『ゆるキャン△』は冬キャンプが新しかった
『ゆるキャン△』というアニメがヒットして、キャンプブームが到来しました。
わたしはこのアニメは「冬にキャンプする」「夏にはやらない」というところが新しかったと思っています。
昔からのキャンパーは「キャンプというのは夏がシーズン盛り、どちらかといえば冬はオフシーズン」という認識だったのではないでしょうか。わたしもそのひとりです。
ところが「虫が出る」「キャンプ場が混んでいる」という理由で、主役格のシマリンちゃんは冬にしかキャンプしないという変わった子です。
これは新しいな、と昔からキャンプしていたわたしは思ったものでした。
でも……よく考えてください。夏は「キャンプ場が混んでいる」と作中でも言っているのです。やっぱり一般的なキャンプシーズンは夏なんですよ。
富士山と同様に『ゆるキャン△』のキャラクターも山梨県と静岡県で取り合い
縄文時代ブームは来なかったが、かわりにキャンプブームが来た。二つはほぼ同じもの
世界のいろいろな場所で世界遺産を見てきたわたしは、はやくから三内丸山遺跡のレベルの高さに気づいて、必ず縄文文化は世界遺産に登録されることを確信していました。
そして縄文ブームが来るだろうと予言しました。

縄文ポシェット。ごみ場に捨てられていたもの。よく残ったなあ
その後、わたしの予想どおり縄文文化は世界遺産に登録されました。そして明確な縄文ブームというものは来ませんでしたが、そのかわりキャンプブームが到来しました。
縄文ブームというのは、キャンプブームとほぼ同じものです。だって縄文時代の遺跡ってキャンプ跡地みたいなものだもの。縄文人の暮らしってキャンパーの暮らしみたいなものだもの。
寒いのも楽しむ。それが真のアウトドア。
『ゆるキャン△』に教えられたのは、オンシーズンというものの曖昧さです。
夏場がシーズンだと思いこんでいると「今やらずしていつやる? 今でしょ」と無理やりキャンプに行こうという気持ちになります。
でも冬場に〈シーズンオフだからな〉と思っていると「寒いから行くのやめよう。オフシーズンだし」と、キャンプに行かないということになるのです。
もしもわたしのいうように、キャンプブームが縄文ブームと同じものだとするならば、冬のキャンプは寒いからやめるということはありえません。縄文人のアウトドア暮らしは冬だからといってやめることなどできなかったからです。たくさん着込んだり、火で暖をとったりして、寒さをしのいで暮らしを楽しんでいたことでしょう。ちょうど「ゆるキャン△」の子たちがそうしているように。
夏は裸になっても暑いが、冬は着こめばあたたかい。
よく考えてみたら蚊の襲来に耐えるよりも、寒さをしのぐ方がマシではないでしょうか。
あまりにも暑いとテントの中が蒸し風呂のようになって眠れません。あれにくらべたら、冬の寒さの方がまだ眠れます。
「夏は裸になっても暑いが、冬は着こめばあたたかい」というやつです。
冬の寒さは着こめばなんとかしのげます。実際にわたしは去年の冬のあいだ、電気毛布だけしか使いませんでした。着こめば石油ストーブや暖房がなくても何とか耐えしのげます。
ウクライナ「ロシアは冬の寒さを大量破壊兵器にしようとしている」は言い過ぎ。誇張しすぎ。
ウクライナではロシアとの戦争が続いています。ロシアは電力などインフラ設備を攻撃して、ウクライナでは電力不足、停電が常態化しています。ゼレンスキー大統領は「ロシアは冬の寒さを大量破壊兵器にしようとしている」と非難しています。
ロシアの軍事ブロガーって何者だ? なんでブログにそんなに影響力があるのか。
でもさあ……着こめば何とかなるんじゃないの? そりゃあわたしの住む千葉県よりもウクライナの方が寒いのはわかっていますよ。でもその分、さらに一枚か二枚、羽毛のジャケットを羽織れば死ぬようなことはないんじゃないかな?
どうしてもわたしには「寒さを大量破壊兵器に」というフレーズが誇張に聞こえてしかたがありません。そういっているゼレンスキー自身がかなりの薄着です。
まるっきり吹きさらしのアウトドア生活ってわけじゃないんだろうし。そもそもそのぐらいの寒さで人が死んでしまうようだったら、とっくの昔に人類は絶滅していると思います。人間はもっと寒い時代(氷河期)を羽毛のジャケットもなしで生き抜いてきたのです。
外はマイナス20度だけど部屋の中は暖房が効きまくっていて26℃ぐらい。外は氷結しているのに、人は部屋の中で半そでで暮らしている。……というような暮らしがカナダなど一部の白人たちのあいだに見られます。
ウクライナでも日本語ペラペラのユーチューバーのボグダンさんが「停電中。暖房が効かない。寒い」と訴えているんですけど、本人の服装はかなりの薄着です。日本で暖房を使っていないわたしの方がよほど厚着をして暮らしています。部屋内で着こむという発想がないのかもしれませんね。
両者の映像を見て、どっちが「停電中でかわいそう」に見えるかといったら、たぶんわたしの方がそのように見えるのではないかと思います。
ゼレンスキー大統領が本当に言いたいことは「もっと支援を」ということなのでしょう。それはわかっています。しかし「ロシアは冬の寒さを大量破壊兵器にしようとしている」という言葉を聞くと、どうも誇張しすぎているなあという気がしてしかたがありません。
大量破壊兵器ということは、多くの人がそれで死ぬということでしょう?
薪という燃料を人類は知っています。つらい思いをするかもしれませんが、冬の寒さで多くの人が死ぬなんてありえないと私は確信しています。いくらなんでも誇張しすぎではないでしょうか?
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このブログの筆者の著作『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての感想と提言。
『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか?
●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか?
●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。
●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか?
●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。
ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすることが、人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。それに反する行動は人類全体に否決される。いつかそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
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