葛飾北斎とゴッホ

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画狂人といって、みなさんは誰を思い出すだろうか。私はゴッホを思い出す。

ここでは自ら画狂人と名乗った葛飾北斎について述べています。

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どうして「彼」は葛飾北斎と呼ばれるのか?

いつものように車中泊で小布施に行ってきた。小布施には葛飾北斎の大天井画があると聞いて、それを見に行ったのである。

天井画はもちろん凡百の画家に書けるような絵ではなかった。

しかし私がもっと興味をそそられたのは、小布施市にある「北斎館」での北斎の浮世絵そして肉筆画の展示であった。

信州小布施 北斎館|画狂人葛飾北斎の肉筆画美術館
信州小布施 北斎館では、肉筆画を中心に、版本や錦絵など、葛飾北斎の画業を広くご覧いただけます。北斎が80歳を超えた晩年に手がけた東町・上町の祭屋台天井絵「龍図」「鳳凰図」、「男浪図」「女浪図」が常設展示されています。

浮世絵が刷った絵でコピーがいくつもあることを知らなかった私は、若い頃、パリで北斎の絵を見るために駆けずり回った経験がある。世界中にパリにしかないと思ったのだ。

北斎館ではたくさんの刺激を受けたが、いちばん面白かったのは、彼の画号(ペンネーム)の多彩さである。

北斎は画歴の中でいくつかの画号(ペンネーム)を変えている。30回余も変えているそうだ。

数多くの画号の中で、どうして「彼」は葛飾北斎として後世に伝わったのか、不思議に思ったことはないだろうか。

私には不思議だった。どうして彼は葛飾北斎と呼ばれているのだろう。

それを同じようにたくさん改名した「もうひとりの彼」と比較して考えてみる。

Wikipediaの中で、彼は「葛飾北斎」であるが、「もうひとりの彼」は豊臣秀吉と呼ばれている。

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最大・最高の仕事をした時の画号は為一。ラストの画号は画狂老人卍

最大最高の作品を世に出した時のペンネームが残ったと考えることができる。

「彼」の最高の作品といえば世界で二番目に有名な絵ともいわれる「神奈川沖浪裏」を含んだ『富嶽三十六景』である。

しかし「富嶽三十六景」の頃の画号は為一であったのだ。だとすれば、「彼」の名は為一として残るのが普通ではなかろうか。

ちなみに「もうひとりの彼」の最大の仕事はほとんど「羽柴秀吉」の時代に行われたものだ。中国大返しも、山崎の合戦も、小田原城攻城戦も、羽柴秀吉が行っている。

あるいはその生涯で最も長く使われた画号が後世に残ったということも考えられなくもない。

だとすれば「もうひとりの彼」の人生で最も長く使われたのはやはり羽柴秀吉ということになる。なのに彼は豊臣秀吉として記録されているのである。

「もうひとりの彼」が豊臣秀吉と記録されるのは、天下を獲った後、最後の最後、ラストネームだからということだろう。そうとしか考えられない。

だとすれば画壇で天下を獲った「彼」の最後の最後、ラストネームは画狂老人卍である。葛飾北斎ではないのだ。Wikipediaで彼の名前は画狂老人卍として記録されていてもよかったはずなのである。

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「北斎漫画」があるから、彼は北斎なのだ

北斎の仕事に「北斎漫画」というものがある。画の大家として弟子たちに手ほどきしなければならない立場だが自分の執筆時間を削りたくないために「お手本集」のようなものを出版したのである。いわゆるスケッチ集である。ピアノでいうバイエル教則本のようなものである。

このスケッチ集は非常にお茶目なポーズに溢れている。

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江戸時代後期の庶民にこんなユーモアがあったのかと思うようなポーズに溢れている。ありとあらゆる絵が収められている。人間から鳥や獣まであらゆるものが。

文庫の表紙にもなっているが「おもしろ顔」のスケッチもある。いっぺんで虜になる画集である。

屁をこいている男の絵まである。どうしてそこまで書く必要があったのか(汗)。

私はこの文庫を購入して自宅トイレ文庫に置いている。頭を使わずにぱらぱらと眺めることができて最高だ。

1814年に北斎漫画が出版されたとき「彼」は「戴斗」という画号だったのだが、スケッチブックは北斎漫画というタイトルで出版された。

私は「彼」が葛飾北斎として記録されているのは、この北斎漫画の存在が大きいと考えている。

もちろん「戴斗」の前のペンネームの「北斎」の時点で「曲亭馬琴」ら「読本」の挿絵を手掛けることで著名となっていたからこそ、こんなスケッチ集を出版することができたわけである。

