沢木耕太郎『深夜特急』大沢たかおと有吉弘行。ペナン風チャークイティオ。美味の隠し味は、魔法のゾウキン

マレーシア・ペナン島の夕日 旅行-車中泊-温泉-アウトドア
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アリクラ・ハルト|note
雑誌『山と渓谷』『ランナーズ』に執筆歴のあるモノカキ。市民ランナーの三冠王(グランドスラム達成)。現在は仮想地球一周(二周目)に挑戦中。アウトドア派の旅人。世界旅行者。
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どうもハルトです。みなさん今日も楽しい旅を続けていますか?

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沢木耕太郎『深夜特急』大沢たかおと有吉弘行

沢木耕太郎『深夜特急』で「ペナン・イズ・ベスト」という印象的な言葉で語られているのがマレーシアのペナン島です。

マレーシア・ペナン島の夕日

テレビドラマ・大沢たかお主演の『劇的紀行 深夜特急』でもペナンは登場します。ビーチボーイに騙された日本人女性が地元のカラオケ屋台で(皮肉にも)『北国の春』を歌っているシーンが印象的でした。原作小説中「ベスト」として登場するペナンを登場させないわけにはいかなかったのでしょう。

もっとも作者の沢木自身は「香港」をベストと公言していますが、おそらく旅の出発点が香港だったための「思い出補正」がふんだんに働いているんじゃないでしょうか。初恋の女に恋い焦がれることと、その女が客観的に最高の女かどうかは別の問題です。

『深夜特急』の中で沢木はタイからマレーシアに旅をするのですが、香港にくらべて「おもしろくない」と感じてしまいます。しかしたいがいの日本人バックパッカーは香港よりもタイの方が面白いと答えると思います。安宿に沈没する人、リピーターの数はタイの圧勝でしょう。

ついでに当時猿岩石だった有吉弘行が、突然、誘拐されるようにユーラシア大陸横断ヒッチハイク旅に放り出されたのは、番組の名物プロデューサー土屋氏が『深夜特急』にインスパイアされたからだと聞きました。

沢木のバス旅お金を払って曲がりなりにもお客さんとして旅をしたものですが、猿岩石はテレビのサポートがあるもののヒッチハイクをして旅したものであり、普通はヒッチハイクの方が厳しいし、人とのつながりも濃厚であるはずです。

一時、テレビ界から消えた有吉弘行を沢木は「大沢たかおはどんどん顔つきが変わっていったが、猿岩石は変わらなかった」旅が血肉になったかどうかが明暗を分けたかのように語っていました。しかしその後、ご承知のとおり有吉は大ブレークを果たし、ユーラシア大陸横断ヒッチハイク旅が無駄ではなかったことを証明して見せました。

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ペナン・イズ・ベスト

そのペナンです。生涯に一度は行ってみたい場所のひとつでした。

作中のペナン・イズ・ベストというのは、香港の男には女がベスト、地元の男にはその全てがベストという意味だったのですが、私にとってペナンは『ペナン イズ ベター』美しい夕日とチャークイティオの町です。

チャー(炒める)クイティオ(米粉麺)というのは「ビーフン焼きそば」とでもいうようなヌードル料理です。

ペナン島キンバリー通りの賑やかな屋台街でビールを飲みながら、地元名物と聞くペナン風チャークイティオを注文します。

夜だというのに、ペナンは暑いし、屋台街は眩しくて賑やかで、昼間はパラセイリングで大騒ぎをして腹は減っているし、酔っぱらっているしで、注文したチャークイティオのうまいことうまいこと。この世で一番うまいのではないかと思いました。

女性の中には「(美しい)ヨーロッパしか旅行したくない」という人がいますが、食べ物のことを知ったら「(美味しい)アジアしか旅行したくない」と宗旨替えする人も多いのではないかと思います。

美味いし、とにかく安いし、迷わず追加にもう一皿注文します。ぺろりと完食し、あまりのうまさにどうやったらこんな奇跡の料理が小さな屋台で作れるのかと、もう一皿注文するついでに料理しているさまを見学すると、びっくりしました。

味の秘訣はどうやら魔法の雑巾にあるようでした。使用済みのお皿は大きなバケツに路上のホースを突っ込んで貯めた水で洗っています。魔法のゾウキンはその洗い済みのお皿を拭くのに使っていましたが、それだけではなく、お客様のテーブルを拭いて、屋台の飛び散った汚れを拭いて、とにかくありとあらゆるところを拭きまくっています。1枚ですべての場所が拭けるとは、まさに魔法のゾーキンです。

帰国後、このチャークイティオをどうにかして再現したいといろいろ試しましたが、どうしてもあと一歩のところで本場の味を再現できませんでした。

あの魔法のゾウキンがなければ、おそらくあの味は再現できないのではないか?

私は本心からそう思っています。

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