世界は均質化して、海外旅行はつまらなくなった

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海外旅行は昔に比べてつまらなくなった

たとえば海外旅行が昔にくらべてつまらなくなったと言ったら、それは「あなた(筆者ハルト)が世界を見る若々しさを失ったからそう感じるだけだ、沢木耕太郎深夜特急』にも同じようなことが書いてあるではないか」そう反論されるかもしれない。

「終わってしまったのだ。旅がもし人生に似ているものなら、旅には旅の生涯というものがあるのかもしれない。少年期があり、青年期があり、壮年期があり、老齢期があるように、私の旅は青年期を終わりつつあるのだ。何を経験しても新鮮で、どんな些細なことでも心を震わせていた時期はすでに終わっていたのだ。どのような経験をしても、これは以前にどこかで経験したことがあると感じてしまう

そうかもしれない。それもあるだろう。それは否定しない。

世界中を回り、数多くの旅をしてきた。小さなことにいちいち困難を覚えていては旅を続けることは難しい。旅慣れるということは、いちいち感傷的にならなくなることと似ている。

しかしここで訴えようとすることは、それとは違う。沢木耕太郎がユーラシア大陸横断をした1970年代なかばと2020年では全く違っていることがあるのだ。

2020年の年末年始の旅行にコタキナバルに行ったが、キナバル山登山を抜きにしたらコタキナバルが無茶苦茶面白かったかというとそうではない。どちらかというと「山以外はつまらなかった」と言ったほうがいい。

ダイヤモンドヘッド232mに登れなかった女のキナバル山4095m登山挑戦 (コタキナバル) - 旅行のクチコミサイト フォートラベル
コタキナバルでのサンダルマン・ハルトさんの旅行記です。

マレーシアに限らない。どこへ行っても海外旅行は昔に比べてつまらなくなったと思っている。

マレーシアには「10回は行っていないかな」ぐらい行っているので、文化を見慣れてしまったということもあるかもしれない。初体験の感動は、経験豊富になればなくなるだろう。旅に限らず何だってそれは同じだ。

しかしそういう問題ではなくて、海外旅行はつまらなくなったと感じている。

私がそれを最も感じるのはスマートフォンである。今や世界中の誰もがスマホを所持していて、誰もがあの小さな画面を眺めている。

このスマホが世界を変えた。情報革命である。そして世界は豊かになった。みんなが同じような生き方をするようになった。

そしてそれが海外旅行をつまらなくしてしまったと思っているのだ。

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見たことがあれば真似するのは簡単。

自転車と自動車、どちらの歴史が古いか、知っているだろうか。

単純な仕組みの自転車の方が歴史が古く、もはやエンジンの中はブラックボックスの自動車の歴史の方が新しいと思うかもしれないが逆である。自転車の歴史の方が浅いのだ。

自転車の歴史
どうもハルトです。みなさん今日も元気に走っていますか? ロードバイクに乗ってみたいと女子に言わせることができるか? ハルト「映画『君の名は。』を一緒に見た時、おれと体が入れ替わったら「マラソンを走ってみたい」って言ってたよね」 イ...

発想の問題である。四輪の自動車は馬車が変化したものである。動力を馬からエンジンに代えただけであって乗り物としての発想はそれほど突飛なものではない。「どこかで見たことのあるもの」であった。

それに比べると、自転車は「今まで見たこともないもの」であった。似たような動物もいない。二輪車が倒れずに前に進むなんてこの目で見るまでは信じられない。誰かがそういう発想をしなければ、この世に出現しなかったシロモノなのである。

逆に「見たことがあれば」真似することは簡単である。オートバイは自転車よりも後の時代に製品化されたものであるが、自転車を見たことがある者にとってはそれほどビックリするような発明ではなかっただろう。脚力をエンジンで代用しただけのシロモノである。イノベーションだったのは自転車なのだ。

日本にしても同じことだ。何もつまらなくなったのはマレーシアだけではない。訪日外国人にとっては日本人がみんな和服を着てチョンマゲ姿である方が面白いに決まっている。サムライや、飛脚や、虚無僧がうろうろしている国であった方が、旅先として楽しいに決まっている。

他の地域と違っていた方が旅していて楽しい。しかしチョンマゲや和服が滅び去ったのは、もっと楽チンなスタイルがあるぞ、という「情報」が入ってきたからである。

面倒くさいものは楽チンなものに駆逐されるものだ。そのスタイルが社会で認められれば。Tシャツにジーパンというスタイルの方が、一人で着付けするのも難しい和服よりも普及するに決まっている。

