を追求した純文学小説です。

「きみが望むならあげるよ。海の底の珊瑚の白い花束を。ぼくのからだの一部だけど、きみが欲しいならあげる。」

「金色の波をすべるあなたは、まるで海に浮かぶ星のよう。夕日を背に浴び、きれいな軌跡をえがいて還ってくるの。夢みるように何度も何度も、波を泳いでわたしのもとへ。」

※本作は小説『ツバサ』の前編部分に相当するものです。

アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。

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「Dr.STONE」のあらすじ

なぜか人間を石化してしまう謎の光線が世界を覆って、人類は石器時代に逆戻りしてしまいます。

そしてその石器時代に理科系オタクの主人公センクウが蘇るというお話しです。

「現代人が、石器時代にタイムスリップしたら、生き残れるだろうか?」

そんな疑問にこたえるようなストーリー展開となっています。

アウトドアマンが夢想しているテーマが冒頭から示されて引き込まれました。アウトドアマンはサバイバルが大好きですからね。

ただし、ドクターストーンが凄いのは、この先です。普通は「ロビンソン・クルーソー」的な展開だろうと予想するじゃないですか。

ロビンソン・クルーソーは現代人が遭難してジャングルで生き延びようとする話しです。

「自然環境の中でただ生きのびる」キャンプ、DIY、アウトドア、家庭菜園スキル

石器時代とジャングルの違いはあっても、文明が通用しないローテクの世界という意味では同じです。

摩擦熱で火を起こしたり、木で住居をつくったりして、なんとか生きのびるっていう展開を予想しますよね?

ところが『Dr.STONE』では科学をつかって、生き延びようとします。

火どころではありません。電気をつくり、電灯をつくり、動力伝達のギアをつくり、水力発電所をつくり、電池をつくり、挙句の果てには携帯電話までつくるのです。

「生き伸びる」どころではありません。近代科学をよみがえらせようとするのです。

サバイバルどころではありません。石化してしまった人類を復活させようとします。

いかに物語は進化するものだとはいえ、ロビンソン・クルーソーにくらべると、物語は近代科学文明ほど大進化を遂げています。

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驚き学び成長していく未熟サイドが本当の主人公

主人公のくせに悪役顔のセンクウはひじょうにいい味だしています。

しかしこういうストーリーの場合、メンター(指導者)よりも、未熟の側こそが本当の意味での主人公となるのではないでしょうか。

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未熟サイドが現代の科学文明にふれて驚き、学び、成長していく姿が、私たちが何も知らなかった子供の頃に科学文明にふれて驚いたこと、学んだこと、成長していった姿と重なるからです。

近代文明を知らない石器時代の理数系男子のクロムが、センクウが教える科学に感動・興奮する。

同じく近代文明を知らない石器時代の職人のカセキのジイサンが、センクウが教える技術に感動・興奮する。

そのような石器時代の人たちの近代文明に対するリアクションとリスペクトに私たちは共感するのです。

メンターのセンクウには、そのような驚きや興奮はありません。すでに知っていることを披露するだけだからです。しかしそんな中、クロムとカセキが自分たちだけで水車を発明した時、センクウは驚き、感動します。人類が科学を生み出したチカラの根源をクロムとカセキの中に見たからです。

そしてとうとう水力発電を生み出すのでした。ロビンソン・クルーソーとは全然違う話しの展開ですね。

物語のあらすじを述べることについての私の考えはこちらをご覧ください。

物語のあらすじを紹介することについて
あらすじを読んで面白そうと思ったら、実際に照会している作品を手に取って読んでみてください。ガイドブックを読むだけでなく、実際の、本当の旅をしてください。そのためのイントロダクション・ガイダンスが、私の書評にできたらいいな、と思っています。

私は反あらすじ派です。作品のあらすじ、主題はあんがい単純なものです。要約すればたった数行で作者の言いたかった趣旨は尽きてしまいます。世の中にはたくさんの物語がありますが、主役のキャラクター、ストーリーは違っても、要約した趣旨は同じようなものだったりします。

たいていの物語は、主人公が何かを追いかけるか、何かから逃げる話しですよね? 生まれ、よろこび、苦しみ、死んでいく話のはずです。あらすじは短くすればするほど、どの物語も同じものになってしまいます。だったら何のためにたくさんの物語があるのでしょうか。

あらすじや要約した主題からは何も生まれません。観念的な言葉で語らず、血の通った物語にしたことで、作品は生命を得て、主題以上のものになるのです。

作品のあらすじを知って、それで読んだ気にならないでください。作品の命はそこにはないのです。

人間描写のおもしろさ、つまり小説力があれば、どんなあらすじだって面白く書けるし、それがなければ、どんなあらすじだってつまらない作品にしかなりません。

しかしあらすじ(全体地図)を知った上で、自分がどのあたりにいるのか(現在位置)を確認しつつ読書することを私はオススメしています。

作品のあらすじや主題の紹介は、そのように活用してください。

偉そうに? どうして無名の一般市民が世界史に残る文豪・偉人を上から目線で批評・批判できるのか?
認識とか、発想とかで、人生はそう変わりません。だから相手が世界的文豪でも、しょせんは年下の小僧の書いた認識に対して、おまえはわかってないなあ、と言えてしまうのです。それが年上だということです。涅槃(死。悟りの境地)に近いということなのです。

メンタリスト=あさぎり ゲンが最高

この物語で個人的に最高なのがメンタリスト=あさぎりゲン。彼はセンクウと同じく石化をとかれた現代人です。

近代科学文明を知っているけれど、再現できないという私たち読者に最も近い立場にいる存在です。

私たちはラーメンを知っているけれど、たったひとりで石器時代の放り出されても、それを再現できません。科学の天才センクウだからできるのです。

あさぎりゲンは最初はエスタブリッシュメントを復活させないという勢力の手下でした。

『Dr.STONE』は、獅子王というローテク崇拝キャラクターと、センクウというハイテク崇拝キャラクターの対立を通じて、テクノロジー文明を考えさせる展開となっています。

「コーラが飲みたい」あさぎりゲンはいいました。その気持ち、わかりますよね?

「昔に戻りたい」(現代文明を取り戻したい)という意味です。

あさぎりゲンはセンクウがつくった電灯の光に感動して、センクウの仲間になります。

センクウに賭けたのです。

センクウはあさぎりゲンが賭けた「昔に戻りたい」夢をかなえることができるのでしょうか?

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進化したロビンソン・クルーソー物語

いかがでしたでしょうか。

『Dr.STONE』の魅力が伝わりましたでしょうか?

ただ石器時代に生き残れるのか? というロビンソン・クルーソー的な展開ではありません。

ひとりの天才高校生が、石器時代の人々の助けを借りながら、文明をよみがえらせることができるか、という少年漫画ならではの壮大なストーリーとなっています。

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