しかしこの時代の名声は、現代でいうと「原作・梶原一騎。作画・川崎のぼる」「原作・武論尊。作画・原哲夫」のようなものだ。北斎の力だけではなく曲亭馬琴や十辺舎一九など作家の力も大きかったのだ。

しかし北斎はただの作画家では終わらなかった。

原作のストーリーがなくても売れる絵、物語を添えなくても背景を想像できる絵を書いて、絵単独でも売れる浮世絵師として名声を手に入れていく。

世界的な画家と呼ばれるようになるまでに。

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同じ画狂人でも北斎は絵にまっすぐ。ゴッホの狂い方は違う

しかし昔の人はどうしてひんぱんに改名したのだろうか。それも私には謎であった。

現代人の感覚だと芸名、ペンネームを変えるのは芸にとって不利にしかならない気がする。

有名になるためにやっているのに、改名したら、これまでの努力がゼロに戻ってしまうではないか。

芸能人がときどき芸名を変えることがあるが、それはゲンを担いだものであろう。売れなくなったりして、運気を変えたくて改名するのである。

ところが北斎は売れるとか売れないとか世俗のことを気にしている風がないのだ。

ゴッホと比べると絵にまっすぐ邁進している。生活とか栄光とか絵以外の苦悩が見えてこない。

さわやかに絵に邁進している。心が現世のあれやこれやに囚われていない。そこがゴッホと違うところだ。ゴッホはとても世俗のことを気にした。世俗のために狂ったと言ってもいい。

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画狂人といってゴッホを思い出すと冒頭で私は述べた。たしかにゴッホの絵『星月夜』には狂気を感じる。その狂気が魅力でもあるのだが。

絵が狂っているのではなく、画家が狂っている。苦しいと叫んでいる。その叫びが伝わってくる。

ところが北斎の絵は明るい。絵が狂気を叫んでいないのだ。あるがまま、という感じである。

画狂人と自ら名乗った北斎であるが、決して自らは狂っていなかった。

狂っていたのは絵に取り組む常軌を逸した熱意だけだった。

以下のような言葉が北斎の臨終前の言葉として伝わっている。

「五十歳の頃から数々の図画を本格的に発表してきたが、七十歳以前に描いたものは、実に取るに足りないものばかりであった。七十三歳で鳥獣虫魚の骨格や草木の何たるかをいくらかは悟ることができた。ゆえに(精進し続ければ)八十歳でますます向上し、九十歳になればさらにその奥意を極めて、百歳でまさに神妙の域を超えるのではないだろうか。百十歳となれば一点一格が生きているようになることだろう。願わくば、長寿を司る神よ、私の言葉が偽りでないことを見ていてください。画狂老人卍述

たしかに絵に狂っているが、狂気ではない。ゴッホの星月夜は狂っているが、北斎の神奈川沖浪裏は波は猛り狂っているが、絵師は狂ってはいない。

我を去って、悟りの境地を目指しているかのようだ。どこか澄みきっている。

我を去れないヴィンセント・ヴァン・ゴッホは37歳で死に、我を去って絵にのみ執着した北斎は90歳まで生きた。

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襲名と改名は違う。改名したら無名のスタートラインに戻ってしまう

改名したら無名のスタートラインに戻ってしまうはずなのに、どうしてわざわざ改名したのか?

この謎の続きである。

芸能人にありがちな、売れないからゲン担ぎで改名したという動機は、北斎にはありえないことがわかった。

飢え死にしてはしょうがないが、絵に集中できる環境さえあれば、北斎は富貴とか名声とかを求めるタイプではない。むしろそういうものに画業を邪魔されることを嫌った。

ではどうして何度も改名したのか?

