リゾートバイトという海外暮らし
リゾートバイトというアルバイトがあります。離島だとかスキー場だとかみんながリゾートに訪れるような場所でやるバイトのことですね。そのリゾート地はたいてい遠くの場所にあって非日常です。そして季節限定だったりします。
たいていのリゾートバイトは住み込みで、食事がついていて、仕事のない日は周囲のリゾート地で遊ぶことができます。たとえばスキーリゾートだったら、仕事が終わったら夜スキーや、仕事のない日には一日中スキーを滑り放題というわけです。海の家や、海近くの旅館なども、夏場だけリゾートバイトを募集していたりします。この場合も、早朝や休日は海でサーフィンし放題になります。
いいですよねえ。ちょっとやってみたくなります。リゾートバイト。
国際的な企業に勤めて海外赴任するという外国暮らし
このリゾートバイトの変形で、海外暮らしをすることも可能です。
たとえばわたしの知り合いは「ハワイのホテル」で働いています。仕事中は普通にホテル業務ですが、オフはハワイ暮らしを満喫しています。同じホテル勤務でも日本のビジネスホテルに勤めるのとは気分が違いますよ。ハワイを訪れるお客様はそもそもリゾート気分でハッピーオーラを周囲にまき散らしています。その笑顔……接客業はお客様の気分にも影響されるものなのですよ。
このように現地企業につとめるというのは、外国で暮らす方法の王道パターンのひとつです。とにく日本人は世界的にも習得が難しいとされている言語のひとつである日本語を喋れるという特技を持っていますので、ハワイや台湾のような日本人がたくさん訪れるような場所だと日本人というだけで就職に有利になる可能性があります。
現地企業でなくても、国際的な企業に勤めて海外赴任するというのも外国で暮らす王道パターンのひとつです。わたしはこのパターンで外国で暮らしていました。
ソウル日本人学校の偏差値レベルと韓国語。卒業生の進路。公立? 私立?
社費留学という外国ぐらし
友人は、長年パリなどいろいろな外国で暮らしていました。いちおう会社に勤めていたのですが、働いてはいませんでした。いわゆる「社費留学」(業務としての留学)だったのです。
MBA経営学修士の資格を取得するなど、会社の費用で勉強に行かせてもらっていたのです。この「業務留学」も、外国で暮らす方法のひとつではあります。社員のスキルアップのために(ひいては会社のメリットにもなるので)このような「社費留学制度」を準備している会社が存在します。この留学は社員研修として位置づけられているので、研修期間中も給与が発生するように、留学中も給与が発生するというわけなのです。
ところがここからが特筆すべきところですが、私の友人は、やたらと転職していました。会うたびに勤務先が変わっていました。
ふつう、このような留学をさせてもらった場合、勉強して日本に戻ったら、その会社に恩を返す意味でも、生涯会社に滅私奉公するものだと思いますよね?
ところが彼は留学を終え、しばらくすると会社をやめて転職してしまうのです。そして次の会社でまた社費で留学させてもらっています。だからなんかいつも外国にいるような印象でした。これはこれまで聞いたことのない特殊な外国での暮らし方ではないでしょうか?
その彼ですが、転職するたびに給料もあがっているそうです。留学によってじゃんじゃん箔(学歴・資格)がつくわけですからね。
不思議な生き方をしているなあ、と思います。労働しないでお金をもらって外国で暮らしているなんて。もちろんそのかわりに勉強していますが、勉強が好きだったら、むしろ好きなことをしてお金をもらって海外暮らしをしているとさえ言うことができるでしょう。
そんなに勉強してどうするんでしょうか。社会に還元しないで勉強ばかりして何の意味があるんでしょうか?
