平成という時代が終わってしばらくたちます。ちまたでは「平成の××」という企画が出そろったようです。
そんな中で私が非常に気になったのが「平成のゲーム 最高の一本」という平成××でした。
「ファミ通」の企画で、平成のナンバーワンゲームが読者のアンケート投票によって選ばれました。
ドラクエやゼルダの伝説を抑えて一位になったのは「クロノトリガー」。
実は私、未プレイのゲームでした。
平成最高のゲームとは、いったいどういうゲームなのでしょうか?
実際にプレイしてみました。ニンテンドーDSでプレイしました。
なるほどみんなが絶賛するだけのことはありました。
1995年の作品です。25年前のスーパーファミコンの時代にこんな名作ゲームがあったとは!!
驚きです。グラフィックもストーリーも想像以上でした。
このコラムでは今さら『クロノトリガー』について書いています。
筆者自身による読み聞かせはこちらをどうぞ。よければチャンネル登録、高評価よろしくお願いします。
物語のあらすじを述べることについて
物語のあらすじを述べることについての私の考えはこちら。
私は反あらすじ派です。
作品のあらすじ、主題はあんがい単純なものです。
要約すればたった数行で作者の言いたかった趣旨は尽きてしまいます。
たとえば「死すべき運命を受けいれて、短い命を燃焼させて、人間らしく充実して生きた」とか。
世の中にはたくさんの物語がありますが、主役のキャラクター、ストーリーは違っても、要約した趣旨は同じようなものだったりします。
物語は主人公が「何かを追いかけるタイプ」か「何かから逃げるタイプ」しなかいといった人もいます。
だったら何のためにたくさんの物語があるのでしょうか。
あらすじや要約した主題からは何も生まれません。
観念的な言葉で語らず、血の通った物語にしたことで、作品は生命を得て、主題以上のものになるのです。
作品のあらすじを知って、それで読んだ気にならないでください。
作品の命はそこにはないのです。
しかしあらすじ(全体地図)を知った上で、自分がどのあたりにいるのか(現在位置)を確認しつつ読書することを私はオススメしています。
作品のあらすじや主題の紹介は、そのように活用してください。
この記事がみなさんの読書ライフの良質な旅の地図になることを願っています。
クロノトリガーとは
クロノはギリシア神話の時の神クロノス由来の接頭語です。時間を意味します。クロノグラフィーはストップウォッチことですね。トリガーとは銃の引き金、ものごとを引き起こすきっかけを意味します。
クロノ・トリガーは、その名の通り、タイムトラベルRPGです。時間の流れを旅しながら冒険するゲームですね。
原始時代(B.C.65000000)。古代(B.C.12000)。中世(A.D.600)。現代(A.D.1000)。文明滅亡の日(A.D.1999)未来(A.D.2300)と、6つの時代をタイムワープしつつ物語が進みます。
問題を解決するために、過去にさかのぼって禍根を断つ、という解決方法をとるのです。
ドラえもんによくある解決法ですね!
ラスボスは宇宙から来たラヴォス。たぶんカッコいい名前を思いつかなかったのでしょう。
シドーとかゾーマとかダークドレアムとかデスピサロとか、モンスターぽくて、なおかつカッコいい音感のネーミングするのって、けっこう難儀な仕事なんですよ。
だから世の中にはネーミング辞典なんてものが出版されていたりします。
ラスボスっぽいネーミングは、濁音が多いのが特徴です、たぶん(笑)。
ラヴォスなら文句なしですね。覚えやすいし(笑)。
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このブログの著者が執筆した「なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?」を追求した純文学小説です。
「きみが望むならあげるよ。海の底の珊瑚の白い花束を。ぼくのからだの一部だけど、きみが欲しいならあげる。」
「金色の波をすべるあなたは、まるで海に浮かぶ星のよう。夕日を背に浴び、きれいな軌跡をえがいて還ってくるの。夢みるように何度も何度も、波を泳いでわたしのもとへ。」
※本作は小説『ツバサ』の前編部分に相当するものです。
アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。
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『クロノ・トリガー』のあらすじ・ストーリー
