わたしは、なぜタダで70日間世界一周できたのか?

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『ドラクエ的な人生』とは?

心の放浪者アリクラハルトの人生を走り抜けるためのオピニオン系ブログ。

書籍『市民ランナーという走り方(マラソン・サブスリー。グランドスラム養成講座)』。『通勤自転車からはじめるロードバイク生活』。小説『ツバサ』。『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』『読書家が選ぶ死ぬまでに読むべき名作文学 私的世界十大小説』『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』。Amazonキンドル書籍にて発売中。

どうもハルトです。みなさん今日も楽しい旅を続けていますか?

旅行系サイトのライターとして面白そうなトラベル本には目を通すことにしている。その中で「わたしは、なぜタダで70日間世界一周できたのか?」という本があったのでレビューしてみたい。

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わたしは、なぜタダで70日間世界一周できたのか?

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著者は伊藤春香「はあちゅう」さんです。ブログ創成期に最高で一日に47万ページビューを叩き出したとか……。一か月じゃありません一日ですよ! ドラクエでいえばレベル100。ラスボスを1ターンで撃破してしまうような強者中の強者です。今でもフォロワーが10万人いるとか。

す、すごすぎる…。

こういうブロガーのことをアルファブロガーというそうだ。ボス猿のことをアルファ・オスと呼ぶ。アルファというのはギリシア文字の最初の文字だ。アルファからオメガまでというのはAtoZ最初から最後までという意味。要するにピラミッドの頂点にいるブログの書き手という意味です。

そういう人はどういう文章を書くのであろうか?

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タダで世界を回れるやつは、タダ者ではない

金さえあれば世界一周なんて簡単である。また世界一周も諸都市をすっ飛ばして飛行機でぐるっと回るだけなら簡単である。今どき金もたいしてかからない。1年間に10都市ぐらい回るチケットで30万円ほどが相場である。格安チケットを探せばもっと安く回れる。

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しかしタダは難しい。タダで世界を回れるやつはタダ者ではない。

その秘訣はひとことでいうと、スポンサーをつけて、ブログで広告しながら旅をするのである。

10万人のフォロワーがいて、社会的影響力があると認知されるからできることだ。レーシングカーが企業のステッカーだらけで走っているようなものである。

ところで「広告」と一言で言うが、どうやって企業に渡りをつけたのか? また、どのように「広告」するのか。そのノウハウも本の中に書かれている。

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プロブロガーは作家というよりは広告代理業

旅ブログは現在進行形の読み物のようなものである。読者を楽しませることと、商品を広告することをどうやって両立させようとするのか。テレビでいえば本編とCMを同時に流すような工夫が必要になってくる。

はあちゅうさんの本を実際に読むのが一番いいのだが、そんな時間がないという人のためにノウハウをダイジェストで紹介してみよう。

ちなみにピラミッドの頂点に立つブロガーの文章であるが、決して「すごい」文章ではない。「すごく読みやすい」「親しみやすい」文章である。そうでなくては多くの人に読まれないのだから、当然か。

はあちゅうは最初に「自分がタダで世界一周するために」ブログに広告を出してスポンサードしてもらうためのアイディアをめちゃくちゃ色々考える。企業に企画書を送り、脈があったら会社訪問してプレゼンテーションをしていくことを何度も何度も繰り返している。

そのアイディアは作家のそれではなく、完全に広告代理業のそれである。

たとえばこんなアイディアである。

レトルトカレーを提供してもらい、インド人に食べてもらってリアクションを動画でブログで流すアイディア→本場のカレーよりもうまいとインド人もびっくりしてくれたら企業CMになるに違いないとい目論見。

諸品名が書かれたボードを発音してもらう動画をブログで流すアイディア→聖書のヨハネやパウロやペテロが、ジョンやポールやピーターと英国人が発音することを知っていれば、同じ商品がおそろしく別の発音になるだろうと想像される。それが面白ければ拡散されるであろうと言う目論見。

「ブログで企画」が大好きで、こういうバカバカしいことを面白いと思える感受性のおかげで、はあちゅうさんのブログの閲覧数がモンスター級だったのであろうか。

彼女はアイディアを企画書にまとめる。プレゼンテーションソフトを利用して、企画概要、具体的施策、ターゲット読者、アクセス目標、想定ルート、旅行費用概算、タイアップ企画例、スポンサー側メリット、自分のプロフィールなどを書き込んで、知り合い全員に送りつける。ホームページに問い合わせ先があれば電話をかける。

