メキシコ人の有名人を何人あげられますか?
ロシア・ウクライナ戦争がまだ続いています。わたしはこの戦争に関する書籍も出版しています。自分の著作の中で問いかけたことのひとつに、文化的には親ロシアの日本人が、どうして親ウクライナ目線で戦争を語るのか、ということでした。わたしはロシア人といって何人も知っている人(ドストエフスキーなど)の名前をあげられましたが、ウクライナ人で知っている人はほとんど皆無でした。文化的に親ロシアだというのは、こういうことです。それなのに急にウクライナ側に立つことに違和感があったためです。
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このブログの筆者の著作『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての感想と提言。
『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか?
●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか?
●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。
●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか?
●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。
ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすることが、人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。それに反する行動は人類全体に否決される。いつかそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
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同じような発想で、私たち多くの日本人は親アメリカです。なぜかというと、アメリカ人なら何人でも名前をあげることができます。たとえばスティーブジョブズとか、リンカーンとか、ハリソンフォードとか、いくらでも。
そういう意味では親メキシコではないと言えるでしょう。だってメキシコ人の名前を何人あげられますか? わたしはミル・マスカラスぐらいしかあげられません。しかもリングネームで本名じゃないし(笑)。メキシコにはユカタン半島があって、ピラミッドがあることは知っていましたが、メキシコ人の著名人は、実際にメキシコに旅するまではひとりもしらなかったといっても過言ではありません。
両津勘吉みたいな繋がった眉毛とヒゲがトレードマークの女流画家
日本では知られていない地元有名人。そういう人がいます。フリーダ・カーロがそのメキシコ代表選手ではないでしょうか。
女声なのに、まゆけどヒゲがトレードマークの美女です。いちおう美女という分類なのだと思います。メキシコ旅行の間、いたるところで彼女を眺めることになります。
それほど地元のヒロインであり、でもあまり日本では知られていませんよね?
フリーダ・カーロって誰? 何をした人?
フリーダ・カーロは女流画家です。病気やケガ、夫の浮気など、たくさん苦しみ、それを絵に昇華した人物。この人の人生にはびっくりさせられます。バスの事故で鉄の棒が腹を貫通したというのですから。後遺症に悩まされながら、フリーダは絵に情熱を燃やします。
旦那がまたメキシコでは壁画で有名な絵師のディエゴ・リベラ。この夫妻はお札の肖像画にもなっています。夫婦でお札ですから、すごいですね。
ただこの夫のディエゴリベラが浮気者でして、フリーダをしあわせにはしません。彼女の絵のモチーフの多くは「自画像」。その自画像の眉毛がつながっていてヒゲがあるのです。他人がディスったのではなく、自画像からして眉毛とヒゲがあるのでした。
旦那のリベラが描いた絵のほうも眉毛がつながっています。すでに写真がある時代の人物で、残された彼女の写真も眉毛が両津勘吉になっています。
見慣れてくると、美女に見えてくる不思議な味のある顔。ディズニー映画『リメンバー・ミー』にも登場する
メキシコを旅していると、このフリーダ・カーロにいたるところで出会います。あまりにも特徴のある顔なので、誰なのか見てすぐにわかります。何度もみていると、だんだん親しみを覚えて、美女に思えてくるから不思議です。
そんなわけでメキシコの輝けるヒロイン、フリーダ・カーロはディズニー映画『リメンバー・ミー』にも登場します。ミゲルやヘクター、デラクルスは架空の人物ですが、フリーダ・カーロは実在のメキシコ人女流画家です。彼女が出てるの、知っていましたか?
肉体の痛みに耐えて生き抜いたフリーダ・カーロの日記には、「出口(死)がよろこびで満ちていますように。そして私は二度と戻りたくない」と書いてあったそうです。
マリーゴールドに輝く死者の国で、痛みと無縁のフリーダ・カーロが元気にしているのを見て、わたしはホッとしたのでした。あの映画を見たメキシコ人たちもきっと同じだっただろうと思います。