ラクロ『危険な関係』の内容、あらすじ、魅力、感想

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『ドラクエ的な人生』とは?

心の放浪者アリクラハルトの人生を走り抜けるためのオピニオン系ブログ。

書籍『市民ランナーという走り方(マラソン・サブスリー。グランドスラム養成講座)』。『通勤自転車からはじめるロードバイク生活』。小説『ツバサ』。『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』『読書家が選ぶ死ぬまでに読むべき名作文学 私的世界十大小説』『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』。Amazonキンドル書籍にて発売中。

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ラクロ『危険な関係』とは? 悪もんのヴァルモンとメルトイユの関係と姦計

ここでは一度は読んでみたいと昔から思っていたラクロ『危険な関係』の内容、あらすじ、魅力、評価を語っています。

『危険な関係』はすべて手紙で構成されています。読者はそれぞれ手紙筆者の立場に立って物語を追いかけなければなりません。

本書が描こうとしたのは「悪」だとボードレールをはじめ様々な人から書評されています。本当にそうでしょうか。それを見ていきましょう。

私はただ「人の真心・純情ではなく大人の策略によって大きく変わる男女関係」を描こうとしただけなのではないかと思います。その結果として悪を描くことになった。悪は結果であって目的ではありません。

ちなみに「危険な関係」というのは狭義には「男女の肉体関係」を意味します。肉体関係を持つことによって、ツールヴェル法院長夫人は悲憤の死にいたりますし、セシルは修道院に入ることになります。

悪もんのヴァルモンの死もとどのつまりはメルトイユ夫人と肉体関係を持っていたことが原因です。メルトイユとヴァルモンは元々肉体関係があったがゆえに、裏切りと怒りを感じ、復讐の対象になりました。刺し殺すダンスニーもまたメルトイユと肉体関係があるのでしょう。だから恋人の姦計に操られてしまったのです。肉体関係がなければ陰謀にはかからなかったはずです。

「危険な関係」とは、広義には「人の関係性の中(社会)で生き抜くことは、理性なんか頼りにならず、ひじょうに危険だ」という意味でしょう。そのことは作品のラストにラクロのオチ、結論として描かれています。

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ラクロ『危険な関係』の内容、あらすじ、魅力、感想

妨げられた欲望はどこまでも人を引きずっていく。

女性が身を守る力に弱いということはわれわれ男性にとってなんたる幸運でしょう。

恋の絶望ほど面白いものはありませんわ。

ご婦人がたというものは、ひとたび権力を手にするとそれを乱用せずにはおかないものです。

あれほど思い切った失礼なことを言われれば、どんな男だって命をかけて返報するでしょう。

→ 『危険な関係』は「悪を描いたものだ」という人がいるのは、はじめから誘惑という姦計からはじまるからです。悪もんのヴァルモンは、快楽主義者。女性は獲物という人物です。行動家です。それに対して真の主人公とされるメルトイユは、安楽椅子探偵のように動きません。手紙のみで人を動かします。

官能の悦びがえられてはじめて、恋の目隠しがはずれるものだ。

あの人の心臓は恐怖のためではなく恋のために高鳴ったのだ。

この女の悔恨の対象となり、悔恨の征服者となることは、なんという楽しさであろう。

われわれが幸福と呼んでいるものは、快楽というのが精いっぱいのところです。

恋とは医術と同じく単に自然力を助ける術である。

自分から身をまかすようにさせるためには、まず最初に女を手に入れる、というのがほんとうのやり方です。

どんな神に祈ろうというのでしょう。恋に打ち克つほどの力を持つ神さまがあるでしょうか。

あの人とゆっくり視線を交わすことができるのは、その機会だけだった。

つれないふりをしてみたいのが、あの奥方のお好み。

善人にも弱点があるように悪人にも美徳はあるのでございます。しかしそのために善人も悪人もひとしなみに扱うとすれば……あの人自身が危険な関係の当の相手になるわけではありませんでしょうが。