一社から10万円。10社のスポンサーがつけば100万円で企画が成り立つ。その意気ではあちゅうは企業を回る。何とかなるはず。

だって、広告のいらない会社はないのだから

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広告のための広告。他人の広告をするために、自分の広告が必要

企業が商品を売るためには広告が必要である。その広告を買って出ようというのがはあちゅうさんのブログであるが、そのためにも広告が必要であった。他人の広告をするために、自分の広告が必要だったわけだ。いわば広告のために広告である。

タダで世界一周という企画を成功させるために、イベントを開催してリアルの世界に広げる。イベントは広告にもなるし、3500円のチケット代からわずかな儲けがあるようだ。手数料で少額を稼げるという仕組みだ。

また世界一周の雑誌か新聞の連載をもちたいと考えるのも彼女ならでは、だろう。普通はそこがゴールになるのだが、彼女にとってはそこがスタート地点である。

雑誌で「世界の健康食レポート」をやることを決めたようだ。雑誌連載しつつ世界を回るわけだ。俺ならこれだけで世界を回れそうな気がするが、はあちゅうさんはもっともっとスケールの大きな世界一周を考えている。ひそかなゴールは新しい「世界一周定番商品」を作ること。何かの商品の意外な価値や使い方を発見して広めること。広告代理店に勤めたらいいんじゃないの?

夢は人に言いまくって、厚かましくやってみることだと彼女は言う。「タダで世界一周をしようと考えている」とダメ元で商品提供を企業にお願いしたら応じてもらえたりするのだ。出会いを求めていろいろな場所へ行く。出会いというのは連鎖反応で、人の縁がまた次の出会いを呼んでいく。その過程がスリリングに描かれている。会社に協賛を断られてもめげない。何度オーディションに落ちてもしょげない芸能人のように。そういう意味では芸能人の伝記と同じ感覚で読むことができる。オーディションっていうのは受かることよりも落ちることの方が多いものだ。協賛プレゼンテーションだって同じだろう。条件をクリアしないと協賛にこぎつけなかったようだ。タダは楽じゃないのだ。

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こうやってタダで世界を回ったようだ

検索サイトgooを運営する会社がメインスポンサーとなってくれて、旅費のための協賛金を提供してくれたし、ブログの更新に必要だった国際携帯電話を貸し出してくれて、通信費も負担してくれたようである。

企画のキモはブログ広告であるが、そのブログはオフィシャルブログとしてやる。つまりタダでやる。無料ブログを運営している会社は「はてなブログ」「Amebaブログ」など複数あって競争している。どうして無料でブログスペースを提供しているのかといえば広告収入が見込めるからである。はあちゅうさんのような閲覧数モンスターにはお願いしてでも自社のブログをつかってもらいたい腹があるわけだ。

ブログ更新にパソコン、カメラ、記憶媒体などは企業から無料レンタルができたようだ。

世の中、お金は出してくれなくても「現物」は出してくれる企業は多い。登山家の伝記などを読めばわかるが、企業の協賛は現物支給のオンパレードである。こんなおれの弱小ブログですら企業からの商品紹介のオファーがあるのである(※商品レビューしたコラムはこちら)。はあちゅうさんクラスなら企業から現物支給を得ることはわけもないことだろう。

海外旅行で一番お金がかかるのは航空券と宿泊費、そして食費である。短期旅行ならば航空券が一番高く、長期になるほど宿泊費の占める割合が大きくなる。

本にははっきりと書いていないが、航空券チケット代は、メインスポンサーの協賛金提供によってまなかったと思われる。

宿泊費は、ホテル予約サイトの協賛を得て、提携ホテルにタダで泊まらせてもらえることになったようだ。交換条件は止まったホテルのレビューを書くこと。しかしそれですべての宿泊がカバーできたわけではない。

実際に貧乏バックパッカー旅行をしたことのある人なら知ってることだが、ホテル代なんて節約する気になれば数百円で泊まれるのだ。ドミトリーがある。宿代が1泊1万円もするなんて日本だけの常識だ。

同様に、食費だって屋台で庶民と同じものを食べれば数百円で済むはずだ。そんなにお金がかかるはずがない。

『わたしは、なぜタダで70日間世界一周できたのか?』のタダの定義には「タダで世界一周をするための企画」関連のブログ広告やイベントなどから得た収入は旅費に当てていい(それでまかなえればタダのうちに入る)ルールだと思われるので、それらを当てているのではないか。