そういった意味で、私は「ネクタイ」というのはいつか滅び去ると思っている。今は社会が「ネクタイ着用(しろ)」という風潮だからビジネスマンはみんな首に巻いているが、「ネクタイなんか意味なし。不必要」とビジネス社会が認めれば、ネクタイなんてあっという間に滅び去るであろう。面倒くさいだけだから。

そして未来人は、どうして先祖はこんな意味のない布切れ(ネクタイ)を首に巻いていたのだろう? と疑問に思うことであろう。

楽チンな情報が入ってくれば、面倒くさいものは滅び去るのだ。そして簡潔なスタイルが世界を席巻する。

スマホによって簡単に世界中の情報が手に入る時代になった。すると簡潔なスタイルが世界を席巻して、誰もかれもが似たようなライフスタイルになる。世界中どこへ行っても似てくるのだ。そして旅がつまらなくなる。

スマホそのものだって同じことだ。画面にタッチして操作するスマートフォンも、見たことがあれば真似するのは簡単だ。iPhoneを見たことがあれば、類似製品は開発できる。

スティーブ・ジョブズの凄さは最初にiPhoneのようなものを製品化して世に出したところにあるのだ。それまでスマホのようなものを人々は見たことがなかったのだから。

スーパーマーケットという販売形態を知れば、誰かがそれを真似して古いタイプの市場は駆逐されてしまう。農家が野菜を、漁師が魚を持ち寄るような古いタイプの市場は、もはや日本にはほとんど存在しない。スーパーマーケットに駆逐されてしまったからだだ。

そのような小規模な市場が世界にはまだ存在しているが、スーパーマーケットという販売形態を知った現地の資本家がそれをやれば日本と同じ運命をたどるだろう。スーパーマーケットで売っている商品もやがては似てくる。包装紙などもそっくり似てくるはずだ。マクドナルドのような売り方が「いい」と知れたら、現地資本の類似の店が世界中にできるのだ。

スマホは世界をひとつにしてしまう。世界は豊かになり、そして旅行はつまらなくなるのだ。

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難民さえもがスマホを持っている時代

貧富の差がなくなり、文化が似通ってきている。それが私の感じる「つまらなくなった海外旅行」の正体である。

今や世界中誰もがスマートフォンをもっている。それを一番感じたのはシリア難民のニュースである。

シリアの難民がスマホ片手に陸路でドイツなどに移民しているというニュースがテレビで流れていた。

難民ですよ。難民。着の身着のままで、飢えや渇きに苦しみながら、ボロボロになって国境を超えるのが難民じゃなかったのか。

それが今時の難民は各国のトラベラーSIMをスマホに差し込みながら、自分がどこにいるか、どちらの方向に進んだらいいか、GPSで確認しながら、ドイツなどに陸路で移動しているというのだ。

まるでオリエンテーリングワンダーフォーゲルみたいにスマホで現在位置を見ながらウォーキングするシリア難民の姿に、この人たちはもしかして私よりもリッチなのではないだろうか、と思ってしまった。

手のひらに収まる小さなパソコン、日本円で100,000円ぐらいするスマートフォンはもう高級品ではないのだろうか?

その時、ちょうど私は家計を見直しており、ビンボー主義のあまり、いっそのことスマホをやめてしまおうかと本気で検討していた最中だったからだ。

難民のために各地で提供されている充電スポットは、まるでフォトロゲイニングのポイントみたいだった。そんな難民のために寄付を求められても、とても寄付する気になれない。むしろ支援してほしいのはこっちの方だ。

大昔の本(小田実「何でも見てやろう」だったかな?)には、(性能のいい)日本製ボールペンをあげると現地の人に喜ばれる、という記述が出てくる。ポラロイドカメラを撮ってプレゼントすることが最大のコミュニケーションだったという時代もあった。

そういう時代の方が確実に旅は楽しかったはずだ。旅の束の間、わずかなお金で王様のようにリッチな気分になれたのだから。ポラロイドカメラを取り出すとサッカーのスター選手のように現地の子供たちに囲まれたという時代があったのだ。

しかしボールペンで喜ばれた時代はとうに終わった。スマホでボイスメモすればいいのだ。紙さえもいらない時代だ。スマホがあればカメラなんかいらない。

世界は豊かになった。みんなが同じような格好をして、同じようなものを売っている。そして物価も同じようになってきた。「笑っちゃうぐらい物価の安い国」というのはだんだん姿を消しつつある。わずかなお金で王様のように贅沢できた、冗談みたいな時代はもう終わってしまったのだ。

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貧しい世界の方が人間臭さがむき出しで面白い

私はどちらかというと貧しい世界が見たいのである。貧しい世界の方が人間臭さがむき出しで面白い。貧しい世界の方がリアルワールドだという気がする。貧富の差こそが面白さの源ではないだろうか。

エジソン以前は電灯なんて世界になかった
2019年9月。台風15号が千葉県を襲った。被害を受けた方、お気の毒です。しかし「もう限界だ」とか「生きるか死ぬかの状況だ」とか軽々しく言うのは待ってもらいたいと思う。そんな最上級の形容詞を使ってしまったら、もっと大きな本当の危機がおとずれ...

