ドラクエ的な人生

韓国激辛唐辛子料理で痔になる

どうもハルトです。みなさん今日も楽しい旅を続けていますか?

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旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

Bitly

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激辛韓国料理チムタク

韓国の激辛料理にチムタクというものがある。僕にとっては忘れられない料理の名前である。ひどいめにあったからだ。になったのである。

韓国料理は赤いイメージを持っている人が多いと思う。味付けにはコチュジャンが欠かせない。コチュジャンの主成分は唐辛子の粉だ。キムチが赤いのは唐辛子のせいであり、トウガラシ料理が多いのが韓国料理である。

さてチムタクである。うまい。しかし辛い。うますぎるが、辛すぎるのである。料理の色はご想像のとおり。真っ赤っかである。チムタクは超激辛だった。トウガラシの激辛のソースを作り、鶏肉を漬け込んで作る料理なのである。

韓国旅行も数日続くと唐辛子主体の料理にもだんだん慣れてくる。辛さに耐性がついてくる。舌が辛さにマヒしてくるといってもいいかもしれない。これまでと同じ辛さでは辛さを感じられなくなってくる。訪韓初日にくらべて自分が唐辛子料理に格段に強くなったことがうれしくなり、調子に乗って辛さ具合をプラスしてしまうのも「日本人あるある」な展開である。

チムタクは辛さの調節ができる。僕は激辛チムタクを注文してみた。

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醤油は脇役。コチュジャンは主役

韓国人の中には、外国に旅行に行くとどこにでもコチュジャンを持参して何にでもコチュジャンをつけて食べる人がいると聞いたことがある。なんとなくその気持ちが僕にはわかる。あの味になれたら、他の味がものたりなく感じてしまうことだろう。日本人が醤油をもっていくようなものだと思ってはいけない。全然違う。醤油は料理の脇役にすぎないが、コチュジャンは圧倒的な主役なのである。コチュジャンほどの主役をはれるのはカレーだけだろう。

カレーをかけたらライスだろうがうどんだろうがパンだろうが全部カレー味になってしまう。コチュジャンも同じだ。全部辛みそ味になってしまう。

激辛チムタク。辛い。辛いが美味い。美味い。美味いが、とにかく辛いのだ。とにかく辛すぎる。舌がおかしくなりそうだ。そして頭も。クチビルが腫れてきた。ピリピリして痛い。しかしうまいのだ。辛さに咳き込みながら食べる。あまりの辛さに涙が出てくる。しかし美味いのだ。ヒーヒー言いながら食べるのが楽しい。

こんな辛い料理ばかり食べていては、和食の繊細で微妙な味なんてわからなくなってしまうだろう。素材の新鮮さとか、この際どうでもいい。この辛さがすべてを消してしまう。韓国で暮らし韓国料理に慣れたら、すべての料理は辛い(=うまい)か、辛くない(=ものたりない)かになってしまうに違いない。

食べている最中からクチビルが腫れているのが自分でわかったが、なにせ美味いのだ。お皿いっぱいの激辛チムタクを完食した。辛さを感じるのは舌だけなので、食べ終わった後は「辛かったけど、おいしかった」という感想だけが残った。その後、ノンバーバル劇の「NANTA」を楽しみ、チムタクのことは忘れていたのだが、翌日、ひどいめにあった。

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激辛唐辛子料理で痔になる

排便時、肛門がヒリヒリするのである。はっきり言えば肛門が「辛い!」と叫んでいる。お尻の穴が悲鳴をあげているのだ。

そして激辛チムタクでクチビルが腫れあがったように、肛門がぷっくりと腫れ上がった。これは「いぼ痔」じゃないか?

唐辛子。おそるべしである。こいつが身体にいいはずがない。辛さの刺激で焼けるように唇と肛門が腫れ上がったのだ。入口と出口が腫れ上がっているのに、途中が無事なはずがない。おそらく胃も腸も消化器系を上から下まで全部辛さで腫らしながら大便として出てきたのだろう。

痔。それは生き方を変えてしまうような大問題である。僕は走るために生まれた。シリアスランナーである。勝負レースのときには脇の下や股間だけではなく肛門にもワセリンを塗っている。長時間本気で走るというのは非常に肛門に負担をかけることなのだ。

ストライド走法で走るということは、お尻の肉を動かすということだ。ヤジロベエ走法で走るということはお尻の肉の割れ目まで脚の延長のようにして動かすということなのである。

その時、肛門に負担がかかる。肛門粘膜が摩擦に負けて腫れてしまうのである。

このいぼ痔では……まともに走れないではないか。異物感ハンパねえ。ランナーが、こんな痔持ちであっていいはずがない。どうしてくれるんだ、激辛チムタク!

絶望したが、腫れはやがてひいた。クチビルの腫れがひくように、肛門の腫れもひいたのである。韓国から帰国して、真っ赤っかの韓国料理から遠ざかったからだ。

ほっとした。これでまた走ることができる。それにしてもおそるべし韓国激辛唐辛子料理チムタク。僕は唐辛子について考えずにはいられなかった。

※このコラムのつづき「バックパッカーの生き方。唐辛子実存主義」についてはこちらのリンクからどうぞ。

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