偽ピークとは何か? 屋久島・宮之浦岳

旅行-放浪-車中泊-アウトドア
『ドラクエ的な人生』とは?

心の放浪者アリクラハルトの人生を走り抜けるためのオピニオン系ブログ。

書籍『市民ランナーという走り方(マラソン・サブスリー。グランドスラム養成講座)』。『通勤自転車からはじめるロードバイク生活』。『バックパッカー・スタイル』『海の向こうから吹いてくる風』。『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』『読書家が選ぶ死ぬまでに読むべき名作文学 私的世界十大小説』Amazonキンドル書籍にて発売中です。

偽ピークとは何か?

登山をしていると、ときどき「偽ピーク」というものに出会います。偽ピークとは、いっけん頂上に見えるけれど、じつはピークの手前にある肩とか尾根のことです。

そいつがサミットを隠しているために、登山者はそこをピークだと思って頑張るのですが、いざ登ってみるとさらに視界が開けて、その向こうにさらに高い山があるという……。くっそう!

偽ピークの宝庫。キングオブ偽ピーク。屋久島・宮之浦岳

このような偽ピークは何度も経験していますが、何といっても屋久島・宮之浦岳ほど偽ピークの多い山は体験したことがありません。やっと山頂かと思ったら、さらにはるか向こうに高い山が……という経験を何度も繰り返しました。

こっちはいいかげん足が疲れて、あそこまで行ったら大休止しようと思って、残りのエネルギーを振り絞って登るのですが、じつはそれは偽のピークなのです。ほんとうのピークまではもっと歩かなければならない。

ごっそりと精神を削られます。とくに偽ピークと本当のピークの距離が遠いほど心を折られます。そうしてやっとたどり着いたピークが実はまた偽ピークだという……泣くぞ!

いやあ、本当に登山ってメンタルなスポーツですよね。

私はマラソンもやるのですが、エネルギーを完全燃焼させる最速のペースで42.195km先のゴールにたどり着いたら「じつはゴールはあと5km先でした」なんて言われたら、ふざけんなと叫ぶでしょう。あるいはそこで走るのをやめるかもしれません。

しかし登山では、途中でリタイアするなんてできません。たとえ山頂を踏んだって、帰ってこなければならないのです。

気持ちがいいのはランニング。でも死ぬ前に思い出すのは登山の絶景

マラソンと登山と両方やる私は「どっちが好きなの?」とよく聞かれます。足をつかった身体移動であることは同じですが、違いすぎて比較できません。ですからそういうときは

「気持ちがいいのはランニング。でも死ぬ前に思い出すのは登山の絶景」

と答えるようにしています。

マラソンはゴール地点で、もう一歩も歩けないぐらいまで自分のすべてを出し切ります。

しかし登山でそんなことをやったら、帰ってこれません。そもそもそれが偽ピークだったら、山頂を踏むことさえできないということになります。

タイトルとURLをコピーしました