国内と外国で二重に家賃を払うというのは金銭的な負担が大きすぎる。
移住先を探していますが、何も日本国内に限ったことではありません。死ぬまで海外に移住するつもりはありませんが、年単位で外国で暮らすのも面白いかな、と思っています。
そういうときに考えてしまうのが日本のアパートの家賃です。わたしは賃貸派なので生きているだけで賃貸料(宿泊代)が発生しています。
だからこそ、どこで暮らそうと「しょせん宿泊代を払うことは同じこと」と考えて、外国で暮らすことも視野に入ってくるわけです。
しかし国内と外国で二重に家賃を払うというのは金銭的な負担が大きすぎます。
海外でしばらく暮らすといっても貧乏なのでハワイで暮らすなどは考えたこともありません。バリ島とかタイとかマレーシアあたりを考えているのですが、国内と海外とダブルで家賃を払うお金があるのなら、国内のアパートを解約すればハワイにだって住めるのではないでしょうか?
そういうことは調べればいくらでもわかることですが、私の場合はいいサンプルが近くにありました。それは実家です。うちの実家の父はソウルに4年間、海外赴任していました。
ソウル日本人学校の偏差値レベルと韓国語。卒業生の進路。公立? 私立?
そのときの経験を聞くことが、わたしにとっては最も参考になります。
父や母にどのように海外引越を処理したのかたずねたのですが、結論を先にいうと「会社のマニュアルがあって、粛々とマニュアル通りに処理しただけ」だったそうです。
父は大手商社に勤めていたのですが、海外赴任するなんて当たり前という会社だったので、詳細な海外赴任者用のマニュアルがあって、それを読めば何も困らなかったということでした。
うちの実家は持ち家の一軒家でした。海外赴任中、その家は他人に貸して賃料を得ていました。「不動産は投資」のいい見本ですね。不在のあいだは金を稼いでくれたのです。ひとに貸して家賃が入ってくる反面、借り手には借り手の家具がありますからウチの家具を置いておくわけにはいきませんでした。
海外赴任中、ウチの家具はレンタル倉庫を借りてそこに収納していたそうです。というのも、赴任先のソウルには前任者の家具が揃っていたからでした。海外赴任した時には前任者の家具をひきとり、帰国するときには後任者に家具を譲ったのだそうです。会社としてもそれがいちばんお金がかからなくていい方法なのでしょう。
ワーキングビザをとったり引っ越しの手配をしたり、そういうのは会社の総務の仕事なので、海外赴任者の家族の負担や迷いはあまりなかったそうです。
「自分だったらできるかな?」とわたしは考えてしまうので、親のやってきたことを大仕事のように思ってしまうのですが、実際には諸手配は会社の総務が慣れた仕事でやってくれたことなのでした。
もしわたしが長期で海外に滞在する場合、一二カ月だったら、アパートは解約しないと思います。宿泊代を国内外で二重に払うことになりますが、しかたがありません。アパートを解約して倉庫に収納するとしたら、再びアパートを借りるときに敷金・礼金がかかりますし、アパートと倉庫のあいだの引っ越し代が二回分かかってしまいます。
1年ぐらい帰ってこないつもりなら、アパートを解約してレンタル倉庫を利用した方が安いかもしれません。
しかし……思いついた時にふらっと出かけるタイプの旅を愛するわたしにしてみれば、面倒くさい話しです。
この面倒くささを解消するためにはふたつの方法があります。
ものすごいミニマリストになるか。家具付き賃貸住宅に住むか。
ひとつはものすごいミニマリストになるということです。国内でも旅先のように過ごすことです。そうすればどこにいようが旅先ということになって、どこへだって少ない荷物で移動することができます。
しかし妻帯者には難しいでしょう。妻の同意が得られません。
洗濯機のない生活なんてできるわけないでしょ!
もうひとつは家具付き賃貸住宅に住むことです。日本国内でも、海外でも家具付きの物件は存在します。自分の家具をもたなければ、軽々とどこへでも移動することができます。
それならギリギリ許容できるかな。
いちど売り払った家具類をもういちど揃えるには膨大な金がかかります。海外に長期の滞在がしたいといってもビザの問題がありますので、日本のアパートを維持しながら、数か月単位で行ったり戻ったりするのが現実的な策かもしれません。
こういう私は数か月単位のステイはできても数年単位のステイはできないのかもしれませんね。