手紙をくれることを承知したとなれば、あの人はすでに夫をだます必要に迫られているわけだ。

私を中傷したのは、ヴォランジュ夫人。私が立ち去らねばならぬ憂き目にあうのも、あの女の意見、あの女の毒のある忠告によるものなのです。

老婦人方を怒らせてはいけない。若いものの評判をつくりあげているのは老人たちなのですから。

平穏を必要とする心を乱すようなことはおやめになってください。夫たった一人に私のすべての義務と快楽とは捧げられております。

→ 最初は冷たく誘いを断るツールヴェルがどのようにヴァルモンに身を任すか。それが本書の見どころのひとつです。

数え切れぬ難破船の残骸に覆われた海原の中に、どうして漕ぎ出すことなどできましょう。私は岸辺にとどまります。

あなたが完全な支配力をおふるいになれる男に何を怖れるのでしょう。思いのままに導くことができる感情のことで何を怖れるのでしょう。あなたも愛してごらんなさい。そうすればあなたの恐怖は消え去るでしょう。

セシルとダンスニーとのあいだには危険な関係があるように思えると打ち明けてやりました。

ダンスニーの手紙のメッセンジャーになり、求めている手紙を渡さないようにし、部屋の鍵を要求した。接吻を求めた。声をあげようとしたが、手紙のことや鍵のことなどの弱みがあった。セシルは精一杯の抵抗をせず、いやだというが口だけで、屈服し、同意した。お互いに満足を得て、翌日の逢引まで打ち合わせて別れた。

つまらぬ快楽の償いとして、長い長い不幸があたえられる。

あなたをまるで自分の一番愛している女みたいに扱うなんて。

恋の苦しみだけを大切になさって、恋の楽しみはお嫌なのね。

あの方から何の便りもない。私はこの上もない不幸におそわれるのではございますまいか。お手紙をいただけないのが、どんなにか私には悲しい。手紙がある時は、私のことを考えていてくださる。

必ずや今までよりももっと有名となり、あなたにふさわしい男となっていることでしょう。一晩にして愛する恋人の手から娘を奪い取り、使いたいだけ使ってやり、商売女にだって要求できないようなことをやすやすとやらせたというのに、それがなんでもないことのようにおっしゃる。

浮気がすんでしまえば、そっと恋人の腕の中に返してやるつもり。

美徳で尊敬される夫人が、私の言葉ひとつ眼差しひとつを求めているのに、この私は彼女を棄ててやるのです。彼女の生涯が長かろうと短かろうと、この私ひとりがそれを開きそれを閉じてやったのだ。この私の仕事を見てくれたまえ。この世に二度とこんな例があるものか探してみたまえ。

→ 悪です。

私の計画は、この私がどんな男よりもすぐれた男であるという考えを一生あの娘に持たせることにあった。

この私に抵抗できるなどと思いあがっていたあの女も、とうとう陥落してしまいました。そうです、私のものになったのです。もう彼女には、これ以上私にあたえるものはなにもないというわけです。

気を失っているうちに身をまかせていた。

→ ツールヴェル夫人とは表面上は不同意のまま、先に肉体関係を結んでしまいます。

私の生命があなたさまのご幸福に役立つのでない限り、もう私は生きてはまいれません。私はそのためにすべてを捧げます。

→ すると心境がこう変わるんですね。

「女は寝てはじめて男に惚れる」と言った私の友人がいましたが、深い言葉ですね。ラクロも同意するでしょう。

別れた後でも彼女の姿が頭を離れず、それから気をそらすためには、よくよくの努力が必要だった。

女を誘惑することと女を破滅に陥れることとはほとんど同じことだと考えているのです。

→ 悪もんが、自分が楽しいだけならいいのですが、相手の女性を破滅させてしまうのでした。

この色事に高い値打ちをつけてはいても、他の色事に手を出さないと決まったわけではなく、もっと楽しいもののためには、これを犠牲にだってすることにもなりましょう。

異国を見れば見ただけに、いっそう私はおのが祖国を愛したのだ。

→ 私の著書『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』にこの言葉を引用して使わせていただきました。