現代風に言えば、改名したら、フォロワーとの繋がりが切れてしまうではないか。

そういえば現代でも改名をいとわない人たちがいる。歌舞伎役者や落語家など伝統芸能の人たちである。

松本幸四郎を急に松本白鸚と言われてもなあ。。。やっぱり松本幸四郎として名前が残るんじゃないの? という気持ちが私にはある。それゆえに「彼」が葛飾北斎として伝わっていることに謎を感じているわけだ。

中村勘九郎を勘三郎と言われてもなあ。。。改名しない方がよかったんじゃないの? という気がする。九も三もたいして変わらないじゃん。

歌舞伎十八番の市川團十郎みたいな凄すぎる先代がいればまだしもだけど、勘九郎(五代目)の方が、昔の勘三郎よりも著名人だったじゃん。コクーン歌舞伎平成中村座だろ? 世界中の人が知ってるよ。

だのにどうして改名なのか?

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自分の芸が永遠でないことを知っていた

きっと本人は、自分の芸が永遠でないことを知っていたのであろうと思う。

先代から受け継ぎ、後世に伝える遺伝子DNA情報のような気持で芸を捉えていたのではないか。

とくに肉声や映像を残すメディアがない昔の人は、自分が死んだら芸も名声が消えてしまうことを知っていた。

ただ芸の神髄を受け継いだ後輩が、名前を襲名してくれることのみが、すこしでも我が名を残す手段だったに違いない。

だから襲名という儀式が必要だったのだろう。

現にそうやって古い歌舞伎の名前は生き残っている。せめて名前だけでも。

しかし北斎は誰かの名前を襲名したわけではない、ただの改名である。

襲名と改名は違う。襲名は過去の天才の威光を借りることができるが、改名はまったくのゼロに戻ってしまうのだ。

手塚治虫が漫画誌の新人賞に別のペンネームで応募して入賞したというエピソードを聞いたことがあるが、北斎も同じ気持ちだったのかもしれない。

作家の名前ではなく絵のクオリティを見てくれ。この絵ならどんな名前でも売れるはずだ、と。アーティストにはそんな自負があるのかもしれない。

新人賞なんて何回だって受賞してやる、というような。

けれども売る側にはもちろんその理屈は通用しなかった。私の心配とそっくり同じ心配を江戸時代後期の出版サイドは感じていた。

出版は儲けが目的だから、どこの誰とも知らない人の浮世絵よりも、有名な絵師の浮世絵の方がもちろん売れることを知っていた。

アーティストに敬意を表して、いちおう改名はさせたが、「北斎改め画狂老人卍」といった感じで、売れたペンネームとの繋がりを完全には消させなかった。

かつての北斎ファンは画狂老人卍の本も買うべきだ、だって同じ人物なんだから、というわけである。

こうして北斎の名前が後世に残ったわけである。

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北斎あれこれ。パフォーマーの元祖、触手系エロの元祖、江戸時代はアジアだったことの証明

やたらと改名し、やたらと引っ越しし、やたらと描いた。それが葛飾北斎である。

北斎はパフォーマーでもあったようだ。現代でも書道家が胴回りほどの強大な筆で人間サイズの字を書くパフォーマンスがあるが、あのパフォーマンスのハシリは葛飾北斎らしい。

150畳ほどの紙に達磨の顔を書くパフォーマンスアートをやったのだそうだ。

北斎館でそういうことは初めて知った。

北斎は春画も書いている。世の中のすべてを書くとされた絵師の面目躍如でもある。おそらく出版側の要請もあっただろう。

北斎の春画を見ると面白い。北斎、女性の胸には全く興味がないね。バストを性的アピール部分として描いていない。三角形にポッチを乗せただけの手抜きの乳である。

また北斎の春画には、タコやイカが女体を這いまわるというものがある。いわゆる触手もの、触手系エロのハシリといってもよさそうだ。

興味がある方は検索してみてください。

北斎の浮世絵に旅人は旅笠・ノンラーをかぶっている。ベトナムとかでは今でも普通にかぶっている日よけの帽子だ。江戸時代はアジアだったのだ。

私も一時期愛用していた。首まで完全に日よけになるし、台座つきの旅笠は頭の上を風が通るので、髪の汗を乾かして涼しいのだ。野球帽子よりもずっとアウトドアに向いでいる帽子だ。登山にも使えるぞ。

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最後にショッキングな出来事がひとつだけあった。せっかく小布施の北斎館まで見に行ったのに、なんと墨田区の「すみだ北斎美術館」の展示が入れ替わり出張で来ていたのである。