日本刀らしき武器を使う現代の主人公クロノは、お祭りの場で王女マールと出会います。しかしマールはルッカのつくった時間転送装置で中世に転送されてしまいます。クロノとルッカは400年前の中世にマールを追いかけます。そこでカエルと知り合って、ともに王女を助けます。
現代に戻ると王女誘拐犯にされて裁判にかけられてしまいます。この裁判場面はハリーポッターの映画のように幻想的です。クロノトリガーはグラフィックが幻想的なのが特徴です。
クロノは死刑から逃げ出して、未来へと逃避します。未来は廃墟(ディストピア)でした。そこでロボと出会います。
未来を破壊したラヴォスは中世に魔王が復活させたことを知り、クロノは再び中世に行きます。中世では魔族と人間が争いをしていました。
中世で伝説の剣グランドリオンを手に入れます。名剣は折れていましたが現代の名工ならばなおせそうでした。現代の名工は原始時代のドリストーンという材料があればなおせるといいます。
それを求めてクロノは原始時代に行くのです。原始時代では恐竜人と人間が争っていました。そこでエイラと出会い一緒に戦います。そしてドリストーンを得て、グランドリオンを復活させるのでした。
中世に飛んでクロノたちは魔王に戦いを挑みます。魔王さえ倒せばラヴォスの脅威はなくなると信じて。
しかしラヴォスは原始時代に宇宙から飛来した地球外生命体であり、魔王を倒したからといってその存在が消えてなくなるものではありませんでした。
ラヴォスを阻止する鍵は、飛来した原始時代にあるかもしれません。原始時代にタイムワープしたクロノはエイラと一緒に恐竜人と決戦し、これを滅ぼします。
そこでラヴォスの飛来を目撃したクロノたちは古代へと飛ばされてしまいます。古代にはラピュタやアバターのような浮遊大陸に魔法王国がありました。女王ジールはラヴォスの力を利用した巨大な魔力にとりつかれ、身を破滅させていきます。クロノはジールを止めようとしますが、できませんでした。
女王のたくらみはとうとうラヴォスを目覚めさせてしまいます。クロノたちはラヴォスと戦いますが破れます。クロノは消滅してしまいます(主人公の死)。
しかしタイムマシンがあります。仲間たちはクロノが死ぬ直前にタイムワープして、クロノの命を救います。
そして女王ジールと、彼女の力の源であるラヴォスに戦いを挑むのでした。
この星の生物の遺伝子を自分のものにしているラヴォスとの最終決戦はこれまでの中ボスと連戦するような戦いになりました。
そしてクロノたちはこの星のすべての生き物を代表してラヴォスを滅ぼすのでした。
ドラクエとの違い。攻略サイトがないとクリアできなかった難易度
ドラクエⅠのラストシーンを思い起こさせるような、記憶に残るゲームでした。
さすが平成ナンバーワンゲームに選ばれただけのことはありました。
まだプレイしていない人はぜひどうぞ。
非常に面白いゲームだったのですが、私はたぶん攻略サイトがないとクリアできなかったと思います。
私はニンテンドーDS版でプレイしたのですが、グラフィックがよくわかりませんでした。美しいグラフィックなのですが、そのせいで現代の目から見ると、ちょっとわかりにくいところがあります。ダンジョンの入り口とか階層の上下とか、階段とか、慣れるまでグラフィックがよく認識できませんでした。
そういうグラフィック上のわかりにくさもありつつ、それでも面白いのがクロノトリガー。
その程度はまだマシです。
攻略サイトなしにはクロノトリガーはゲームクリアできなかったと思う決定的な理由は、「想像力でゲームを補わなければいけないところ」にあります。
RPGゲーム上のクリアのヒントは登場人物の会話の中にあるのですが、非常にヒントとなるセリフが非常にすくないのです。
セリフのメモリ容量がとれないってことはないと思いますから、そういうゲーム設定なのでしょう。
ドラクエだとセリフの中に謎の答えが書き込まれているので全員と会話すればまず謎が解けるのですが、クロノトリガーでは想像して問題を解決するしかありません。
過去や未来に謎を解く鍵があったりするので、それを頭の中で物語を想像して、つなげるしかありません。
非常に高度なゲーム設定でした。
そういうのは謎が解けたときには爆発的なよろこびをプレイヤーにもたらします。
しかし時間がない中プレイしているとストレス要因にしかなりません。
残念ながら私は後者でした。
「必要な人物や物資をタイムワープで別の時代から持ってきてあてがう」というゲーム構成になっているのですが、ヒントが少なすぎて、クリア方法が攻略サイトなしにはわかりませんでした。
