どうもハルトです。みなさん今日も楽しい旅を続けていますか?
モルゲッソヨ
先日、職場の後輩と彫刻について話していたら、韓国に「モルゲッソヨ」という彫刻があるらしい。
えっ! モルゲッソヨ?
ちなみに私は韓国ソウルの帰国子女である。ペラペラではないが、そこそこ韓国語が喋れる。
モルゲッソヨというのは「わかりません」という意味のはずだ。
幼い頃、現地の韓国人に話しかけられては「モルゲッソヨ」と答えていた。相手が何を言っているかなんてほとんどわからないから話しかけれたら「モルゲッソヨ」。僕にとっては子供の頃、使いまくった馴染みのワードなのだ。英語で言えば「アイドンノウ」である。帰国子女の必需ワードだったのだ。
彫刻名が「モルゲッソヨ」って、何のことだかモルゲッソヨ。
ネットで調べてみると、平昌冬季オリンピックのメインプレスセンター前に設置された銀色の銅像のことを指しているらしい。
この銅像がまた異様な姿で、バケツを頭に被せられた全裸マンが直立不動で反省しているような姿である。しかもミケランジェロのダビデとは違い、剥けた大人の男性器が下を向いてぶら下がっているのだ。それが三体も並んでいる。
なんだこれは。
オリンピックで現地に飛んだ報道陣も同じだったらしく、
報道陣「なんすか、コレ」
現地の人「モルゲッソヨ(知らない)」
というやりとりから、彫刻がモルゲッソヨという名前で呼ばれることになったらしいのだ
(爆笑)。
カンガルー
白人がオーストラリア大陸にはじめて足を踏み入れた時、ピョンピョン跳ねている現地の大型動物を指さして、
白人「あの動物の名前は何だ?」
アボリジニ「カンガルー(知らない)」
というやりとりから、カンガルーという名前がついたと聞いたことがある。
似たような話だ。どちらも聞かれた答えを「知らない」と答えたのに、その「知らない」がそのまんま名前になっちゃったんだね。
マカオ
今やラスベガス以上のカジノシティ、マカオの名前の由来は「媽閣廟」だと言われている。
ポルトガル人「この地の名前は?」
現地の人「あれは媽閣マーコゥ」
というやりとりから、Macauマカオと呼ばれるようになったらしい。
「ここはどこだ?」と聞かれて「オラの村だ」と答えたら国名が「オラの村」になっちゃったみたいなもんだな。
媽祖というのは、横浜の中華街にも廟があります。道教の旅の神様だ。
ナム、ナム。
この類の命名の由来は他にもあったように思う。面白いね。
モルゲッソヨって……(笑)。
帰国子女ネタ(しかも古い)で、すいません。
久しぶりに爆笑してしまった。
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旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。
【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●日本海も東海もダメ。あたりさわりのない海の名前を提案すればいいじゃないか
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●もしも韓国に妹がいるならオッパと呼んでほしい
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●「トウガラシ実存主義」国籍にとらわれず、人間の歌を歌え
韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。
「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。
帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。
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