トラベルグッズはほぼ現物支給に頼ることができたようだ。

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広告効果が問われる。閲覧数が全て

最後はアクセス数が勝負である。協賛の交換条件は結局、どれだけ閲覧されるかに集約される。広告効果が問われるわけだ。「どれだけブログを有名にするかという勝負」になる。そのためにはあちゅうさんは顔出しする、更新頻度をあげるなど、アルファブロガーとしてのスキルを駆使していく。書籍出版経験者として、クロスメディアを展開していく。ブログだけでなく、企業ウェブサイトや、動画、フリーペーパーや雑誌連載など、ありとあらゆるところに彼女は顔を出す。企業巡りの際は新聞にも連載交渉中だったようだ。マスコミの威力は圧倒的だからね。旅が終わったら、当然の書籍化である。それを今日、私たちが読むことができるわけだ。

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自分自身が最強ブロガーなのに旅行系サイトを読み込んで、このブログはなぜ人気なのかなど気づいたことは逐一メモして研究したそうだ。勉強も怠りない。さすが慶応義塾。

超一流ブロガーというのは、視聴率のとれるタレントみたいなものだ。そういうことをわからせてくれる本であった。なるほど、インターネットを活用しブログで生きていくっていうのは、こういうことを言うのか。そういうことを学ばせてくれる本であった。

読めば読むほどなるほどプロのブロガーというのは「作家」というよりは「広告代理店」のような仕事なのだなあとわかる。「作家」ではない「企画者」だけがプロのブロガーになれるようだ。

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旅行としてはミッションが多すぎる

タダで世界一周ができるなんて羨ましい。当然、そう思って本を読み始めるはずだ。

ところが読了し、お前も同じことをやってみたいか、と言われたらビミョーである。

私もプロのライターとして、日本各地に取材に行ったことがあるのでわかるのだが、取材旅行というのは旅行ではない。仕事である(ホテル、航空券の代金は雑誌社もちでした)。

はあちゅうの旅はとにかくミッション(ノルマ)が多いのだ。企業に協賛を取り付ける交換条件としてノルマがある。これでは仕事前提で出張するのとあまり変わらない。

ノルマは、ブログ更新だけではなく、歩いた歩数をカウントしたり、食べたものはすべて写真に撮って感想をつけたり、ホテルのレポートをするなど、エンドレスに150以上あったそうだ。

ああ。面倒クセェ。

こういう旅を「やりたいか」と聞かれると放浪のバックパッカーとしては「ビミョー」だと言わざるを得ない。

旅に「やらなきゃいけないこと」があるなんて。

旅の初心者の頃なら飛びついたかもしれないが、おれはもうすでに自由な旅を知ってしまっている。自分の金で行く、何もしない贅沢、その場所にとどまる自由、明日自分がどこに行くかわからない冒険。それらのすべてが「タダの旅」にはないのである。

世界一周だからこんなに苦労したが、これが一か国往復だったなら全然簡単だっただろうに。どうしても「世界一周」したかったんだろう。それが冒険だからね。

はあちゅうさんは女性である。女子の一人旅であるために「安全保障」に気を使うのも当然だ。この「安全保障」に説得力がないと企業の協賛が得られない。事故に遭っても自己責任ってわけにはいかないのだ。

安全保障のお墨付きは、著名旅行系サイトにしてもらったようだ。協賛しておいて誘拐やレイプでもされたら企業の姿勢を問われてしまうからね。

泊まるホテルの場所もいちいち事前に調べて報告しておいたそうだ。男の身(放浪のバックパッカー)から見ると必要以上に大変である。タダっていうのは自由じゃないんだなあ。「最悪野宿でも構わない」ぐらいの気持ちで何も考えずにふらりと行ける男の旅とは違うのだ。化粧品なんかも持ち歩かないといけないから荷物も多い。ブログ更新のノルマのため、パソコン、カメラを二台持ち歩いたようだ。イヤハヤ…たいへんだなあ。

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その後のはあちゅうさん

こうして彼女は大学生の間に世界一周をして、その後、電通という日本一の広告代理店につとめるようだ。電通もこういう社員こそ欲しかろう。世界一周のために彼女がやったことはまさに広告代理店の仕事であった。