いや、要するに彼がやっているのは「リゾートバイト」みたいなものなんですよ。社費留学といったところで、ずっと勉強ばかりしているわけじゃありません。当然、オフの日もあります。フリータイムはむしろサラリーマンよりも多いでしょう。上司がいないからストレスもありません。ふっと勉強の手を休めて周囲を見わたせば、……なんとパリの風景がひろがっているじゃありませんか! いつでも、いくらでも遊べます。勉強なんて中断して外国暮らしをいくらでも楽しめます。勉強なんて夜中にやればいいのです。海外赴任しているサラリーマン諸氏よりははるかに時間の融通がきくでしょう。
この話しを聞いた時、そんな生き方があったのか……と唖然としました。私は海外で暮らしてみたいと考えているのですが、そんな海外での暮らし方があるとは想像もしていませんでした。
※※彼のような人がたくさん現れたことから、最近では企業も対策をとりだしたようです。本来、労働者の退職の自由は保障されているのですが、「留学した場合、当社で最低五年は働け」というような誓約書を留学前に書かせるそうです。「五年以内に退職した場合は留学にかかった費用は弁済する」と一筆書かせるのだそうです。
国家公務員が国費で留学しておきながら、そのまま外国で転職してしまったりして問題になったことがあります。この場合は税金で留学していますので大問題となりました。でも民間企業の場合、かつてはさほど問題にできなかったのでしょう。民間企業の社費留学の場合、その留学が業務かそうでないかが大きな分岐点になるようです。業務(いわゆる研修)であった場合は給与が支払われて当然なので、いくら誓約書を書いていても無効になるようです。労働基準法の方が優先ですからね。
友人の場合、はるか昔からこのような「社費留学を繰り返す生き方」をしていました。マスコミが騒ぎ出して、会社の制度が整う前からこのような生き方をしてきたのです。いわゆる先行者利益を享受したというやつでしょうか。こういうことは「いつやるか」が重要です。人に先んじてやるから、いい思いをすることができたのです。逃げ切ったな、というのが感想です。最初にやったもの勝ちです。
頭が良くて勉強が好きだからできることなんでしょうけど、ね。
むかしは飲酒運転も規制がゆるくてみんなふつうにやってました。今ではマスコミが騒ぎ出して規制が厳しくなって飲酒運転はできなくなりました。それと同じようなものです。
お客様という権力
このように外国で暮らしていい思いをする方法はいくつかあります。
リゾートバイトもよさそうですよね? 社費留学もよさそうです。
でも、私はもっといい手を知っています。それをお教えしましょう。おいしい外国での暮らし方を。
それはお客様になることです。なにもリゾートバイトすることはありません。社費留学することはないのです。外国で暮らすためには、ビル・ゲイツやイーロン・マスクみたいな超大金持ちになる必要はありません。大会社の社長や、日本国総理大臣になる必要もありません。お客様になればいいのです。
御客様というのは、ひとつの権力です。「お客様」になれば「こちらのお席にどうぞ」「ワインをお持ちしましょうか?」「またのお越しをお待ちしております」「なんでもお申し付けください」と下へもおかぬ歓待をしてもらえますよ。無名でいいのです。ただの「お客様」で十分です。
そうすれば、リゾートバイトのように人に指図されることもありませんし、社費留学のようにテストに合格しなきゃならないこともありません。すべての時間を自分の自由に使うことができるのです。
そのためにはほんのすこしのお金が必要ですけど。
投資の儲けが本業を超えた場合、「ご職業は?」と聞かれたら「投資家」だと答えるべきか
でも、ほんのわずかなお金で十分です。なにも豪華なホテルに泊まる必要はありません。安宿でじゅうぶん。寝れば同じです。なにも豪華な食事を毎回楽しむことはありません。むしろ粗食の方が健康にいいのです。
そうして節約したお金で、豊かな経験をすればいいのです。このようにして外国暮らしを達成しようと私は思っています。
近所に、建て替えた方がいいんじゃないの? というおんぼろ家屋に住みながら、超高級BMWを乗り回しているオッサンがいます。お金を自分の好きなところにだけ使っているんだなあ。この人の考え方は、自分と同じだなあ、と思います。選択と集中ですよ、お金は。
平均的にリッチな暮らしをしてセレブを気取っている人たちの方が、実際には貧弱な人生を送っていることが多いと感じます。
豊かさって何だろうか。人生の経験値のことじゃないのか。
その人生の経験値は、権力を握らなくても、出世しなくても、お金持ちにならなくても手に入れることができます。
要所要所で、お客様という権力を行使すればいいんですよ。