×   ×   ×   ×   ×   × 

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●日本海も東海もダメ。あたりさわりのない海の名前を提案すればいいじゃないか
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●もしも韓国に妹がいるならオッパと呼んでほしい
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●「トウガラシ実存主義」国籍にとらわれず、人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

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×   ×   ×   ×   ×   × 

人は何にでも倦きるものです。それは私のせいではありません。あなたを犠牲にしたとしても、誓いにそむいたとしても、それは私のせいではありません。私が他の女を選んだように、あなたも他の恋人をお選びください。ではさようなら。これが世間というものです。それは私のせいではありません。

初恋の相手を裏切ることこそ、すばらしい傑作なのです。

→ 傷によって人の心に残ろうというのは未熟な考えだと思います。愛によって人の心に残らなければ本当の意味で残ることはないのだと知ることが、人間の成長なのです。

虚栄心は幸福の敵だといった賢人がおりますけれど、ほんとですわね。

どっちつかずはお断りですよ。やんわりと拒絶しようとしてお追従などで私をお騙しにならないこと。いささかでもご異議があれば、こちらとしてはそれを事実上の宣戦布告とみなします。

委細承知、開戦を宣します。

摘み取ることを忘れているとせっかく育てた果実を失うおそれもある。どんなりっぱな勝利でもちょっとした不機嫌や嫉妬からくる疑いなどで簡単に挫折してしまうことがよくある。

きびしくしたってなんの得るところがありはしません。益がないばかりか、快楽さえも失うことになるわけですからね。

あなたのお姿を見たばかりに平和を失ってしまいました。私のあやまちの原因であるあなたに、なんでそのあやまちを罰する権利などがございましょう。

ヴァルモンはダンスニーと決闘し命を落とす。メルトイユのたくらみ。

→ 相手の名誉を気遣って死ぬところはまるでカサノヴァの回想録のようでした。しかし同じ女ハンターでも、カサノヴァと悪もん(ヴァルモン)はフェミニンぶりがぜんぜん違います。

ジャコモ・カサノバ『回想録』世界一モテる男に学ぶ男の生き方、人生の楽しみ方

長所、美点、これらすべてがただの一度の気のゆるみで失われてしまったのでございます。

→ ラクロはツールヴェルなどの転落を通じてこのことを描きたかったのではないでしょうか。

利害は一致しており、私の有罪はヴァルモンの有罪です。事件を闇に葬る努力に対して、ご反対どころかむしろご援助をこそ期待し得るものと考えるのでございます。

娘の幸福は修道院の中以外にはない。希望するような童貞志願はゆるさない。童貞志願者の制服を着る。

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『危険な関係』のラストにメルトイユ侯爵夫人の手紙が収録されていない理由

メルトイユが座ろうとすると、今までそこにいた婦人たちはみんな言い合したように席を立ちましたので、あの人は完全にひとりだけ残されてしまったのでございます。みんなの怒りをはっきりと示したこの動作は殿方たちの喝采を受け、ざわめきは喚声にまで高まった。

→ 『危険な関係』ではラストにメルトイユ夫人が完全に転落するのですが、彼女の手紙がないのが残念でした。プライドの高い姦計の婦人が、周囲に目の仇にされ、財産を失い破産し、病気で片目と美貌を失い「心が顔に出ている」と嘲笑されるメルトイユ夫人の心境告白こそ読みたかったのに。しかしそこは書かず読者の想像にまかせてこそ後世に残る文学たりえたのかもしれませんね。書いてしまうとどうしてもそれ一本に導線が張られてしまいますからね。作品の持つ可能性、ひろがりが失われてしまいます。

