リアル鬼滅の刃? リアル禰豆子? 鬼女紅葉と魏石鬼八面大王の伝説

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9月19日から22日まで、敬老の日と秋分の日で四連休となったので、さっそく車中泊の旅に出かけることにした。

移住先を探す旅である。私はアパート暮らしなので、何も終生そこに住む必要はないのだ。

まだ残暑厳しいので、移住先として最も人気のある県、長野県を中心にめぐることにした。

もちろん標高による避暑効果を期待してのことである。

車中泊の持ち物リスト
車中泊の旅でいちばん大切なのは現金とキャッシュカード・クレジットカードです。 あたりまえですが、金さえあれば何とかなります。 創意工夫で何とかするのが車中泊アウトドアの醍醐味ですが、やはり必要最低限のグッズはもって行った方が快適です。
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【この記事を書いている人】

瞑想ランニング(地球二周目)をしながら心に浮かんできたコラムをブログに書き綴っているランナー・ブロガーのサンダルマン・ハルトと申します。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。

初マラソンのホノルル4時間12分から防府読売2時間58分(グロス)まで、知恵と工夫で1時間15分もタイム短縮した頭脳派のランナー。市民ランナーの三冠王グランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。月間走行距離MAX600km。雑誌『ランナーズ』で数々の記事を執筆していた物書きです。「脳ミソでライバルに走り勝つことはできるか?」その答えを書いた書籍『市民ランナーという走り方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。

また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。

そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。江戸川左岸の撃墜王(自称)。スピードが目的、スピードがすべて。ロードバイクって凄いぜ!!

山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。

その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。インドネシア。マレーシア。ニュージーランド。タイ。ベトナム。カンボジア。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の27ケ国。パリとニューカレドニアを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。ソウル日本人学校出身の元帰国子女。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。

登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。

千葉県在住。夢の移住先はもう決まっています!!

※この稿の内容は以下のとおりです。

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鬼無里は鬼のない里。美女紅葉の鬼女伝説。紅葉狩りの語源

 

鬼無里というところでドライブを小休止した。戸隠からすこし南に行ったところにある。

本当は戸隠そばを食べたかったのだが、忍者アトラクションのついでにそばを食べるファミリーがいっぱいで行列ができていたため、諦めた。

伊賀忍者は服部半蔵。甲賀忍者は猿飛佐助。戸隠流忍者は初見良明
遠い未来、戸隠流忍術は、初見良明を服部半蔵や石川五右衛門と並べて、解説する時代が来るに違いない。

渋滞のため素通りし、ようやく鬼無里でそばが食べられたのだ。

鬼無里(きなさ)というのは、現在では長野市鬼無里地区になっているが、市町村合併の前は鬼無里村だった。

鬼無里? 鬼なしの里、というのはいかにもなネーミングではないだろうか。まるで神無月である。昔は鬼がいたのではないだろうか? そんなことを予想させるネーミングである。

するとやっぱりであった。鬼無里には昔、鬼がいたのである。

鬼の名前は紅葉(もみじ)。源経基(平将門と同時期の大和朝廷の将軍)に寵愛された才色兼備の美女だったらしい。

しかし正妻の嫉妬によって鬼道により正妻を呪ったとして北信州・戸隠に追放されてしまう。

都の文化や教養、技術を里の人々に伝えて慕われていた。京都からやってきた貴女としてたっとばれていたのである。

しかし紅葉は、田舎の暮らしに満足せず、もう一度、都に帰ろうとする。

それを阻止する朝廷側の追討軍(平維茂)と激しい戦闘になり、紅葉は鬼となって戦うが、討ち取られるという伝説である。

この伝説は平維茂の鬼退治として能『紅葉狩』として取り上げられる。

鬼のように戦うのではなく、文字通り鬼になって戦う。

鬼になった美女。『鬼滅の刃』の禰豆子の元祖である。

紅葉を見に来た美女が実は鬼女・紅葉であり、平維茂が紅葉を討伐することから、紅葉見物を紅葉狩りというようになったのだ。

こうして鬼がいなくなった里は、鬼無里というようになったのだという。

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貴女なのか? 鬼女なのか? 立場によって評価は変わるもの