本来の小布施北斎館の展示物は現在、私の家の近くの「すみだ北斎美術館」にあるというのだ。

これじゃあ墨田の方にも行かなければなあ。日帰りだけど。

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すみだ北斎美術館は、葛飾北斎とつながるアートやものづくりを通じて、まちでの新しい交流を生み出し、産業や観光へも寄与する地域活性化の拠点となることを目指します。
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サハラ砂漠で大ジャンプする著者
【この記事を書いている人】

アリクラハルト。物書き。トウガラシ実存主義、新狩猟採集民族、遊民主義の提唱者。心の放浪者。市民ランナーのグランドスラムの達成者(マラソン・サブスリー。100kmサブ10。富士登山競争登頂)。山と渓谷社ピープル・オブ・ザ・イヤー選出歴あり。ソウル日本人学校出身の帰国子女。早稲田大学卒業。日本脚本家連盟修了生。放浪の旅人。大西洋上をのぞき世界一周しています。千葉県在住。

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雑誌『ランナーズ』のライターだった筆者が贈る『市民ランナーという走り方』。 「コーチのひとことで私のランニングは劇的に進化しました」エリートランナーがこう言っているのを聞くことがあります。市民ランナーはこのような奇跡を体験することはできないのでしょうか? いいえ。できます。そのために書かれた本が本書『市民ランナーという走り方』。ランニングフォームをつくるための脳内イメージワードによって速く走れるようになるという新メソッドを本書では提唱しています。「言葉の力によって速くなる」という本書の新理論によって、あなたのランニングを進化させ、現状打破、自己ベストの更新、そして市民ランナーの三冠・グランドスラム(マラソン・サブスリー。100km・サブテン。富士登山競争のサミッター)を達成するのをサポートします。 ●言葉の力で速くなる「動的バランス走法」「ヘルメスの靴」「アトムのジェット走法」って何? ●絶対にやってはいけない「スクワット走法」とはどんなフォーム? ●ピッチ走法とストライド走法、どちらで走るべきなのか? ●ストライドを伸ばすための「ハサミは両方に開かれる走法」って何? ●マラソンの極意「複数のフォームを使い回せ」とは? ●究極の走り方「あなたの走り方は、あなたの肉体に聞け」の本当の意味は? 本書を読めば、言葉のもつイメージ喚起力で、フォームが効率化・最適化されて、同じトレーニング量でも速く効率的に走ることができるようになります。 ※カルペ・ディエム。この本は「ハウツーランニング」の体裁をした市民ランナーという生き方に関する本です。 あなたはどうして走るのですか? あなたよりも速く走る人はいくらでもいるというのに。市民ランナーがなぜ走るのか、本書では一つの答えを提示しています。
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書籍『通勤自転車から始めるロードバイク生活』
この本は勤務先の転勤命令によってロードバイク通勤をすることになった筆者が、趣味のロードバイク乗りとなり、やがてホビーレーサーとして仲間たちとスピードを競うようになるところまでを描いたエッセイ集です。 その過程で、ママチャリのすばらしさを再認識したり、どうすれば速く効率的に走れるようになるのかに知恵をしぼったり、ロードレースは団体競技だと思い知ったり、自転車の歴史と出会ったりしました。 ●自転車通勤における四重苦とは何か? ●ロードバイクは屋外で保管できるのか? ●ロードバイクに名前をつける。 ●通勤レースのすすめ。 ●軽いギアをクルクル回すという理論のウソ。 ●ロードバイク・クラブの入り方。嫌われない作法。 などロードバイクの初心者から上級者まで対応する本となっています。
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●◎このブログ著者の小説『ツバサ』◎●
小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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小説『ツバサ』