別の時代のことをリアルな登場人物が知っているはずがありませんから、会話の中にゲーム攻略のヒントを埋め込むとゲームのリアリティを損なってしまいます。「中世の人が、未来の××さんに聞けばわかるよ」と教えてくれるはずがありません。そこはプレイヤーが関連付けるしかないのです。
そこがドラクエとの大きな違いです。ドラクエはシナリオライターの堀井雄二さんが「メチャクチャ親切」なので「死ぬほどわかりやすい」設計にしてあります。攻略サイトなしにもクリアできるほどヒントがゲーム内に埋め込まれているのです。
またゲームが自由な反面、ストーリー上まだ絶対にクリアできないダンジョンが突然目の前に現れたりするのです。マストアイテムを入手後でないとクリアできないダンジョンが、まだアイテムをもっていない段階で目の前に現れます。そういった先に進めるダンジョンと、そうでないダンジョンが、攻略サイト抜きにはよくわかりませんでした。
真っ黒な周囲。真っ黒なゲーム。省略の芸術作品
この四半世紀のあいだに、ゲームのハードは圧倒的に進化しているのに、25年も前のゲームがナンバーワンだと言われる理由は何でしょうか?
たぶんひとつにはグラフィックというものはリアル・詳細であればいいってわけじゃないってことがあるのでしょう。
クロノトリガーをプレイすればわかりますが、とても黒っぽいゲームです。
裁判の画面も周囲は真っ黒です。魔王の城も主人公の周囲や重要な部分以外は真っ黒です。
ゲームの容量に限界があるため、黒い画面にしてメモリをセーブしたのだと思いますが、それが却ってよかったのではないかと思います。
重要な部分のみを描き、その他は「闇の中」。それがプレイヤーのイマジネーションを刺激したのです。
これは文章や絵画でも同じです。全部描写するのではなく、必要なところ以外は描かない。短歌とか俳句というのはそのような省きの芸術です。
省略は詳述に勝るのです。
クロノトリガーの名前の由来になったクロノス(サトゥルヌス)のゴヤの有名な絵も同じです。
肝心な部分のみ描いて、周囲は真っ暗。それが却って絵画の効果を高めています。
クロノトリガーも同じです。肝心な部分以外、周囲は真っ黒。
それがイマジネーションを刺激して、忘れられない作品となったのでしょう。
グラフィックも、言葉も、イマジネーションで補うようなものが最高なのかもしれません。
周囲は真っ黒、それが省略の芸術です。
クリエーターには旬の時期がある。
そしてもうひとつには、やはりクリエイターには旬の時期があるということなのだと思います。
同じ会社が存続していて、同じクリエイターが今も生きています。それなのにどうして彼らは25年前の作品を超えるものを作り出せないのでしょうか。実際クロノトリガーには、続編『クロノクロス』があります。それなのに評価では『クロノトリガー』は越えられませんでした。
(例を出して失礼ですが)たとえば村上龍。『限りなく透明に近いブルー』『コインロッカーベイビーズ』など初期の村上龍は間違いなく天才作家でした。村上龍の書いたものなら何だって読みたいと思ったものです。彼は今も生きて活躍していますが、しかし彼の書いた小説を今はもう読みたいとは思いません。あの頃の彼、かつての彼を、もう超えることができないのです。
結局、クリエーターには旬があるということなのでしょう。
クロノトリガーはそのようなゲームでした。旬のクリエーターたちが今をかぎりの才能を爆発させて作ったゲームでした。
そのゲームは圧倒的な評価を得ましたが、その後、それを超えることはできなかったのです。
クロノトリガーの何がウケたのか
新しい令和の時代にも、『クロノトリガー』のようなすばらしいゲームに出会えるといいなあ。
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このブログの著者が執筆した純文学小説です。
「かけがえがないなんてことが、どうして言えるだろう。むしろ、こういうべきだった。その人がどんな生き方をしたかで、まわりの人間の人生が変わる、だから人は替えがきかない、と」
「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
本作は小説『ツバサ』の後半部分にあたるものです。アマゾン、楽天で無料公開しています。ぜひお読みください。
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