引っ越し前にベッドを捨てて、引っ越し後に新しいベッドを買う
引っ越しするにあたって、ひとつ大きな決断をしました。それはクイーンサイズの巨大ベッドを捨てることです。フランスベッド製のもので、当時50万円ぐらいした高級なものでした。しかしもう30年ほど寝てきました。まだスプリングは効いているし、寝心地に問題はありませんでした。問題があったのはそのサイズ感です。
実際、私の部屋はベッドとデスクで埋められて、歩く導線が確保できないほどです。具体的にはベッドの上に乗らなければ、クローゼットの服を取ることができません。とにかく部屋が狭いのです。巨大すぎるベッドが原因でした。
次の部屋は、布団にしようかとも思いました。布団ならば、場所を取りません。しかし嫁はクイーンサイズのベッドがシングルサイズになることを斜陽・没落と捉えたのか、せめてダブルサイズのベッドにしろとしきりに勧めてきました。しかし私はもう大きなベッドはこりごりでした。
妥協した結果、シングルベッドを買うことにしました。
同じ2LDKでも、同じ平米とは限らない
東京都内のベッド展示会を見に行って、その場で即決してしまいました。新居のサイズを測っていませんが、シングルベッドより小さなベッドはないのだからたぶん大丈夫でしょう。シングルベッドが無理なら、ベッドそのものが無理ということになってしまいます。机のサイズが巨大なので若干心配ですが……。
旧居も新居も2LDKで、全体の㎡数はあまり変わりません。58.78㎡→57.33㎡。1㎡の減ですが、誤差の範囲内だと思っていました。
しかしよく調べてみると私の部屋のサイズ(居住スペース)はだいぶ小さくなりました。24.1帖→23帖。一帖が1.62㎡なので、計算上は妥当なのでしょうが、なんで一帖も減ってしまうのか感覚的に納得できません。しかしこの居住スペースの減少も後でわかったことです。シングルベッドにしておいて本当に良かったです。もう狭いのはコリゴリでした。
ベッドで独り寝するのは、近代の習慣
私は青年時代からずっと独りでベッドで寝てきました。しかし独りで寝るのは近代の習慣なのだそうです。昔から人間はずっと誰かと一緒に寝てきました。そっちのほうが普通でした。独りで寝るのは変人でした。
洞窟人間(ケイブマン)を考えれば納得できます。大昔の人たちは洞窟の中で火を囲んで何人かで寝たはずでしょう。独りで寝るはずがありません。なぜなら誰かが起きて火を守らなければならなかったからです。
人類は長い間、そう簡単に火がつけられませんでした。基本的には自然着火の山火事などからもらった火を大事に守ってきたのです。独りでは火が守れません。火は適度な大きさでなければ危険です。適当な燃料を加えながら、常に誰か人がついて守ってきたのです。
犬を飼うと長生きするという理屈を聞いたことがあります。犬を飼うと環境が不潔になるはずですが、それでも長生きするのは、安心して睡眠が深くなるからだという説明でした。番犬から進化した犬がそばにいれば、安心して深く眠れるというのです。
この理屈は、人間相手でも成りたちます。独居老人の寿命が家族もちよりも短いという統計があるのは、ひとつには睡眠の深さが関係しているのかもしれません。
そういえば私も山小屋とか客船の二等船室などで雑魚寝するのが大好きです。それは大昔の遺伝子にそう刻まれているからかもしれません。コロナ以前は泊まれるスーパー銭湯がたくさんありました。青森ねぷた祭りや、秋田竿灯祭りなど、ふだんは宴会場としてつかっている大部屋で雑魚寝させてくれました。あれも大好きでした。
そう考えると、海外旅行でのドミトリーでの雑魚寝も、この古代の習慣の延長で、さほどおかしなことではないのでしょう。ぜったいに独りで寝たいと思う方が、歴史の浅い感じ方なのだから。
就寝時間が人それぞれ違うのは、誰かが起きている必要があったから
仕事を辞めてから、私は朝の11時ぐらいまで寝ている生活を送ってきました。とてつもなく怠惰に聞こえるかもしれませんが、寝るのが2時とか3時なので、睡眠時間で考えれば普通でしょう。
老人が早起きで、若者が夜更かしなのは、周囲の危険を警戒するために家族の誰かが起きている必要があったからだという説を聞きました。みんなが同じ時間に寝てしまったら、夜中に猛獣の襲撃があったら家族は全滅です。そしてもちろん火を守る必要もありました。
就寝時間が人それぞれ違うのは、家族の誰かが起きている必要があったからです。その遺伝子がどこかに残っているからです。
軍隊のようにみんな一斉に寝て一斉に起きるのは、むしろそっちの方が異常なのです。産業革命が、工場の勤務時間が、定時出勤を、定時起床を、定時睡眠を、決定づけたのでしょう。私たちはその歴史の流れの中にいるのです。
私の3時寝、11時起きも、人類の理にかなっているのです。大昔ならみんなが寝ているときに私だけ起きているわけですから、家族の役に立っていたはずでしょう。
けっして怠惰なわけじゃないぞ。
独りでないと眠れないというのは、生活習慣、思い込み
ヨーロッパに嫁と二人で65日の長期旅行に行ってきました。二か月ずっと嫁と一緒に寝ていました。
独りでなければ眠れないかと思っていましたが、慣れれば眠れました。独りで寝なければならないというのは、生活習慣、思い込みに過ぎなかったようです。
しかし私はときどきイビキをかくらしく、嫁からは同衾を拒否られています(泣)。一緒だと眠りが浅くなるといって。嫁も近代っ子。ずっと独りで寝てきた人ですから気持ちはわかります。
しかしうちの母親などは、親父がイビキをかくのに、もう何十年もずっと一緒の部屋で寝ています。しかしうちの嫁はひとり親に育てられているので、夫のうるさいイビキの中、嫁が一緒に寝ているという姿を見ていません。だから夫のいびきが異常事態に感じるのでしょう。独りで寝るのがあたりまえと思っているに違いありません。
嫁よ。人類はずっと誰かと一緒に寝てきたのだよ。独り寝のほうがむしろ変人の領域、異常事態なのかもしれないのだ。
たまには一緒に寝てくれや。