小競り合いはあっても、大戦争はなくなった。食料満載の輸送船が潜水艦の雷撃で沈められる、というようなことはなくなったのである。

世界は豊かになった。子どもにお金をせびられて、「こっちが恵んでもらいたいわ」と思ったことは一度や二度ではない(笑)。

豊かな世界とは「ヒリヒリしないこと。ヌクヌクしていること」ではないだろうか。

私だって普段の日常は「ヒリヒリしないこと。ヌクヌクしていること」の方がいいんですよ勿論。灼熱の太陽を避け、エアコンの効いた場所で、安楽椅子に座って甘い飲み物を飲んでいた方がいい。

でも旅先でまでそれを求めようとは思わない。旅先がそれでは物足りないのだ。

それはもう世界有数の経済大国の日本の日々の暮らしの中でさんざん体験していることだ。同じものを見て同じことを体験するんじゃあ航空券を払ってまで海外旅行する甲斐がない。

貧しさこそが人間の本質ではないだろうか。過去ほとんどの人間は電気のない世界で生きてきたのだ。冷蔵庫やエアコンのない世界で生きてきたのだ。そちらが本来の姿ではないのか。

スーパーマーケットよりも、おばあちゃんが道端で広げている市場の方が面白いのは、昔ながらの市場の方が人間の歴史的な暮らしぶりだからだろう。そこに郷愁のようなものを覚えるのだ。

コタキナバルのスーパーマーケットでは販売員はみんなスマホを眺めていた。お客を見て声をかけてもこないのだ。昔のアジアの市場はそうではなかった。

人間が本来の姿で生きている場所を見たい。人間の本能の姿が見たいのだ。それが私が旅に求めていたことである。

車を持っている人に、チップで日本製のボールペンをあげても嫌がられるだけだ。

スマホを持っている人に施すものを旅人は何も持っていない。

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不確実性に賭けられる勇気が旅人の資質だった

昔ほど海外旅行の魅力がなくなっていることを、客観的に証明できたであろうか。

インターネット以前の昔は宿の予約もできなかったし情報もなかったから、最悪野宿する勇気のある人しか放浪の旅人にはなれなかった。不確実性に賭けられる勇気が旅人の資質だったのだ。

しかし今はスマホで宿の予約できるし、いくらでも情報がとれる。行ってみなければわからない、ということがなくなった。

誰でも旅に行くようになった。そうなると普通の人が普通のスタイルで大量に旅するようになる。するとどこへ行っても同じような中国人が同じようなスタイルで旅をしているのを見るということになるわけだ。

スマホによって情報は駆け巡り、みんなが似たような文化を享受するようになった。みんな中流になった。そして面白くなくなった。

マレーシアで聞いた音楽は、言葉こそマレー語だが、音楽としてはアメリカで流れているものと完全に同じだった。情報の伝達はすごいスピードで伝わり、みんな世界的ヒット曲に似たような歌ばかりになる。

ああ。これは韓流を意識している商品なんだな、とわかってしまうのだ。

文化の差異こそ面白かったのだ。世界は均一化している。これだけば確実なことである。均一化すると面白くなくなるのだ。

貧富の差こそが面白かったのだ。みんなスマホを見ている、世界は豊かになっている。

時代はよくなるというが、そればかりではないだろう。

勇気がある人しか旅人になれなかった時代と誰でも行ける時代では確実に昔の旅の方が楽しかったのだ。

若者よ。世界はどんどん便利になっているが、だんだんと面白くなくなっているのかもしれないぞ。

プロフィール


サンダルマン・ハルト。雑誌『ランナーズ』等に執筆歴のあるライター。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。サブスリーランナー。グランドスラムの達成者(100kmサブテン。富士登山競争登頂)。スイス・ブライトホルン。マレーシア・キナバル山。台湾・玉山ニイタカヤマ。南アルプス全山縦走など登山歴も豊富。キャンプ・車中泊マニア。アウトドア派の放浪の旅人。現在、仮想地球一周ランニング中。
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