主人公ツバサは小劇団の役者です。 「演技のメソッドとして、自分の過去の類似感情を呼び覚まして芝居に再現させるという方法がある。たとえば飼い犬が死んだときのことを思い出しながら、祖母が死んだときの芝居をしたりするのだ。自分が実生活で泣いたり怒ったりしたことを思いだして演技をする、そうすると迫真の演技となり観客の共感を得ることができる。ところが呼び覚ましたリアルな感情が濃密であればあるほど、心が当時の錯乱した思いに掻き乱されてしまう。その当時の感覚に今の現実がかき乱されてしまうことがあるのだ」 恋人のアスカと結婚式を挙げたのは、結婚式場のモデルのアルバイトとしてでした。しかし母の祐希とは違った結婚生活が自分には送れるのではないかという希望がツバサの胸に躍ります。 「ハッピーな人はもっと更にどんどんハッピーになっていってるというのに、どうして決断をしないんだろう。そんなにボンヤリできるほど人生は長くはないはずなのに。たくさん愛しあって、たくさん楽しんで、たくさんわかちあって、たくさん感動して、たくさん自分を謳歌して、たくさん自分を向上させなきゃならないのに。ハッピーな人達はそういうことを、同じ時間の中でどんどん積み重ねていっているのに、なんでわざわざ大切な時間を暗いもので覆うかな」 アスカに恋をしているのは確かでしたが、すべてを受け入れることができません。かつてアスカは不倫の恋をしていて、その体験が今の自分をつくったと感じています。それに対してツバサの母は不倫の恋の果てに、みずから命を絶ってしまったのです。 「そのときは望んでいないことが起きて思うようにいかずとても悲しんでいても、大きな流れの中では、それはそうなるべきことがらであって、結果的にはよい方向への布石だったりすることがある。そのとき自分が必死にその結果に反するものを望んでも、事態に否決されて、どんどん大きな力に自分が流されているなあと感じるときがあるんだ」 ツバサは幼いころから愛読していたミナトセイイチロウの作品の影響で、独特のロマンの世界をもっていました。そのロマンのゆえに劇団の主宰者キリヤに認められ、芝居の脚本をまかされることになります。自分に人を感動させることができる何かがあるのか、ツバサは思い悩みます。同時に友人のミカコと一緒に、インターネット・サイバーショップを立ち上げます。ブツを売るのではなくロマンを売るというコンセプトです。 「楽しい、うれしい、といった人間の明るい感情を掘り起こして、その「先」に到達させてあげるんだ。その到達を手伝う仕事なんだよ。やりがいのあることじゃないか」 惚れているけれど、受け入れられないアスカ。素直になれるけれど、惚れていないミカコ。三角関係にツバサはどう決着をつけるのでしょうか。アスカは劇団をやめて、精神科医になろうと勉強をしていました。心療内科の手法をツバサとの関係にも持ち込んで、すべてのトラウマを話して、ちゃんと向き合ってくれと希望してきます。自分の不倫は人生を決めた圧倒的な出来事だと認識しているのに、ツバサの母の不倫、自殺については、分類・整理して心療内科の一症例として片付けようとするアスカの態度にツバサは苛立ちます。つねに自分を無力と感じさせられるつきあいでした。人と人との相性について、ツバサは考えつづけます。そんな中、恋人のアスカはツバサのもとを去っていきました。 「離れたくない。離れたくない。何もかもが消えて、叫びだけが残った。離れたくない。その叫びだけが残った。全身が叫びそのものになる。おれは叫びだ」 劇団の主宰者であるキリヤに呼び出されて、離婚話を聞かされます。不倫の子として父を知らずに育ったツバサは、キリヤの妻マリアの不倫の話しに、自分の生い立ちを重ねます。 「どんな喜びも苦難も、どんなに緻密に予測、計算しても思いもかけない事態へと流れていく。喜びも未知、苦しみも未知、でも冒険に向かう同行者がワクワクしてくれたら、おれも楽しく足どりも軽くなるけれど、未知なる苦難、苦境のことばかり思案して不安がり警戒されてしまったら、なんだかおれまでその冒険に向かうよろこびや楽しさを見失ってしまいそうになる……冒険でなければ博打といってもいい。愛は博打だ。人生も」 ツバサの母は心を病んで自殺してしまっていました。 「私にとって愛とは、一緒に歩んでいってほしいという欲があるかないか」 ツバサはミカコから思いを寄せられます。しかし「結婚が誰を幸せにしただろうか?」とツバサは感じています。 「不倫って感情を使いまわしができるから。こっちで足りないものをあっちで、あっちで満たされないものをこっちで補うというカラクリだから、判断が狂うんだよね。それが不倫マジックのタネあかし」 「愛する人とともに歩んでいくことでひろがっていく自分の中の可能性って、決してひとりでは辿りつけない境地だと思うの。守る人がいるうれしさ、守られている安心感、自信。妥協することの意味、共同生活のぶつかり合い、でも逆にそれを楽しもうという姿勢、つかず離れずに……それを一つ屋根の下で行う楽しさ。全く違う人間同士が一緒に人生を作っていく面白味。束縛し合わないで時間を共有したい……けれどこうしたことも相手が同じように思っていないと実現できない」 尊敬する作家、ミナトセイイチロウの影響を受けてツバサは劇団で上演する脚本を書きあげましたが、芝居は失敗してしまいました。引退するキリヤから一人の友人を紹介されます。なんとその友人はミナトでした。そこにアスカが妊娠したという情報が伝わってきました。それは誰の子なのでしょうか? 真実は藪の中。証言が食い違います。誰かが嘘をついているはずです。認識しているツバサ自身が狂っていなければ、の話しですが……。 「妻のことが信頼できない。そうなったら『事実』は関係ないんだ」 そう言ったキリヤの言葉を思い出し、ツバサは真実は何かではなく、自分が何を信じるのか、を選びます。