カジノは「不正が行われている」「親はある程度賽の目を出すことができる」前提か?
沢木耕太郎の『深夜特急』の「第三章 賽の踊り」マカオ編に「俺は目を読むのがうまいんだ。儲けさせてやるよ」というカジノのアシスタントディーラーが登場します。
そのアシスタントディーラーは次々とサイコロの目を当てて場の客を驚かせます。それでカジノ客はディーラーの予言どおりに賭けはじめると次から次へと目があたってじゃんじゃん儲かります。それで客はどんどん調子に乗って、手持ちのすべてをそのディーラーの予言通りに賭けるのですが、最後のところでゾロ目が出てしまいます。ゾロ目は親の総取りです。客はすべてのおカネを失ってしまうというエピソードでした。
ここで沢木耕太郎は、賭博マンガ『カイジ』のように、そもそも「不正が行われている」「親はある程度賽の目を出すことができる」前提でカジノを描いています。
確率論でいえば、別に不正をしなくてもカジノは儲かることになっているのですが、でもカイジも深夜特急も、不正がある前提で描かれています。カジノに不正はあるが、その不正の裏をかけばいい、と別のゲームに賭けようとするわけですね。
パチスロの「目押し」実体験。ギャンブルに不正はあるかも?
私がはじめてパチンコ屋でスロットマシンをやった時のことです。スロットのやり方がわからなかったので、店員にいちいちやり方を聞いていたら「はじめてですか? 押しましょうか?」といわれました。なんのことだかわからなかったのですが適当に「はい」と言ったら、その店員、スロットを自分で押して、私の目の前で目を三つ揃えてしまったのです。私はびっくりしました。これを目押しといいます。やる人がやれば、スロットって目で狙って合わせられるんですよ。こんな人がいたらパチンコ屋は大損するに決まっています。ありえないはずなんですが、目の前で見た実話です。現実です。だから回転している賽の目を読むことだって、できる人にはできるのかも、と思ったりします。
マカオのリスボアホテル・カジノの「ささやき女」実体験
なぜなら、わたしもこの「賽の目を当てる人」に遭遇したことがあるからです。場所はマカオのリスボアホテルのカジノでした。
そこのカジノでルーレットを眺めていたら、女性に声をかけられました。「私が目を読むから賭けなさいよ」そう言われました。すでに『深夜特急』を読んでいたので、ああこれが例の人か、と思いました。いよいよ私のところにも賽の目を読める人がやってきたのです。
実際に一度やって見せろというと、ちゃんとルーレットの赤黒を当てました。もはや間違いありません。私はどうしようかと思いました。この場合の最適解は、騙されたフリをして騙すというものです。何も知らないふりをして、何回か賭けて、ある程度儲けさせてもらいます。相手は「もっと賭けろ。全額賭けろ」と言ってきますので、その直前で勝ち逃げするというのが勝者のセオリーなのでした。
しかし私にはそれをやるだけのコミュ力がありませんでした。切り上げるときに、なんか面倒くさいと感じてしまったのです。リスボアのささやき女と濃密な関係になりたくありませんでした。それで一度もその話しに乗らなかったのですが、今は後悔しています。あのとき乗っていたら、話しのネタとしておもしろかったのに、と思っています。
不正がある前提で、その不正の裏をかく、という別のギャンブルをやればいい
まあ、このように、カジノというのは、もしかしたら不正が前提としてあるのかもしれません。だって賽の目が読める人が出没しているんですから。
しかし、だからといってカジノを諦めることはありません。伊藤カイジや、沢木耕太郎がやったように、不正がある前提で、その不正の裏をかく、という別のギャンブルをやればいいのです。
たとえば「アゲインストに賭ける」というやり方があります。これは場の目の多数派ではなく、少数派に賭けるという戦略です。カジノが儲かるためには、多数派からカネを巻き上げなければなりません。その弱みにつけこんで、場の少数派、アゲインストのほうに乗るのです。たとえばルーレットなら、場の多数派が赤だった場合、少数派の黒にかけるのです。この戦略は、ディーラーがある程度思いのままに賽の目をあやつれる前提がなければ成立しません。アゲインストに賭ければ勝てると思えるのは、カジノ側が損するのだからディーラーが目を多数派のほうに出すはずがない、と冷静に判断できるからです。もしも賽の目がコントロールできないとしたら、少数派に賭けるのも多数派に賭けるのも確率は変わりません。
IR統合型リゾート。不正がなくてもカジノ側は儲かるが、日本のカジノは不正するだろうか?
ただいま、大阪関西万博が夢洲で開催されています。その隣にIR統合型リゾートが建築されるんだそうです。ラスベガスにもあるMGMがカジノホテルを建設するそうです。いいですね、MGM大好きです。
ちゃんとしている日本のことだから、日本のカジノは不正せずに、営業するんでしょうかね? 確率論でいえば、別に不正をしなくてもカジノ(胴元)は儲かるんですから。
それともやっぱり、カジノはカジノですから、マカオのリスボアのように不正がある前提の営業になるんでしょうか? 日本でそれをやるかなあ? もっともカジノホテルの営業は日本人じゃなくてアメリカ人がやるのかもしれませんが。
どっちでもいいけど、私はカジノの導入に大賛成です。MGMができたら、ぜひ行ってみたいですね。
ラスベガスのカジノホテルは、とても宿泊費が安いのが特徴です。おカネはカジノで落としてもらうシステムになっているので、宿泊費は格安なのです。夢洲のカジノホテルも、同じような営業方針であってほしいなと思っています。