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【羞恥心】ゼスチャーという身振り手振りの限界を思い知った話し

初マラソンはホノルルマラソン。ワイキキで下痢をした話し

 

先日、東京マラソン2021(2022なのに2021って……)がありました。初マラソンを完走した新米ランナーがたくさん出現したのではないかと思います。おめでとうございます。あなたもこれでマラソンランナーです。

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●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」「かかと落としを効果的に決める走法」「ハサミは両方に開かれる走法
腹圧をかける走法。呼吸の限界がスピードの限界。背の低い、太った人のように走る。
マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは?
究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」の本当の意味は?
●【肉体宣言】生きていることのよろこびは身体をつかうことにこそある。
(本文より)
マラソンクイズ「二本の脚は円を描くコンパスのようなものです。腰を落とした方が歩幅はひろがります。腰の位置を高く保つと、必然的に歩幅は狭まります。しかし従来のマラソン本では腰高のランニングフォームをすすめています。どうして陸上コーチたちは歩幅が広くなる腰低フォームではなく、歩幅が狭くなる腰高フォームを推奨するのでしょうか?」このクイズに即答できないなら、あなたのランニングフォームには大きく改善する余地があります。
ピッチ走法には大問題があります。実は、苦しくなった時、ピッチを維持する最も効果的な方法はストライドを狭めることです。高速ピッチを刻むというのは、時としてストライドを犠牲にして成立しているのです。
・鳥が大空を舞うように、クジラが大海を泳ぐように、神からさずかった肉体でこの世界を駆けめぐることが生きがいです。神は、犬や猫にもこの世界を楽しむすべをあたえてくださいました。人間だって同じです。
・あなたはもっとも自分がインスピレーションを感じた「イメージを伝える言葉」を自分の胸に抱いて練習すればいいのです。最高の表現は「あなた」自身が見つけることです。あなたの経験に裏打ちされた、あなたの表現ほど、あなたにとってふさわしい言葉は他にありません。

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私は東京マラソン以前からのランナーなので、初マラソンはホノルルマラソンでした。

いよいよ明日、はじめてのマラソンという前日、私はワイキキで下痢をしていました。

今考えるとインドならともかくなんでハワイなんかで下痢をしたのか不思議ですが、海外旅行も久しぶりで、まだ胃腸が病原菌に対して軟弱だったのだと思います。

ランニング・イラストの最高峰。ホノルルマラソン「君の名は?」

言葉が話せない場合、ゼスチャーという手がある。

これまで一生懸命に練習してきたのだから、ホノマラではベストを尽くしたいと思いました。しかし下痢ではベストなんかつくせません。

「薬を飲もう」

私は思いました。普段はあまり薬なんか飲まないタイプなのですが、非常事態です。やむをえません。

薬局はすぐに見つかりました。店内に入りますが、すべて英語表記の薬ばかりで、どれが下痢にきく薬だかわかりません。

店員が「Can I heip you?」と声をかけてきてくれましたが、説明できませんでした。下痢Diarrhea という英単語を知らなかったからです。

私は困り果てました。本当は伝える手段がありました。言葉が話せない場合、ゼスチャーという手があります。

肉体言語が伝える力は強力だが、下痢であることをどうやって伝えようか?

風邪なら口に手を当てて「コホン、コホン」と咳をすれば「ああ、風邪薬が欲しいんだな」とわかってもらえます。

腹痛だったら、お腹をおさえて顔をしかめて見せれば「ああ、腹痛薬が欲しいんだな」とわかってもらえます。

でも下痢だったらどうでしょう。どうやって下痢をゼスチャーすればいいでしょうか?

私は迷いました。

 

和式便所に座った格好をして、お尻の下から何かが噴出しているように、手でゼスチャーすれば、たぶん下痢だということはわかってもらえただろうと思います。

しかしそれをやるかどうかは別問題です。

なんで高級リゾート地のワイキキまできて、うんこするゼスチャーをせにゃならんのか。

これは日本人の恥ではあるまいか?

 

でも明日の初マラソンは、下痢のまま走りたくありませんでした。ベストを尽くして走りたかったのです。

一歩も歩かずに完走すること。どんなに悪いタイムだって、それだけは果たすつもりでした。

しかし下痢ではその最低限の目標を果たせそうもありません。

<下痢のジェスチャーをすべきか、否か、それが問題だ>

英語しか話せない店員の前で、ハムレットのように私が眉間にしわを寄せて悩んでいると、彼女は「カモン」と私を手で呼びます。何ごとかとついていくと、そこは日本の薬ばかり陳列しているコーナーでした。

「お。おう。サンキュー」

なんだよ~。日本の薬コーナーがあるなんて、さすがハワイだな。

本当に助かりました。国辱ものの下痢のゼスチャーをしなくてすんだのです。

私は下痢どめの薬を手に入れることができました。

翌日のホノルルマラソンでは、下痢に苦しめられることもなく、なんとか一歩も歩かずに完走。初マラソンを無事に終えることができたのでした。

わかっていても、恥ずかしくてできないゼスチャーというものがある。

日本に帰るとすぐに私は、下痢を英語で何というか調べました。

下痢は英語で Diarrhea ダイアリーアといいます。この単語だけは私は忘れません。

その後、私は外国語をほとんど話せないまま諸国遍歴を繰り返すのですが、ジェスチャーだけですべて通じるとは思っていません。いや仮に通じるとしても、恥ずかしくてできないゼスチャーというものがこの世にはあるのですよ。

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