アスカのお腹の中の子は、昔の自分だと感じていました。死に際のミナトからツバサは病院に呼び出されます。そして途中までしか書いていない最後の原稿を託されます。ミナトの最後の小説を舞台上にアレンジしたものをツバサは上演します。客席にはミナトが、アスカが、ミカコが見てくれていました。生きることへの恋を書き上げた舞台は成功し、ツバサはミナトセイイチロウの後を継ぐことを決意します。ミナトから最後の作品の続きを書くように頼まれて、ツバサは地獄のような断崖絶壁の山に向かいます。 「舞台は変えよう。ミナトの小説からは魂だけを引き継ぎ、おれの故郷を舞台に独自の世界を描こう。自分の原風景を描いてみよう。目をそむけ続けてきた始まりの物語のことを。その原風景からしか、おれの本当の心の叫びは表現できない」 そこでミナトの作品がツバサの母と自分の故郷のことを書いていると悟り、自分のすべてを込めて作品を引きついて書き上げようとするのでした。 「おまえにその跡を引き継ぐ資格があるのか? 「ある」自分の中にその力があることをはっきりと感じていた。それはおれがあの人の息子だからだ。おれにはおれだけの何かを込めることができる。父の遺産のその上に」 そこにミカコから真相を告げる手紙が届いたのでした。 「それは言葉として聞いただけではその本当の意味を知ることができないこと。体験し、自分をひとつひとつ積み上げ、愛においても人生においても成功した人でないとわからない法則」 「私は、助言されたんだよ。その男性をあなたが絶対に逃したくなかったら、とにかくその男の言う通りにしなさいって。一切反論は許さない。とにかくあなたが「わかる」まで、その男の言う通りに動きなさいって。その男がいい男であればあるほどそうしなさいって。私は反論したんだ。『そんなことできない。そんなの女は男の奴隷じゃないか』って」
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読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説
×   ×   ×   ×   ×   ×  (本文より)知りたかった文学の正体がわかった! かつてわたしは文学というものに過度な期待をしていました。世界一の小説、史上最高の文学には、人生観を変えるような力があるものと思いこんでいました。ふつうの人が知り得ないような深淵の知恵が描かれていると信じていました。文学の正体、それが私は知りたかったのです。読書という心の旅をしながら、私は書物のどこかに「隠されている人生の真理」があるのではないかと探してきました。たとえば聖書やお経の中に。玄奘が大乗のお経の中に人を救うための真実が隠されていると信じていたように。 しかし聖書にもお経にも世界的文学の中にも、そんなものはありませんでした。 世界的傑作とされるトルストイ『戦争と平和』を読み終わった後に、「ああ、これだったのか! 知りたかった文学の正体がわかった!」と私は感じたことがありました。最後にそのエピソードをお話ししましょう。 すべての物語を終えた後、最後に作品のテーマについて、トルストイ本人の自作解題がついていました。長大な物語は何だったのか。どうしてトルストイは『戦争と平和』を書いたのか、何が描きたかったのか、すべてがそこで明らかにされています。それは、ナポレオンの戦争という歴史的な事件に巻き込まれていく人々を描いているように見えて、実は人々がナポレオンの戦争を引き起こしたのだ、という逆説でした。 『戦争と平和』のメインテーマは、はっきりいってたいした知恵ではありません。通いなれた道から追い出されると万事休すと考えがちですが、実はその時はじめて新しい善いものがはじまるのです。命ある限り、幸福はあります——これが『戦争と平和』のメインテーマであり、戦争はナポレオンの意志が起こしたものではなく、時代のひとりひとりの決断の結果起こったのだ、というのが、戦争に関する考察でした。最高峰の文学といっても、たかがその程度なのです。それをえんえんと人間の物語を語り継いだ上で語っているだけなのでした。 その時ようやく文学の正体がわかりました。この世の深淵の知恵を見せてくれる魔術のような書なんて、そんなものはないのです。ストーリーをえんえんと物語った上で、さらりと述べるあたりまえの結論、それが文学というものの正体なのでした。
読書家が選ぶ死ぬまでに読むべきおすすめの名作文学 私的世界の十大小説 (民明書房) | アリクラハルト | 英米の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon
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◎このブログの著者の随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』
随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