美女・紅葉が里の側では貴女とされ、朝廷の側では鬼女とされているところが面白い。

人の評価は立場によって変わることの一例である。

悪魔・魔神は、異教の神であることが多い。

ヒンズー教の主神シヴァは、仏教では敵対する悪鬼として降三世明王の足元で踏みつけにされている。

悪魔として知られるバアルとかアスタロトは、もともとは神さまだった。勝者キリスト教から見た敗者の土着神であったのだ。

紅葉も同じで、征服者の大和朝廷側から見れば鬼女だが、医療や文芸など文化を伝えられた里からすれば貴女なのだった。

同時代の平将門も似たようなところがある。朝廷に叛逆したアンチヒーローというのが一般の評価だろう。崇徳上皇と並んで日本最大の怨霊扱いされたりもする。

しかし源頼朝の武家政権のハシリという評価もある。茨城あたりの地元では英雄そのものである。

神の評価も、人の評価も、立場によって変わるのだ。

そして強大な敵は、負けて「鬼」になる。

同じ人間あいてに手こずったんじゃお話しにならないが、相手が鬼ならしょうがない、という勝者の言い訳がこの伝説を流布させるのだ。

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戸隠には鬼がいた。大王わさび農場の魏石鬼八面大王

鬼女・紅葉の伝説を心にとめて旅をつづけていた。

ところが、旅の途中で再び美女紅葉と私は再会することになる。

つくづく美女に縁がある人生のようだ(ウソ)。

旅の終わりに立ち寄った「大王わさび農場」で、もう一度、私は心に残った伝説の紅葉さんと再会した。

ここでは美女・紅葉は、地元の首領に嫁いでいたことになっている。

まあそれほどの女が放っておかれるわけがない。当然だと思う。

しかし嫁いだ相手がただの首領ではない。

なんと相手も鬼だった(笑)。

魏石鬼 八面大王 (ぎしき はちめんだいおう)という怪力無双である。

八面大王は、全国統一を目指す朝廷に反抗して戦う。

天下統一という義があるものの、信州サイドから見れば侵略者である。

夫婦で必死に抵抗したが、相手は坂上田村麻呂である。征夷大将軍である。歴史に残る超大物だ。

八面大王は激しく抵抗するものの破れる。そして二度と復活しないように遺骸をばらばらに刻まれて別々の場所に埋められたとする伝説があるのだ。

強大な敵は負けて鬼になるから、八面大王は鬼だ。鬼女紅葉の夫だから、その意味でも鬼だといってもいいだろう。鬼の夫は鬼にちがいない。八面鬼士大王ともいう。

大王わさび農場は、その大王の胴体を埋められた場所にあるから「大王・わさび農場」というのだそうだ。

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どうしてそこまで都が恋しいのか?

どうしてそこまで都が恋しいのか?

移住先として長野を探索していた私には、命を賭しても都(京都)に戻ろうとする紅葉の心が理解できない。

坂上田村麻呂の時代である。あるいは平将門の時代である。

過疎地帯だった鬼無里のさびしさは今も昔も同じだとして、当時の京都がそんなに魅力的な場所だったのか?

御殿内裏や朱雀門などあったかもしれないが、当時の都の人口なんて、微々たるものだったのだろう。

食べ物が美味しいものが都にしかなかったのかな? スイーツとか、味付けという意味で。

酒とか歌会とかが恋しかったのかな?

世捨て人にようなところがある私には、ちょっと理解できない。

信州の田舎の農民に学問や歌を教える暮らしでは満足できなかったのか。

しかし鬼女紅葉伝説に涙するには、ここのところが非常に重要である。そうまでして都に帰りたかったのか?

一説には、息子を父の源経基と同じのようなひとかどの武士にしたかったためという。

自分はともかく、息子が田舎の農夫になるのは耐えがたかったのだろうか?

源経基恋しさのあまり?

しかし夫となる地元の首領の八面大王もなかなかの人物のようだ。

私は八面大王はアテルイ的な長野の土着の英雄だったと思うが、盗賊だったという説もある。

朝廷側としては民の敵を討伐する英雄の物語にしたいわけだろう。

どちらも正義の側につきたいのだ。

やはり人の評価は立場で違う。

書き手がどちらにつくかで、英雄にも鬼にもなってしまう。

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「年代が合わないじゃないか!」というツッコミ。
「見なかったことにしてください!!」

さて、鬼女・紅葉であるが、都で妾として愛され、子を身ごもった相手の源経基が961年死没しているのに対して、坂上田村麻呂は811年に死没している。

「年代が合わないじゃないか!」というツッコミはこの際やめて、大人の態度で「見なかったことにしてください!!」

鬼退治の平維茂は生没年不詳である。伝説にはこういう人物がありがたいね。生没年不詳だとつじつま合わせに非常に便利だ。英雄は自分の生没年を明らかにしちゃいかんよ。

もちろん鬼女・紅葉も生没年不詳である。

たぶん紅葉はギリシア神話ビーナスのような存在だったんじゃないかな。

ウラノスの切り取られた男性性器から生まれた泡(ぜったい精液の隠喩だろ、これ)から誕生したビーナスは、父ウラノスのひ孫であるヘパイストスと結婚し、アレスと不倫関係に溺れるのだった。