若い身空ながらすでに多くの嘆きを知りました浮世と離れる修道の誓いをその地にいって喜んで立てる。

ただ一度の危険な関係が、どんな不幸を引き起こすことか。

こうした反省は事件が起こってみなければ出てこない。理性は不幸を警告してくれることも、慰めてくれることもできない。

→ これが『危険な関係』のオチ、結論であり、ラクロがもっともいいたかったことです。本書を「悪を描いている」と論評する人が多いのですが「悪を描きたかった」わけではないと私は思います。結果として「悪を描くことになった」というのが本当のところではないでしょうか。

ほんとうにただ悪を描きたかったのなら、もっとどぎつい素材もあったでしょうし、なにも最後に勧善懲悪風にメルトイユを破滅させなくてもよかったはずです。悪が勝ち誇って高笑いを残したってよかったはずですから。

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サハラ砂漠で大ジャンプする著者
【この記事を書いている人】

アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。

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書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。 その過程で、ママチャリのすばらしさを再認識したり、どうすれば速く効率的に走れるようになるのかに知恵をしぼったり、ロードレースは団体競技だと思い知ったり、自転車の歴史と出会ったりしました。 ●自転車通勤における四重苦とは何か? ●ロードバイクは屋外で保管できるのか? ●ロードバイクに名前をつける。 ●通勤レースのすすめ。 ●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。 ●ロードバイク・クラブの入り方。嫌われない作法。 などロードバイクの初心者から上級者まで対応する本となっています。
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●◎このブログ著者の小説『ツバサ』◎●
小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
×   ×   ×   ×   ×   ×  (本文より)知りたかった文学の正体がわかった! かつてわたしは文学というものに過度な期待をしていました。世界一の小説、史上最高の文学には、人生観を変えるような力があるものと思いこんでいました。ふつうの人が知り得ないような深淵の知恵が描かれていると信じていました。文学の正体、それが私は知りたかったのです。読書という心の旅をしながら、私は書物のどこかに「隠されている人生の真理」があるのではないかと探してきました。たとえば聖書やお経の中に。玄奘が大乗のお経の中に人を救うための真実が隠されていると信じていたように。 しかし聖書にもお経にも世界的文学の中にも、そんなものはありませんでした。 世界的傑作とされるトルストイ『戦争と平和』を読み終わった後に、「ああ、これだったのか! 知りたかった文学の正体がわかった!」と私は感じたことがありました。最後にそのエピソードをお話ししましょう。 すべての物語を終えた後、最後に作品のテーマについて、トルストイ本人の自作解題がついていました。長大な物語は何だったのか。どうしてトルストイは『戦争と平和』を書いたのか、何が描きたかったのか、すべてがそこで明らかにされています。それは、ナポレオンの戦争という歴史的な事件に巻き込まれていく人々を描いているように見えて、実は人々がナポレオンの戦争を引き起こしたのだ、という逆説でした。 『戦争と平和』のメインテーマは、はっきりいってたいした知恵ではありません。通いなれた道から追い出されると万事休すと考えがちですが、実はその時はじめて新しい善いものがはじまるのです。命ある限り、幸福はあります——これが『戦争と平和』のメインテーマであり、戦争はナポレオンの意志が起こしたものではなく、時代のひとりひとりの決断の結果起こったのだ、というのが、戦争に関する考察でした。最高峰の文学といっても、たかがその程度なのです。それをえんえんと人間の物語を語り継いだ上で語っているだけなのでした。 その時ようやく文学の正体がわかりました。この世の深淵の知恵を見せてくれる魔術のような書なんて、そんなものはないのです。ストーリーをえんえんと物語った上で、さらりと述べるあたりまえの結論、それが文学というものの正体なのでした。
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◎このブログの著者の随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』
随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

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随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

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私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
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●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
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●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

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●◎このブログ著者の書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』◎●
書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
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