旅人が気に入った場所を「第二の故郷のような気がする」と言ったりしますが、私にとってそれは韓国ソウルです。帰国子女として人格形成期をソウルで過ごした私は、自分を運命づけた数々の出来事と韓国ソウルを切り離して考えることができません。無関係になれないのならば、いっそ真正面から取り組んでやれ、と思ったのが本書を出版する動機です。

私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
●関東大震災直後の朝鮮人虐殺事件
●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
●天皇制にこそ、ウリジナルを主張すればいいのに
●「失われた時を求めて」プルースト効果を感じる地上唯一の場所
●韓国帰りの帰国子女の人生論「トウガラシ実存主義」人間の歌を歌え

韓国がえりの帰国子女だからこそ書けた「ほかの人には書けないこと」が本書にはたくさん書いてあります。私の韓国に対する思いは、たとえていえば「面倒見のよすぎる親を煙たく思う子供の心境」に近いものがあります。感謝はしているんだけどあまり近づきたくない。愛情はあるけど好きじゃないというような、複雑な思いを描くのです。

「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

帰国子女は、第二の故郷に対してどのような心の決着をつけたのでしょうか。最後にどんな人生観にたどり着いたのでしょうか。

Amazon.co.jp: 帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル (民明書房) eBook : アリクラハルト: 本
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随筆『帰国子女が語る第二の故郷 愛憎の韓国ソウル』

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私の第二の故郷、韓国ソウルに対する感情は単純に好きというだけではありません。だからといって嫌いというわけでもなく……たとえて言えば「無視したいけど、無視できない気になる女」みたいな感情を韓国にはもっています。

【本書の内容】
●ソウル日本人学校の学力レベルと卒業生の進路。韓国語習得
●韓国人が日本を邪魔だと思うのは地政学上、ある程度やむをえないと理解してあげる
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●僕は在日韓国人です。ナヌン・キョッポニダ。生涯忘れられない言葉
●日本人にとって韓国語はどれほど習得しやすい言語か
●『ムクゲノ花ガ咲キマシタ』南北統一・新韓国は核ミサイルを手放すだろうか?
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「近くて遠い国」ではなく「近くて近い国」韓国ソウルを、ソウル日本人学校出身の帰国子女が語り尽くします。

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●◎このブログ著者の書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』◎●
書籍『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』
戦史に詳しいブロガーが書き綴ったロシア・ウクライナ戦争についての提言 『軍事ブロガーとロシア・ウクライナ戦争』 ●プーチンの政策に影響をあたえるという軍事ブロガーとは何者なのか? ●文化的には親ロシアの日本人がなぜウクライナ目線で戦争を語るのか? ●日本の特攻モーターボート震洋と、ウクライナの水上ドローン。 ●戦争の和平案。買戻し特約をつけた「領土売買」で解決できるんじゃないか? ●結末の見えない現在進行形の戦争が考えさせる「可能性の記事」。 「紅旗征戎吾ガ事ニ非ズ」を信条にする筆者が渾身の力で戦争を斬る! ひとりひとりが自分の暮らしを命がけで大切にすること。それが人類共通のひとつの価値観をつくりあげます。人々の暮らしを邪魔する行動は人類全体に否決される。いつの日かそんな日が来るのです。本書はその一里塚です。
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ドラクエ的な人生
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