しかしはあちゅうさんは電通におさまりきるような器ではなかった。ここまで来るとはあちゅう自身がひとつの企業のようなものである。

現在は、なんとAV男優のしみけんさんと事実婚のパートナーになっているそうな。いやどうも。ぶっ飛んでる人だなあ。性病になったりとか怖くないのかな。まあこれだけの人ですから、それもまたブログ閲覧数を跳ね上げるバネにする気なのかもしれません。

プログの世界は読まれてナンボですからね。

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『わたしは、なぜタダで70日間世界一周できたのか?』

旅人も、ブロガーも、ぜひ一読あれ。勉強になりますよ。

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サハラ砂漠で大ジャンプする著者
【この記事を書いている人】

アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。

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アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。
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雑誌『ランナーズ』のライターだった筆者が贈る『市民ランナーという走り方』。 「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか? いいえ。できます。そのために書かれた本が本書『市民ランナーという走り方』。ランニングフォームをつくるための脳内イメージワードによって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。「言葉の力によって速くなる」という本書の新理論によって、あなたのランニングを進化させ、現状打破、自己ベストの更新、そして市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。 ●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」って何? ●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム? ●ピッチ走法とストライド走法、どちらで走るべきなのか? ●ストライドを伸ばすための「ハサミは両方に開かれる走法」って何? ●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは? ●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」の本当の意味は? 本書を読めば、言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く効率的に走ることができるようになります。 ※カルペ・ディエム。この本は「ハウツーランニング」の体裁をした市民ランナーという生き方に関する本です。 あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。
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書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。 その過程で、ママチャリのすばらしさを再認識したり、どうすれば速く効率的に走れるようになるのかに知恵をしぼったり、ロードレースは団体競技だと思い知ったり、自転車の歴史と出会ったりしました。 ●自転車通勤における四重苦とは何か? ●ロードバイクは屋外で保管できるのか? ●ロードバイクに名前をつける。 ●通勤レースのすすめ。 ●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。 ●ロードバイク・クラブの入り方。嫌われない作法。 などロードバイクの初心者から上級者まで対応する本となっています。
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●◎このブログ著者の小説『ツバサ』◎●
小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
×   ×   ×   ×   ×   ×  (本文より)知りたかった文学の正体がわかった! かつてわたしは文学というものに過度な期待をしていました。世界一の小説、史上最高の文学には、人生観を変えるような力があるものと思いこんでいました。ふつうの人が知り得ないような深淵の知恵が描かれていると信じていました。文学の正体、それが私は知りたかったのです。読書という心の旅をしながら、私は書物のどこかに「隠されている人生の真理」があるのではないかと探してきました。たとえば聖書やお経の中に。玄奘が大乗のお経の中に人を救うための真実が隠されていると信じていたように。 しかし聖書にもお経にも世界的文学の中にも、そんなものはありませんでした。 世界的傑作とされるトルストイ『戦争と平和』を読み終わった後に、「ああ、これだったのか! 知りたかった文学の正体がわかった!」と私は感じたことがありました。最後にそのエピソードをお話ししましょう。 すべての物語を終えた後、最後に作品のテーマについて、トルストイ本人の自作解題がついていました。長大な物語は何だったのか。どうしてトルストイは『戦争と平和』を書いたのか、何が描きたかったのか、すべてがそこで明らかにされています。それは、ナポレオンの戦争という歴史的な事件に巻き込まれていく人々を描いているように見えて、実は人々がナポレオンの戦争を引き起こしたのだ、という逆説でした。 『戦争と平和』のメインテーマは、はっきりいってたいした知恵ではありません。通いなれた道から追い出されると万事休すと考えがちですが、実はその時はじめて新しい善いものがはじまるのです。命ある限り、幸福はあります——これが『戦争と平和』のメインテーマであり、戦争はナポレオンの意志が起こしたものではなく、時代のひとりひとりの決断の結果起こったのだ、というのが、戦争に関する考察でした。最高峰の文学といっても、たかがその程度なのです。それをえんえんと人間の物語を語り継いだ上で語っているだけなのでした。 その時ようやく文学の正体がわかりました。この世の深淵の知恵を見せてくれる魔術のような書なんて、そんなものはないのです。ストーリーをえんえんと物語った上で、さらりと述べるあたりまえの結論、それが文学というものの正体なのでした。
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◎このブログの著者の随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』
随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

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随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
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●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
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●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

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●◎このブログ著者の書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』◎●
書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
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