文章のコツは怨念。書きながら魂を込めること
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このブログの著者が執筆した純文学小説です。
「かけがえがないなんてことが、どうして言えるだろう。むしろ、こういうべきだった。その人がどんな生き方をしたかで、まわりの人間の人生が変わる、だから人は替えがきかない、と」
「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
本作は小説『ツバサ』の後半部分にあたるものです。アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。
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文章力と、喋る力、語る力は別のもの。ユーモア・ギャグのセンスは特殊能力
とくに「人を笑顔にする力」「ユーモア・ギャグのセンス」についてはからきしで、嫁にすら「つまらないからね」と冷たい目を向けられる始末……。
つまらないからね!
「人を笑顔にする力」これを磨けるものならぜひ磨きたいものですが、こればっかりはいくら魂を込めても駄目みたいです。むしろ肩の力が抜けているぐらいがちょうどいいのかもしれません。
どこかの作家が「(読者を)泣かすのは簡単。笑わすのは難しい」と言っていますがその通りだと思います。ギャグって難しいんだよな……。
もっともホメロスやウェルギリウスやダンテやミルトンだって人を笑わせるセンスがあったかどうかわかりません。むしろそんなものは一切なかったかもしれません。私は彼らの著作を読んで感動こそすれ、笑った箇所は一カ所もありませんでした。
爆笑! 外国人にウケたギャグ
アンナプルナやマチャプチャレが見える見晴らしのいい屋上の料理屋さんで昼食を食べようと思いました。ところが席がいっぱいでちょっとだけ待つことになりました。そこで「ワッチュワネーム?」と店員に名前を聞かれました。席が空いたら呼んでくれるつもりなのでしょう。「ハルト・アリクラ」と正直に答えてもよかったのですが、ふつう外国人の名前というのは馴染みがないので覚えにくいことを私は経験から知っています。私は西欧の文学をよく読むのですが、とにかく馴染みのない名前は覚えにくいのです。
外国人の名前は男か女かわからない。男女どちらでも使える中性的な名前なのか?
なじみがないために、私がネパール人の名前を一回で覚えられないように、彼らも私の日本名を一回でおぼえられるとは思いません。
ボリース・パステルナーク『ドクトル・ジバゴ』翻訳ロシア文学は人名を統一したら読みやすくなる提案
だから彼らを気遣うつもりでとっさにここではネパール人の名前を言おうと思いました。こんな場合、国境のイミグレーションじゃないんだから、別に本名じゃなくたって何だっていいんです。呼ばれて返事ができればそれでいいんですから。
そこで咄嗟に「テンジン・ノルゲイ」と答えました。私が知っているネパール人は、その人しかいなかったからです。
ネパール人にウケたギャグ。テンジン・ノルゲイ
はじめネパール人の店員はぎょっとしていましたが、やがて爆笑しました。
「オウ。テンジン・ノルゲイ」
私ことテンジン・ノルゲイを快く受け入れてテーブルに案内してくれました。
みなさん知っていますか? テンジン・ノルゲイを。
トップ・オブ・ザ・ワールド。マウント・エベレストに人類初登頂したネパールの英雄です(エドモンド・ヒラリーと同時登頂)。ネパール人なら誰でも知っている名前です。
ダルバート・タルカリというネパール定食を注文してもぐもぐと食べていたのですが、食事中も店員たちが私の方を見てニコニコしています。ユーモアのある面白い男と思われているのは明らかでした。「彼の名前はテンジン・ノルゲイだってさ」と店員どうし噂しあっているらしく、たちまち有名になってしまいました。目が合うと「テンジンノルゲイ」と手を振ってくれました。
いや、ウケた。ウケました。人を笑わせるって、こんなにも効果が大きいんですね。
私の場合は偶然ウケただけでしたが、いつもこんなふうにできたら、旅も数倍楽しくなるだろうに、と思いました。
いつでも、どこの国でもこのギャグ・センスが発揮できるといいのだが……。
ところがそうはいかないのが現実。同じ日本人の嫁を笑わせることもできない……。
つまんないからね
これだけ書けるのに、どうして笑わせられないんだろう??
人を笑わせることができる人がうらやましいです。そのセンスがあれば、もっといい旅に、いい人生になるんだろうなあ、と思わずにはいられません。