「あたし、普通の人が好き」その言葉はとてつもなく深い意味があった
かつて私が某ブラック企業につとめていたときの話しです。
職場におっとりとした上品な先輩女性がいました。いそがしい仕事の合間にいろいろな話しをしたのですが、ある日、
「あなたの理想の女性のタイプは?」
という話しになりました。しばらく考えて私は、
「芸術家肌の人が好きです」
とこたえました。
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このブログの著者が執筆した「なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?」を追求した純文学小説です。
「きみが望むならあげるよ。海の底の珊瑚の白い花束を。ぼくのからだの一部だけど、きみが欲しいならあげる。」
「金色の波をすべるあなたは、まるで海に浮かぶ星のよう。夕日を背に浴び、きれいな軌跡をえがいて還ってくるの。夢みるように何度も何度も、波を泳いでわたしのもとへ。」
※本作は小説『ツバサ』の前編部分に相当するものです。
アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。
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「先輩の理想の男性のタイプは?」
そうきく私に彼女は、
「あたし、普通の人が好き」
そう言ったのです。そのときな何とつまらないことをいう人だろうと思ったのですが、その後、人生経験を積むにつれ、彼女のいった言葉はとてつもなく深い意味があったのだなあ、と思い知るようになりました。
女性が幸福になるには、extraordinaryな人を選ぶべきではない
この世の中には、変わった人がけっこういますが、つきぬけた変人はたいてい家庭生活・恋愛問題に失敗しています。
天才すぎて家庭をかえりみている余裕のない人や、性格が突飛すぎて奇人変人あつかいされて恋愛どころか友だち一人できない人だって知っています。
女性が幸福になるには、このようなextraordinaryな人を選ぶべきではありません。
おつきあいするならば、なんら人から突き抜けた特色なんかないほうがいい。とびぬけた何者かになろうという野心なんかないタイプの方が、パートナーである女性を幸せにしてくれる可能性が高いでしょう。
そういう彼女の知恵深さが、人生経験を積めば積むほどわかったのです。
普通の人が好きといった賢い女性が、気が狂って普通でなくなってしまった
その後、私たちは別々になったのですが、ある日、その先輩女性の噂をききました。
「彼女、ちょっと普通じゃない……」
そういうふうに聞きました。ブラック企業の風土せいかどうかわかりませんが、心を病んですこしおかしくなってしまったのだそうです。
私は唖然とし、かなしくなりました。
「あたし、普通の人が好き」そんな深い知恵をもった女性が、自分は心を病んで、ちょっと普通じゃないなんていわれるようになってしまうとは……。
最後までそばにいてくれるのは、みずから選んだパートナーだけ
この話しには後日談があります。
心を病んで「ちょっと普通じゃない」といわれるようになってしまった先輩女性ですが、今はそのブラック企業もやめたそうです。
ある日、私は偶然、街角で彼女を見かけます。
おそらく旦那さまでしょう。男性と手をつなぎ、楽しそうに散歩していました。すっかり健康は回復したみたいです。
「あたし、普通の人が好き」といってみずから選んだ、特に特色のない、フツーの旦那さんと一緒に。
子どものように、笑っていました。
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このブログの著者が執筆した純文学小説です。
「かけがえがないなんてことが、どうして言えるだろう。むしろ、こういうべきだった。その人がどんな生き方をしたかで、まわりの人間の人生が変わる、だから人は替えがきかない、と」
「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
本作は小説『ツバサ』の後半部分にあたるものです。アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。
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