予約なし旅の宿さがしの注意点
スペインのバルセロナを放浪していたときのことです。手元の情報は『地球の歩き方 スペイン』しかありませんでした。その中に載っていた「日本人宿」に行ってみようと思いました。私は日本人宿がけっこう好きです。
郊外にあったので、すこし歩きました。ところが……やっと宿にたどり着いたら、人でいっぱいと言われ、宿泊を断られてしまいました。
郊外の一権宿よりも、安宿街をめざせ
郊外の一軒宿は、ダイレクトに目指すべきではありません。わざわざ一軒宿に出かけて、そこが満室だったりすると、空いていなかった時のダメージが大きすぎます。そしてその可能性はあんがい高いのです。一軒宿ですからね。
むしろ放浪の予約なし旅の場合、安宿街をさがしましょう。そこならば、たとえある宿屋がいっぱいでも、隣のホテルは空いているかもしれません。
そもそも他に選択肢がないと、値引き交渉もできません。一軒宿での交渉は向こうが有利、安宿街での交渉はこちらが有利です。
予約なし旅の宿さがしが、たまたまお祭りと同じ日だったらどうする?
ところがこの日は、安宿街に行っても、満室のホテルばかりでした。何軒か回って満室ばかりだったので事情を聞くと、なんとその日はお祭りがあるとのこと。メルセ祭りというバルセロナでは有名なお祭りの当日だったのでした。
まさか。まさかです。偶然です。狙って行ったわけではありません。お祭りのことは知りませんでした。宿泊先さえ無事に見つかれば、お祭りも見られてラッキーということになりますが、お祭りのせいで宿が見つからなければバカヤローってことになります。
かなりの数の安宿をまわって、ようやく一室を確保することができました。ガウディーの建築物も楽しみ、メルセ祭りも楽しみます。ラッキーでした。
夜になって、バルをめぐりながら、ピンチョスを楽しみます。夜になると安宿街はまるで暴徒の襲撃を恐れるかのようにシャッターを下ろしていました。そのシャッターにはドクロなど危険なスプレーアートのラクガキが塗りたくられています。

こういうところに泊まると危ないんだよな
夫婦でそんなことを話しながら、ふらふらと歩きました。ふたりとも酔っぱらっています。当時、スペインでは首絞め強盗というのが流行っていて、後ろから首を絞めて財布やカバンを盗むやからがいると噂されていました。いそいでその場所を立ち去ったのですが、けっきょく戻ってくることになりました。
なんと我らが宿泊するホテルこそが、まさにそのシャッターラクガキホテルだったからです。信じられませんでした。昼間はシャッターがあがっていて、普通に人がいるので何ら不信感を抱かなかったのですが、夜になるとヤバいロケーションのホテルでした。宿泊客はとくべつな番号を教えてもらって脇から出入りできるようになっていますが、首絞め強盗に遭わないように後ろを振り返りつつ、いそいで部屋に戻りました。
夜になると、あんのじょう奇声をあげて騒ぐ若者たちがいました。こういうヤカラに絡まれたり、巻き込まれたりしたらマジで危険です。

こういうところに泊まると危ないとかって言ってなかった?

あははははは。
まあいいじゃん。野宿しないで済んだことだし