アレスから見るとビーナスは二世代前の人。おばあちゃんと恋愛するようなものだ。

しかし都合よく神さまは年を取らないので永遠に青春を生きている。世代の差なんて関係ないことになっている。だから何世代にわたって恋愛できるのである。

たぶんオイディプス王の妻(イオカステ)も同じだったと思いたい。イオカステはオイディプス王の実の母親なのだから。し、神話だよね……。

このように世代を超越してしまうのが神話の特徴である。たぶん鬼女紅葉も女神ビーナスと同じような存在なのだろう。

問題なく世代を超越してしまうのだ。だから源経基と恋愛して、坂上田村麻呂に打たれたとしても不思議ではない。

たとえ811年に討たれたとしても、961年に源経基と恋愛することが可能だったのだ……

「百歩譲って老けない年をとらないとしても、坂上田村麻呂に討ち取られて死んだ後に、源経基と恋愛できるわけないだろ?」

いやいや。坂上田村麻呂に打ち取られたのは八面大王だけだったに違いない。きっと紅葉は生きのびたのだ。

そして鬼の術で永遠の若さを保ったまま、都で源経基に愛され、ついに平維茂に討たれたのだろう。

はあ、はあ……。

シヴァ神や、ゼウスヘラクレスがそうであるように、多くの伝説が「その人」に付託されて、いっしょくたになっていったというのが本当だろう。

だからいろいろつじつまがあわなくなってくるのだ。

八面大王伝説は八人の盗賊団の話しだったともいう。

ひとつの伝説が後世いろいろと脚色されて、別の物語も存在しているらしい。

ひとつのおとぎ話として興味をもったので書いた。

鬼女・紅葉だからこそ、おとぎ話として面白いのである。

美女にして貴女、野党の頭にして鬼女、そんな紅葉に心をひかれたのであった。

サハラ砂漠で大ジャンプする著者
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このブログ著者の小説『結婚』
小説『結婚』
愛とは何か? 結婚とは何か? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。恋人のアスカはツバサのもとを去っていきます。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。  離れたくない。その叫びだけが残った。  全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。 引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。 そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。 それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自信が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。 アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。 死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。 生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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このブログの著者の小説『片翼の翼』
小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
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小説『片翼の翼』
なぜ生きるのか? 何のために生きるのか? を追求した純文学小説です。 主人公ツバサは劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。 かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。 同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。 アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。 自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。 人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。 ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 ※※本作は小説『結婚』の前編、バックストーリーに相当するものです。両方お読みいただけますとさらに物語が深まる構成になっています。※※
片翼の翼: なぜ生きるのか? 何のために生きるのか?
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【この記事を書いている人】

アリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。
市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。
また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。
そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。
その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。
登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。

【この記事を書いている人】
瞑想ランニング(地球二周目)をしながら心に浮かんできたコラムをブログに書き綴っているランナー・ブロガーのアリクラハルトと申します。【トウガラシ実存主義】【遊民ユーミン主義】の提唱者。ランニング系・登山系の雑誌に記事を書いてきたプロのライターでもあります。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。その筆力は…本コラムを最後までお読みいただければわかります。あなたの心をどれだけ揺さぶることができたか。それがわたしの実力です。 市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。ちばアクアラインマラソン招待選手。ボストンマラソン正式選手。地方大会での入賞多数。海外マラソンも完走多数(ボストン、ニューヨークシティ、バンクーバー、ユングフラウ、ロトルアニュージーランド、ニューカレドニアヌメア、ホノルル)。地元走友会のリーダー。月間走行距離MAX600km。『市民ランナーという生き方(グランドスラム養成講座)』を展開しています。言葉の力で、あなたの走り方を劇的に変えてみせます。 また、現在、バーチャルランニング『地球一周走り旅』を展開中。ご近所を走りながら、走行距離だけは地球を一周しようという仮想ランニング企画です。 そしてロードバイク乗り。朝飯前でウサイン・ボルトよりも速く走れます。山ヤとしての実績は以下のとおり。スイス・ブライトホルン登頂。マレーシア・キナバル山登頂。台湾・玉山(ニイタカヤマ)登頂。南アルプス全山縦走。後立山連峰全山縦走。槍・穂・西穂縦走。富士登山競争完走。日本山岳耐久レース(ハセツネ)完走。などなど。『山と渓谷』ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。 その後、山ヤのスタイルのまま海外バックパック放浪に旅立ちました。訪問国はモロッコ。エジプト。ヨルダン。トルコ。イギリス。フランス。スペイン。ポルトガル。イタリア。バチカン。ギリシア。スイス。アメリカ。メキシコ。カナダ。タイ。ベトナム。カンボジア。マレーシア。シンガポール。インドネシア。ニュージーランド。ネパール。インド。中国。台湾。韓国。そして日本の28ケ国。パリとニューカレドニア、ホノルルとラスベガスを別に数えていいなら訪問都市は100都市をこえています。(大西洋上をのぞいて)世界一周しています。国内では青春18きっぷ・車中泊で日本一周しています。 登山も、海外バックパック旅行も、車中泊も、すべてに共通するのは必要最低限の装備で生き抜こうという心構えだと思っています。バックパックひとつ。その放浪の魂を伝えていきます。千葉県在住。
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