相続格闘記録。代表相続人の仕事は有料クラス
私たち夫婦は四人いる相続人の代表相続人という位置づけで相続手続きに取り組んでいます。下記のようにその都度都度の様子をブログにアップしています。参考にしてください。
先日、相続人の一人から「相続手続きどうなってるの? どこまで進んでるの? ひとりあたり幾ら? いつ振り込まれるの?」とラインで問い合わせがありました。
「はああ~、あんたらは気楽でいいねえ。銀行口座に振り込まれるのを待つだけだもんね」
四人いる相続人のうち、実質苦労しているのは代表相続人である私たちだけです。他の三人は≪戸籍や住民票を取得したり≫≪マイナンバーカードのコピーを送ったり≫いくつか手続きのお手伝いをしてもらったものの、基本的には遺産の分割待ち、振込待ちです。
それに比して代表相続人はたいへんです。市役所に死亡届を提出し、年金を解約し残りを受け取り、弔慰金の受け取り、生命保険を解約し、車の売却し、不動産の所有権移転登記をし……ここに書ききれないほど山のように仕事があります。「これだけやっても遺産はおんなじ」と傘を回しながら、往年の海老一染之助・染太郎みたいにヤケ気味に叫びたくなります。
実際に遺産相続の仕事は税理士などに業務委託する人も少なからずいるようです。銀行でも遺産相続業務の代行サービスをやっています。土地建物の所有権移転登記だけ司法書士に頼む人もいるでしょう。
実際に相続を体験中の者の実感ですが、この仕事はマジで有料級だと思います。現金だけならまだしもですが、不動産や、有価証券などを所有していると、相続の困難度は跳ね上がります。
2024年8月5日。相続の最中に歴史上最悪の日本株価の大暴落
私たち遺族も、有価証券を売却して、売れた価格を等分することで同意し、遺産分割協議書を取り交わしました。
その有価証券を売却するときに、銀行の有価証券はすぐに売却して直に振り込んでくれたのに、証券会社の有価証券は証券口座を開設して名義変更した後でないと売却できないという謎のシステムに直面しました。
「手数料!」ネット証券と実店舗型証券会社の購入、運用、売却、手数料の差
そして……証券口座の開設と名義変更の手続きのせいで時間がかかっていたのですが、そのあいだに日本株の大暴落が起こってしまったのです。2024年8月5日6日のことです。その暴落度、下げ幅は歴史に名高いブラックマンデー以上でした。相続の最中に史上最大の大暴落が起こるとは……。これでは投資信託を売るに売れません。どないしましょ?
代表相続人だけ、現金ではなく株、投資信託で相続する方法
この史上最大の株価大暴落を受けて、相続人がとるべき手段はいくつかあります。
ひとつはどうせ他人のお金だから儲けなんか気にせずに相続のタイミングで無条件換金して分配するという方法です。目の前で株価は大暴落しましたがゼロではありません。
もうひとつは相続人の誰かが現金ではなく株・投資信託で相続する方法です。他の相続人は現金で相続し、誰かは現金相当額の有価証券を相続します。誰かといっても(証券会社系の有価証券は)代表相続人が証券口座を開設して引き継いでいるので、実質、代表相続人がその任を引き受けることになります。
しかしこの有価証券保有も一筋縄ではいきません。本来であれば有価証券にかかる運用手数料、売却手数料はすべて遺族が必要経費として等分に分担すべきもののはずですが、売らない限りその金額は確定できません。また当然ながら失われた30年のように今後ずっと株価が上がらないという可能性だってあります。つまり代表相続人ひとりがリスクを一身に背負うということになってしまうのです。不幸にして被相続人の持っている投資信託は日本株に連動したものでした。私は日本株には期待できないと思っています。
ただでさえ有料級の仕事をこなしているのに、その上、株価下落のリスクまで背負わなければならないなんて……代表相続人とはなんと献身的で、むくわれることのない仕事でしょうか?
いろいろ思い悩む中、他の遺族が「相続手続き、どこまで進んだ? ひとりあたり幾らになった?」と無邪気に聞いてくるのを見て、こいつらは気楽でいいな、と思ったのでした。
ノブレス・オブリージュだ! がんばるぞ!!
参考≪相続の実体験の記録≫
※有価証券の相続
「手数料!」ネット証券と実店舗型証券会社の購入、運用、売却、手数料の差
※不動産譲渡税の節約
不動産譲渡税を払わずに済ませる方法。脱税スレスレの裏ワザを伝授
※遺産分割協議書
遺品整理で車を売る。100万円未満なら遺産分割協議書はいりません
※遺品整理補償
総合家財保険。まさかの遺品整理補償あり。請求する際、写真が必要なので撮っておくようにしてください
※独居老人の死亡。相続税の基準日はどうするか?
【相続】独居老人の死亡。死亡日が不明(推定幅がある)場合、いつを相続税の基準日にするのか
※法定相続情報一覧図
【相続・実体験】法務局「法定相続情報一覧図」作成サンプル(叔父叔母の遺産を甥、姪が代襲相続する場合)
※代表相続人の条件
代表相続人の条件。遺産相続が発生したら、行政書士とファイナンシャルプランナー、どちらに手続きをまかせるべきか?
※相続後の郵送対応
【相続】郵便局は死亡が判明した人の郵便物を届けずに、送り主に送り返す。郵送サービス規定の再考を求める
※戒名の値段。ぼったくりバー以上
相続で知る「坊主丸儲け」。戒名のシステムは、中世の免罪符(贖宥状)にそっくり
※準確定申告をしないための理論武装